山の地形
● 私たちは、白馬大雪渓とその周辺の山地で、
どんなことを調査・研究しているのでしょう。
1) 大雪渓(谷)では,現在どのような地形変化(落石・崩壊・土石流・なだれ)が、 どの季節に、どのようなメカニズムで起こっているのかを明らかにしています。
2) そのような地形変化は過去にも起きたことがあるのか、
また、今後起こりうるのかを調べています。
3) そのような地形変化を規定している白馬岳の地形・地質および気候について調べています。

※大雪渓とは、秋まで残る長さ1km以上の長大な残雪そのものと、その存在を可能にし ている細長い谷地形(北股入上流域)の両方を指します。
● これまでに、どんなことがわかったのでしょう。
(研究途中経過の一例)
0) 大雪渓(谷)は、いまから約1.1万年前にまでに谷氷河の侵食で作られた、長大な谷です。
1) そのときの氷河が残した多量の岩屑が、葱平から上部にいまもみられます。
2) 氷河消失後の斜面には永久凍土(一年中地温が氷点を超えない)が形成され、 多量の岩屑が杓子岳北面のカールにもたらされました。
3) 現在、大雪渓周辺の真冬も雪に覆われない岩盤は、 地表から少なくとも約6mまで凍結すると考えられます。
(これを季節凍土といいます)
4) 大雪渓(谷)では、季節凍土が融解する6-7月に落石が頻発しているようです。
5) 大雪渓(谷)の右岸側には脆弱な珪長岩の裸岩壁が広く分布しており、 これが落石の主要な発生源になっています。
6) 雪渓に上に落下した岩屑の一部は、 雪面を1km以上も滑走して白馬尻付近まで達することがあります。
7) 落石以外にも土石流や表層崩壊がしばしば起こっており、 その供給源となる多量の岩屑が現在も残存しています。


● 2005年白馬岳 大雪渓葱平 落石事故関係 資料 ●
(2005年8月11日 1430掲載/ 23日 2100 最新調査結果掲載)
■ 調査状況と研究成果の公表
2007.02 New! 国際誌「 Landslides」 2005年8月落石の調査報告論文発表
(受理済・Kariya et al.)
2007.04 New! 千葉県立中央博物館企画展「山の科学画」特別シンポジウムで白馬岳関連の発表予定(苅谷+佐藤剛)
2007.03 調査隊・佐藤 剛が千葉大学より博士学位取得予定 New!
(北アルプス北部の地すべり地形)
2007.03 日本地理学会 2007年度春季大会で口頭発表 New!
(苅谷ほか調査隊連名および目代)
2007.02 東京地学協会「地学雑誌」 表紙・口絵に最新成果を発表(苅谷) New!
2006.12 アメリカ地球物理連合(AGU)にて発表
(Kariya ほか調査隊連名+Kawasaki ほか)
2006.11 06年度第9回調査(終了)
2006.10 06年度第8回調査(終了)
2006.09 06年度第7回調査(終了)
2006.08 06年度第6回調査(終了)
2006.08 06年度第5回調査(終了)
2006.07 06年度第4回調査(終了)
2006.07 岳人 8月号」[東京中日新聞社]論文発表(小森)
2006.07 06年度第3回調査(終了)
2006.06 「日本の地形7 中部」[ 東京大学出版会]刊行(苅谷)
2006.06 06年度第2回調査(終了)
2006.06 (財)国土地理協会 平成18年度助成決定
(苅谷・小森次郎・目代邦康・岩田修二)
2006.05 06年度第1回調査(終了)
2006.05 2006 地球惑星科学連合大会発表(苅谷ほか調査隊連名)
2006.03 日本地理学会2006年度春季大会発表(苅谷ほか調査隊連名)
2006.01 「地質ニュース」[実業公報社]論文発表(苅谷ほか調査隊連名)
2006.01 2005年08月事故概要の国際誌への論文投稿
(審査中;苅谷ほか調査隊連名)
2005.12 「寒冷地形談話会」05年度冬季例会での発表(苅谷ほか調査隊連名)
2005.11 日本地すべり学会誌」42巻4号 論文発表(苅谷ほか調査隊連名)
2005.09 日本地すべり学会若手WS
「日本アルプスの景観形成に果たす地すべりの地形学的役割の評価」
開催(佐藤剛)
2005.08 「信濃毎日新聞 8月30日」コメント記事(苅谷)


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