人間世界においては、「自然」とはかならず文化によって述語化されるものだ。 本質(主語)なのではない。(中略)実は人間が、中国風であれ、ペルシャ風 であれ、自然という地盤(土)をそれなりの世界に述語(風)化するのだ。 その結果は風土である。和辻哲郎の言葉を借りれば、風土性とは、人間存在の 構造契機であるからこそである。「土」を「風」化しないと人間が成り立たな いというわけだ。そういう事実を抽象し、普遍的な土(客体化された自然)だ けをとらえようとした近代は、その意味で人間存在を非定したのである。たと えば、「間」のような、世界性(風)を帯び、生きられた空間を、抽象的な普 遍空間と取り替えようとした。 しかし、「風」なしの「土」には、人間も立っていない。(中略)Exsistere (実存する)のsistere(立つ)の元来の意味なのである。『間――20年後の帰還』図録より。 同展覧会は、2000年11月26日まで、東京芸術大学 大学美術館で開催中。
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