私は、2002年6月22日(土曜日)に専修大学神田校舎において開催されました関東大震災80周年記念行事実行委員会設立総会におきまして委員長に選出されました。 1993年に行いました70周年にひき続いての大任をお引き受けしたものの、無事に責任を果たすことができるかどうかいささか不安でもありますが、前回の記念事業の中心に座って一切をとりまとめて下さった坂本昇氏が今回も事務局長をお引き受け下さいましたし、この設立総会までに前回にまさる多くのすぐれた方々が役員になって下さいました。来年の9月1日にむけて、事前学習会や種々の集会を企画中ですので、ぜひとも多くの団体・個人が80周年記念行事実行委員会にご参加下さいますことを、心からお願い申し上げます。大変微力な私ではございますが、前回にもまさる多くのご指導とご鞭撻のほどをお願いする次第です。
 周知のように、今日の日本と世界をとりまく情勢は政治的・経済的にもきわめて深刻になっています。昨年9月11日にニューヨークで起きた「同時多発テロ事件」を契機に、小泉政権は日本国憲法をまったく無視して、自衛隊の海外派遣を強行し、さらに有事三法案を中心とする戦争遂行のための「国家改造大計画」を画策しています。
 歴史教科書問題や日本の司法に端的にみられますように、近代天皇制国家が近隣のアジア諸国に与えた戦争責任・戦後責任をまったく不問にしたままで、再び軍事大国への道をつき進んでいる今日の日本の現状のなかで、関東大震災80周年記念行事を行うことは、前回にまして重要な意義をもっていると思います。
 50周年と70周年ではとくに韓国人・朝鮮人に焦点があてられましたが、その後の歴史研究の成果によって王希天虐殺事件をはじめ中国人労働者への大量殺害の実態が解明されてきていますので、来年の80周年行事では、韓国・朝鮮・中国などの犠牲者の遺族や研究者などを日本にお招きして、国際的な連帯行事にできればよいのだがと私は思っています。
 1998年と99年には千葉県西部地域同胞の会(代表・李炳河氏)や横浜在住の文戊仙氏から、関東大震災時の朝鮮人虐殺事件に関する人権救済申立が日本弁護士連合会会長や日本政府にたいして出され、その結果、日本弁護士連合会事務局人権部会第一課の中に「関東大震災事件委員会」(梓澤弁護士を中心に)が設置されました。また、99年9月には千葉県の追悼調査実行委員会を中心としする多くの方々の長年の努力がついに実って、高津なぎの原の共有地に埋められたままになっていた大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨6体の発掘が76年目にして実現しました。
 また阪神淡路大震災の貴重な体験とその後の支援運動からも多大のことを学ぶことができましょう。以上思いつくままにあげたわずかな事例だけでも、前回以上の大成功を予測できる有利な条件が多くあるように私は思えてなりません。 この歴史の大転換の時代にふさわしい、関東大震災80周年記念行事を成功させる大運動を今からはじめようではありませんか。

トップページにもどる
トップページにもどる
「関東大震災80周年記念行事実行委員会の紹介 〜ご挨拶とお願い」委員長 松尾章一
(日中全面戦争65周年目に当たる7月7日に記す)