ビジネス数理基礎[改訂版](2019/11/1)
高萩栄一郎/生田目崇/奥瀬喜之/岡田穣/本田竜広/中原孝信 共著
ムイスリ出版
ISBN-13: 978-4-89641-285-7
ISBN-10: 4896412850


内容紹介

本書は,高校までの数学と社会科学系の専門科目で使う数学への橋渡しを試みています. 大学1年生の専門科目「ビジネス基礎数理」で利用することを念頭に執筆したものです. 最近,大学初年度で「基礎数学」などと呼ばれる,高校までの数学を復習する授業が多くの大学で取り入れられています. しかし,その授業は数学が得意な学生にとっては退屈な授業であり, 苦手な学生にとってはいやな授業の繰り返しにすぎません. そこで次のような方針で本書を作成しました.

  1. 高校までの数学の復習は最小限にとどめました. 大学の社会科学系で使う数学の概念は限られています. そこで統計,金利計算,微積分,行列といった分野に絞りました. また,題材も社会科学に関連があるものから選びました.
  2. 直感的に理解するために,実際にグラフ化するなどのWeb(ホームページ)を多数作成しました. また,作業を通じて,その概念がどのようになるのかを体験することを重要視しました. たとえば,一次関数 y = ax + b で a,b の値を変化させてみることなどをしています. Webでの体験を通して,概念の把握を容易にするように努めました.
  3. 限られた時間で学習するので,導関数の求め方など「計算の仕方」を学習することは思い切って切り捨てました. 微分の計算は,数式処理ソフトウエアにまかせることにし,微分することとはどんなことかを理解してもらうことに重点を置きました.
  4. Webでの学習では,自分で題材を集め,その題材で学習をすすめる形のものを多く取り入れました. 例えば,行列の章では,マルコフ連鎖を用いて自分でモデル化する学習も行います. また,統計分析の章では,多変量解析の1 つである回帰分析を取り上げ,データから傾向を関数として捉えるための学習を行います.
  5. その他のWeb でもかつてCAI で行われたようなすべての学生に同じ問題を出題することは避け,パラメータなどの設定の違いによってさまざまな問題に対応できるようにしました.
  6. 授業をしているとき,「国語の授業じゃない?」と指摘されます.社会の現象を記述するのに,言葉だけではなく,数式での記述,データおよりそれを可視化(グラフ化)したものを利用できるようなることを目指しています.
  7. なによりも論理的に考える能力を身につけることを目標にしました. テキストとして利用する場合,講義を教室で行い,インターネットのWebを使っての課題の遂行は,各学生がテキストを参考にして自力で行うことを 想定しています.

能力別クラスを編成


大学入学時の数学の基礎学力により,能力別クラスを編成して学習することを念頭に置いています.
初級クラス 1章から 6章を学習
中級クラス 4章から 9章を学習

学習Webサイト

CGIを使って学習をします.
ビジネス数理基礎(学習WEB)

目次


第1章 数の世界
1.1 数の種類
1.2 比と割り算
1.3 分数の計算
1.4 数学の記号と意味
1.5 数学での約束
1.6 前回比,増減率
1.7 添え字と合計
1.8 フローとストック

第2章 データの表現とグラフ化
2.1 棒グラフ
2.2 円グラフと帯グラフ
2.3 折れ線グラフ
2.4 複数の系列のグラフ
2.5 平均値と中央値
2.6 クロス集計表
2.7 度数分布表とヒストグラム

第3章 社会現象を数式で表現する
3.1 1次関数と社会
3.2 連立1次方程式と社会(需要量,供給量,均衡点)
3.3 関数の変化率(微分)・弾力性
3.4 1次関数の利用(1次近似)
3.5 多変数の関数

第4章 データの可視化とグラフ化
4.1 データの表現とグラフ化
4.2 パレート図
4.3 時系列データ
4.4 移動平均値
4.5 代表値
4.6 クロス集計表とシンプソンのパラドックス
4.7 ヒストグラム
4.8 加重平均値や比率の平均値
4.9 データの散らばりを表す尺度

第5章 相関分析と回帰分析
5.1 2種類のデータの傾向:散布図と相関係数 散らばり
5.2 回帰分析

第6章 指数・対数と社会
6.1 指数と社会
6.2 比率の平均値:幾何平均
5.3 金利計算
5.4 現在価値
5.5 対数
5.6 金利計算 -- まとめとすこし複雑な問題

第7章 関数
7.1 社会科学と数式
7.2 連続関数
7.3 逆関数
7.4 単調な関数
7.5 2分検索
7.6 区分線型関数
7.7 指数・対数関数

第8章 微分・積分
8.1 微分とは
8.2 導関数と最大値,最小値
8.3 積分

第9章 行列
9.1 多変数の1次関数と行列
9.2 1次独立
9.3 マルコフ連鎖(行列を使ったモデルの作成)
9.4 固有値
9.5 株式ポートフォリオ分析

第10章 付録
10.1 関数の極限
10.2 変化率,微分係数,導関数
10.3 多変数関数,偏微分係数,偏導関数
10.4 最小2乗回帰直線
10.5 定積分
10.6 行列
10.7 逆行列
10.8 固有値・固有ベクトル・対角化

旧版
問い合わせ先:
高萩栄一郎 (専修大学商学部)
takahagi@isc.senshu-u.ac.jp