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特定非営利活動法人・NPO法人「高麗博物館」
関東大震災80年特別企画 ミニパネル展示
“描かれた朝鮮人虐殺”

1 目 的
 関東大震災から80年を迎えた2003年、日本と韓国・朝鮮の交流の歴史を正確に認識するために、学習と展示及びその他のさまざまな交流活動を展開している「NPO法人・高麗博物館」として、当時数日間のうちに6600人余の朝鮮人の尊い命が失われた朝鮮人虐殺事件を、あらたな視点から光を当てることを目的とする。
 具体的には、これまでの研究や運動であまり光があてられてこなかった「描かれた絵画やスケッチ」類を通して、この事件の真相を探り、かつ1920年代の日本人の朝鮮観やアジア認識、及び差別意識などをあぶりだすこと.さらにこうした近代史を通して日本と韓国・朝鮮との関係を再認識することである。

2 展示のコンセプト
 「朝鮮人虐殺」については、虐殺された人数というもっとも基本的な歴史的事実さえ、明確ではなく、公的発表の200余人説から、現在の研究史で常識といわれている6600人余まで、その犠牲者数には様々な説がある。何人の人が、どこで、誰によって、どんな方法で殺されたのかも、いまだはっきりしない点が多い。
 そこで、今回は大震災当時、東京にいて、実際に体験したと思われる多くの画家やその卵たち、あるいは一般の人々の手になるさまざまな絵画や絵巻物、スケッチ、などに注目して、主に写真パネルを通して「描かれた朝鮮人虐殺」の実態とその前後の軍隊・警察・民衆などの動きを明らかにする。
 関東大震災を描いた作品に注目しての展示会は震災70周年時などに、すでに複数の展示施設で実施されたことがあるが(墨田区・横浜開港資料館など)、「朝鮮人虐殺」をメインにした展示はこれまでほとんど行われてこなかった。ここ数年、萱原白洞をはじめ、複数の絵画や絵巻物が新たに確認され、注目を浴びるようになった。このような実績を踏まえて、これらの資料の所蔵機関の協力を得ながら、できるだけ多くのパネルを作成し、高麗博物館の常設展示場を会場にしてミニパネル展示を実施する。

3 会場
高麗博物館の常設展示場
  〒169−0072 新宿区大久保1−12−1
                      第二韓国広場ピル 9階
  壁 面
  特設展示衝立パネル

4 開催期間
  2003年8月20日(水曜日)〜9月28日(日曜日)

5 主な展示品
(1) 「東都大震災過眼録」 (萱原白洞) 絵巻物 国立歴史民俗博物館蔵
               写真パネル 国立歴史民俗博物館
    (連行される場面)
    (虐殺の場面)
    (絵巻物の最後の場面) 僧侶・火葬・弔祭・卒塔婆・頭蓋骨・観音
(2) 「東都大震災過眼録」(萱原白洞) 絵巻物
               現物    萱原家所蔵(千葉市在住)
(3) 「河畔での朝鮮人虐殺現場スケッチ」 国立歴史民俗博物館所蔵
            (河目悌二 推定) 水彩画
               写真パネル 国立歴史民俗博物館
(4) 「朝鮮人を畑に追い詰める図」
            (小学四年生 山崎巌)クレヨン
               写真パネル 東京都復興記念館蔵
               国立歴史民俗博物館展示中
(5) 「軍隊と警察の通行人喚問の図」
            (小学四年生 松山達夫) クレヨン
               写真パネル 東京都復興記念館蔵
(6) 「関東大震災絵巻」 (文祥堂社長) 絵巻物
    (井戸に蓋をする図)
               写真パネル 国立歴史民俗博物館蔵
               歴博・第五展示室「都市の大衆の時代」で展示中
(7) 「関東大震災絵巻」 (文祥堂社長) 絵巻物
    (朝鮮人襲来のうわさで刀を取り出す青年の図)
               写真パネル 国立歴史民俗博物館蔵
               歴博・第五展示室「都市の大衆の時代」で展示中
(8) 「関東大震災絵巻」 (文祥堂社長) 絵巻物
    (鉢巻している自警団)
               写真パネル 国立歴史民俗博物館蔵
               歴博・第五展示室「都市の大衆の時代」で展示中
(9) 「竹下夢二肉筆ペン画」 (竹下夢二) スケッチ
               所蔵者不明
               写真パネル・古書日録掲載図
(10) 「菊友会同人が描く震災画集」(菊友会同人)個人蔵
    (缶切りを持つ自警団)                 原資料
(11) 「記念画帖」       (関 貢米) 画帖  個人蔵  原資料
(12) 「大震災画集」      (日本漫画会)画集  個人蔵  原資料
                 大正12年11月25日刊
                (15人の漫画家が描いた絵)
(13) 「ペン画集 避難から帰還まで」              原資料
               (太田政之助) 画集  個人蔵
(14) 「大震災図巻」      (堅山南風) 画集  写真パネル
                 既刊画集      個人蔵
(15) 「東京大震災絵巻」    (服部亮英) 絵巻物 写真パネル
                 横浜開港資料館蔵
(16) 「災禍の跡」       (池田遥郵) 絵画  画集
             既刊図録
(17) 「大正十二年九月二日」(鹿子木ウ郎)   絵画  写真パネル
(18) 慰霊碑などの写真      数点
(19) 関連文献          関東大震災および朝鮮人虐殺関係文献
                  複数
(20) 当時の新聞記事       コピーしたもの
                 複数

6 展示方法
    写真パネルを中心にして、原典資料及び書籍など

7 関連企画
   @ 記念講演会  8月23日(土曜日)
     ○ 会 場  新宿西教会(高麗博物館の道路隔てた向かい側ビル)
     ○ 時 間  午後2時〜
     ○ 講 師  新 井 勝 紘(NPO法人高麗博物館理事)
     ○ 題 目  「描かれた朝鮮人虐殺」
   A 展示解説日
       企画者自身による展示解説を行います
       日 程  未定 複数日
   B 関連図書販売
       内容検討中
   C 関連ビデオ放映
       内容検討中
   D その他

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