みなさん、新人戦の論文作成はどうでしたか。思いどおりの論文が出来上がったと思う人、悔いが残った
人、さまざまだと思います。初めての論文作成はとても苦労したと思います。そもそも、「論文とは何か」「論
文とレポートの違いは何か」と問われたとき、皆さんはその違いを自信を持って言えるでしょうか。論文作成
というのは、そういった考えを出発点として進めるべきだと私は思います。
ところで、皆さんの論文を読ませてもらいました。いずれも忙しい中、よくぞここまで仕上げたなと、評価で
きる立場にはありませんが感激しました。ただ、これを論文として読んだ場合、点数をつけるとしたら・・・
皆さんは何点をつけますか。正直言います。私は財政班の論文は0点、金融版の論文も0点だと思います。な
ぜだと思いますか。周知の通り、この論文には皆さんの努力が感じられる素晴らしい論文であるのに、なぜ0
点がつけられると思いますか。
それは、この論文が論文としてのルールを一切守っていないからです。財政班は言葉使いがまるで友達に対す
る言葉のようで大変失礼です。さらに「おわりに」の部分が感想になっています。結論を削ってまで感想をつ
けるとは大胆すぎます。名探偵コナンに犯人が出てこないようで拍子抜けされるでしょう。金融版については
表紙がない上に目次もない。これではどこから見ていいか分からないですね。
敢えてここでは論文のルールについて詳しく触れません。ただ、私は言いたいのは、物事にはあるルールが存
在しそれを守って初めて評価の対象になるということです。
例えば、サッカー選手クリスティアーノ・ロナウドはサッカー界では23歳にして最高の選手と讃えられてい
ます。しかし、それは彼が「ピッチ」の上で「サッカー」をすることが前提条件となっていることは言うまで
もありません。もし、彼が最高のスポーツ選手だからと言って、メジャーリーグで野球ボールを足で蹴飛ばし
て追っかけていたら、それを讃える人はいません。野球には野球のルールがあり、ボールを足で蹴って追いか
けるなど言語道断だからです。
もうひとつ例を出しましょう。もしそばが食べたくなって蕎麦屋に入ったとします。そこであなたはそばを注
文し、そばが出てくると思ったら、スパゲッティが出てきたとします。店主は自信満々の顔で「絶対おいしい
から食べてみろ」と言ってきても、当然あなたは怒るでしょう。あなたはそばを食べに来たわけですから。
我々は物事のルールを守った上で初めて評価の対象になり得るのです。最近、企業では「1から100を作る
人間」より「0から1を作る人間」が求められています。つまり、誰も思いつかないことをしろということで
す。私はこれを勘違いしてはいけないと思います。新しいからと言ってルールを守らなければそれは新しいも
のとは認められません。物事のルールを守った上で、その上で新しいものを求める、それが肝心です。でなけ
れば、ロナウドが野球場でボールを追いかけている「新しい野球スタイル」と同じになってしまいます。
論文も同じではないでしょうか。どんな新発見も論文のルールを守らなければ論文でなくなります。新人戦の
論文も、素晴らしい出来だとは思いますが、悲しいかなこれは論文ではありません。我々は、自分の置かれた
環境を理解し考慮した上で誰も発揮したことない個性を発揮すればよく、ルールを守らず組織が崩壊するよう
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な個性は決して人を幸せにはできません。それをしっかりと考えながら我々はゼミで個々の特性を伸ばしてい
くべきだと強く思います。
ちなみに、今回のテーマに出てくるTEX は論文を書くためのソフトのようなもので、簡単に論文のルールが
守れてしかもきれいです。もしルールを守った上で最高のパフォーマンスを発揮したい方は無料でダウンロー
ドができるのでトライしてみてはいかがでしょうか。
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