オギュスタン・ベルク氏(講師紹介)


1942年生まれ。パリ大学で地理学第三課程博士号および文学博士号(国家博士号)を取得。東北大学理学部(地理学)客員研究員、北海道大学講師などを経て、1984年から88年まで東京日仏会館学長。現在、フランス国立社会科学高等研究院教授、宮城大学教授。風土学の領野を開拓し、画期的な独自の理論を構築するとともに、フランス日本学に新次元をもたらした第一人者。
〈主要著書〉
『空間の日本文化』(宮原信訳、筑摩書房、1985年、ちくま学芸文庫版あり)
『風土の日本――自然と文化の通態』(篠田勝英訳、筑摩書房、1988年、ちくま学芸文庫版あり)
『日本の風景・西欧の景観――そして造景の時代』(篠田勝英訳、講談社現代新書、1990年、書き下ろし)
『風土としての地球』(三宅京子訳、筑摩書房、1994年)
『都市のコスモロジー』(篠田勝英訳、講談社現代新書、1993年)
『都市の日本――所作から共同体へ』(宮原信・荒木亨訳、筑摩書房、1996年)
『地球と存在の哲学――環境倫理を越えて』(篠田勝英訳、ちくま新書、1996年、書き下ろし)
ほか多数。

人間世界においては、「自然」とはかならず文化によって述語化されるものだ。
本質(主語)なのではない。(中略)実は人間が、中国風であれ、ペルシャ風
であれ、自然という地盤(土)をそれなりの世界に述語(風)化するのだ。
その結果は風土である。和辻哲郎の言葉を借りれば、風土性とは、人間存在の
構造契機であるからこそである。「土」を「風」化しないと人間が成り立たな
いというわけだ。そういう事実を抽象し、普遍的な土(客体化された自然)だ
けをとらえようとした近代は、その意味で人間存在を非定したのである。たと
えば、「間」のような、世界性(風)を帯び、生きられた空間を、抽象的な普
遍空間と取り替えようとした。
しかし、「風」なしの「土」には、人間も立っていない。(中略)Exsistere
(実存する)のsistere(立つ)の元来の意味なのである。

『間――20年後の帰還』図録より。 同展覧会は、2000年11月26日まで、東京芸術大学 大学美術館で開催中。

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    宮城県知事との対談:景観十年・風景百年・風土千年"

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