船木亨著 〈見ること〉の哲学―――鏡像と奥行 目次
序 第一部 鏡像 第1章 鏡像問題 1 鏡像は左右逆転するか ピアーズ論文/ヴィトゲンシュタインの解答/ピアーズ論文からの展開 2 ピアーズ説 重力方向に従った転回/対称物と同形物 3 ガードナー説 メイヨゥ論文/ガードナー論文/身体の二種類の転回 4 逆転の意味 ブロック論文/方角のずれ/光景の文脈 5 方角と向き 植村論文/方向に関する諸概念/幾何学的方向性と身体の向き 6 身体における左右の向き 身体の左右対称性/逆転はどのように意識されるか/向きが意識される順序 7 生物学的あるいは社会学的左右逆転 進化と向き/動物の向きの恣意性/利きと向き/利きに関する生理学と社会学 8 幾何学的左右逆転 丹下論文/しかし左右対称性は逆転の原因ではない/自分の身体が映っている 第2章 身体と鏡 9 身体と鏡の絆 ダイナミックな身体/まなざしと鏡の位置関係 10 まなざしと物体 グレゴリー論文/まなざしの転回/まなざしと物体 11 逆転したまなざし 身体に対するまなざし/分裂する主観性/分裂への不安 12 捻れた身体 回転した身体/鏡のまえの身体は見えない/身体の離れた全体 13 左右逆転の真相 逆転する左右/まったく異質な二つの知覚/身体空間における左右逆転の意味 14 鏡像問題における誤謬推理 ピアーズの錯誤/何が錯覚なのか/幾何学の錯覚 15 始原的空間 回顧的錯覚/知覚と幾何学/幾何学的空間と始原的空間 16 鏡像の現象学 身体の鏡像の意義/身体の同一性と差異性 第二部 奥行 第3章 眼球と視空間 17 鏡の見させるもの 異世界の窓/光景の裂目/現実と幻想 18 鏡の奥行 どうやって鏡を発見するか/対称物の存在からの鏡面の推定/鏡の本質 19 奥行は見えない 奥行とは何か/バークリ説 20 眼球と幾何学 バークリのデカルト批判/ステレオスコープ/シミュレーションは知覚を前提する 21 網膜像倒立問題 ケプラーの問/脳還元論の批判/眼球はカメラではない 22 網膜像の誤謬推理 バークリの解答/光景と網膜と視野の関係/網膜像湾曲と盲点/視野と眼球/視野はどこにある 23 ストラットンめがね ストラットンの実験/メルロ=ポンティによる解釈/知覚の歴史性 24 光景とまなざし バークリの矛盾/触覚的イメージ 25 遠近法という虚構 遠近法/遠近法の逆説/奥行の印象 第4章 世界の奥行 26 見えるものと見えないもの ギブソンのバークリ批判/透明なもの 27 奥行の本質 人間の条件/物体の第一の規定/物体の第二の規定/運動と光景 28 見ること 光景の意味/見えることと見ること/光景の呼びかけ 29 始原的空間における方向性 マッハの絵/幾何学以前の方向性/象徴する方向性 30 向かいあう方向 始原的左右/他者との向かいあい/鏡文字と逆転する左右の真相 31 光景の他者 奥行と他者のまなざし/世界のなかの身体/光のなかの世界 32 鏡と空間 鏡における他者/透明人間の夢 第三部 見ること 第5章 精神の鏡 33 まなざしの間身体性 自己の身体と他者の身体/身体の非人称性 34 鏡の国 哲学の端緒/間身体性 35 人間は人間にとっての鏡である 顔/自己の透明性/相互主観性 36 逆転性 鏡像段階/テレパシーのようなもの/二重感覚/逆転性 37 双生的主体 視覚の逆転性/分身(ダブル)/主観性 第6章 反省する光景 38 反射と反省 鏡と反省/真理と鏡/ロックのアイデア/反射の精神的意味 39 物体の存在 反省と物体/鏡像の存在/見えることとあること 40 鏡像と真理 偽物としての鏡像/明鏡止水 41 反対であること 鏡像の無限級数/反対であるとはどういうことか/反―対物/空間性 42 反射する時間 光景と時間/時間の鏡/時間性 43 鏡像記号論 視覚と聴覚/記号と意味/記号を可能にする経験/記号論的形而上学 44 記号と反省 鏡と記号/始原的記号/世界の反省 第7章 相互主観的空間 45 幾何学的精神 デカルト批判/錯視/幾何学の起源 46 平面と平らなもの 平らなもの/磨くこと、刻むこと/ 47 遠くの現象学 遠いもの/地図に描かれるもの/地図の相互主観性 48 空間の鏡像的形成 鏡と近代/射影幾何学的空間 49 空間の倫理学 遠近法への姿勢/幾何学的道徳 50 内面性 光景のなかの洞窟/欲望の鏡 51 幻想の威力 シミュラークル/始原的空間と幾何学的空間 52 感覚の自然法 見えない見えるもの/倫理的空間/色裏の膠青/こころと風景 あとがき |
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