経済学部 Morozumi.T インターンシップ体験記 〜Bias to Action〜

'00 Bias to Action

経済学部経済学科  Morozumi.T

 今回私は2000年度の夏期休暇期間を利用し、主に金融情報サービスを扱う外資系企業へのインターンを行ないました。ここではその約一ヶ月半の業務を通して私が感じた事を率直に書きたいと思います。

 まず、私がインターンシップを実際に経験しようと思った目的は、将来の自分のキャリアビジョンを考え、それに対し、実務を通じてその仕事への具体的なイメージを掴む事にあった。私の場合、インターンを行う以前はさほど強くは就職活動を意識していなかった為、特に業界を絞っていたわけではなかったが、自分の行いたい仕事のイメージとして、漠然と、人の為に役立つ仕事、自らのエンプロイアビリティを高める事の出来る仕事を志望していた為、企業の中の「人事」に興味を持っていた。

 そこで企業の人事部でインターンの出来るところはないかと探していたところ、外資系企業から「人事職」でのインターンの話を受け取り、履歴書提出(英文含む)、人事面接など約一ヶ月半を経て、7月21日から9月8日までのインターンシップへ参加することが決定した。

 ところで先ほど私は将来の志望業界を絞っていなかったと述べたが、自分のかなり強い保守的な性格から、イメージとして簡単にリストラをする、人間関係が希薄であろう外資系企業だけには唯一進みたくないと思っていたが、そんな中で外資系企業へ行くことになったのは何かの縁であろう。実際、英文のエントリーシート、契約書、履歴書書き、面接での予定もしていなかったCFO(Chief Financial Officer)のクリスさんとの英会話、これらは大学へ入って以来直接外国人と接する機会の無かった自分にとってはかなりの違和感を覚え、来るべき場所を間違えたと感じたのも確かであった。ただ、このインターンが決定するまで、私には職種選択等いろいろと紆余曲折があったが、「自分が何かを行ないたいという強い意欲があれば、自然と自分の回りに必要な人々や、組織が集まってくる」と以前耳にした言葉が懐かしく思い出された。

 私がお世話になった外資系企業は「Thomson Corporation株式会社」であり、まだまだ日本では馴染みが薄いが、高付加価値の金融情報をベースに、総合的ソリューションを提供する世界最大級の情報サービス企業であり、具体的には情報収集・分析、営業、顧客サポートなど各種サービスを精力的に展開し、東京、ニューヨーク、ロンドン、シドニー、香港等にオフィスを構える典型的な外資である。東京オフィスは千代田区竹橋に位地し、皇居を望むロケーションは最高であった。また、会社の雰囲気もオープンであり、社員各々がポジションの関係なく常に誰もがコミュニケーションを取れる、活気のあるオフィスであり、それまで私の考えていた人間関係が希薄であるような外資のイメージは一掃された。その反面、自分にとってはデメリットもあり、日本企業のオフィスを考えると、何処かの役所のように、しばしば天井から「〜課」と書かれたプレートが下げられているのを想像するが、Thomsonの場合、プレートは愚か、オフィスには何の敷居も無いため誰がどのポジションで、どんな業務を行なっているのかも分らず、社員は約130名(5対2で日本人が多いくらい)と然程多くはなかったが、会社の形態を把握するのに一苦労であった。

 その為か、Thomsonは金融以外にもDerwent、Thomson Learning等いくつかの異業種の集合企業でもあったが、私はインターン開始一週間程、人事にいながらトムソンはファイナンス以外にも異業種を扱っている事を知らずにいた。(これは人事失格ですね)まぁ、日々流れてくる社内情報(当然英語)の中で、TFR、TFIR、TFSD、First Call、TCKK、Derwent 等、これらが社名なのかビジネス・ユニットなのかを初見で判断するのは不可能であることは誰もが分ってくれる事だろう。 インターンに話しを戻すと、人事での私の業務は、主に社内向け人事情報を全社員が共有するため、且つ社員の管理を容易にするためのパブリック・フォルダ(コンテンツ含む)を社内ネットワーク(アウトルック)の中に作成、プレゼンテーションをするというシェアード・サービスのひとつであった。その他東京キャリアフォーラム(採用)への参加、社内向けポリシー作成のためのリサーチ(外回り)、雇用主研修会への参加、M&A勉強会への参加、キャリア雑誌「Type」取材見学、人事データ処理、大掃除、William M. Mercer社人事戦略研究会への参加等多岐に渡った。一般にインターンシップというと、外資系コンサルティングファームや金融機関、メーカー等で行われるものは、座談会、ケーススタディーを一週間ほど無報酬で行う形のものが多い(ベンチャー企業では数ヶ月単位)が、今回の私の場合は社員の方から何かをしっかり教えて頂くというものではなく、より実務に近いものであった。(ちなみに報酬も新入社員並みに頂きました)唯一私がSupervisorのK2さん(日本人)から形式ばって教えられたのは、インターン初日にコピー機やトイレの場所くらいだった気が・・・。

プレゼンテーション用素材のサンプル

 そんな中で初日のガントチャート作成、ミーティングから実際の業務が始まったが、この一ヶ月半の自分のモットーに成ったのが「Bias to Action」+α(ネガネガ君←Keiko-san談)。この言葉は「Type」取材の際に、ジムさん(Managing Director)がThomsonのキャッチフレーズとして、「選択肢があったら迷わずアクションを起こすことを選べ」という意味で紹介していたものだったが、この事を自分は「選択肢が無く立ち止まってしまっても、とにかく何らかの行動を!」と捉え、インターンを乗り切ることが出来た。何しろインターン当初の自分は人事職については何も知らず、「とにかく経営人事、組織開発が知りたい」と意気込んでいただけだった為、実務については全くゼロからのスタート。そしてインターン2,3日目にしてK2さん曰く、「独り立ち」。自分としては「ほったらかし」だと思っていたのだが。ただ外資において「独り立ち」は、例えインターンであっても当然であり、会社組織の成り立ちも、各社員は全員BU、ポジションに割り当てられ、自分の仕事の範囲、それに伴う責任の所在が明確化されているからである。(その為おそらく上司のミスが部下の責任に転嫁されることも無いのだろう)その分BU内外では社員が互いにコンタクトをとることが重要であり、特に人事はThomsonの場合少数精鋭で、社員130人に対して僅かに2人だけであったが(一般に人事一人あたり60〜70人の管理で効率的な人事業務を行っているとされる為、その点Thomsonの人事部は優秀!)、CFOのクリスさん等と頻繁にミーティングの機会をとっていた。

 自分の仕事においては、ここだけの話、各種規定、人事データ、福利厚生用素材等、多くの資料を渡されても、それが何の資料なのか、一体どう処理たら良いものか、しばらく呆然としていたり、コミュニケーション不足から東京入管へ二度も足を運んだり、職安へ行くつもりが何処か建設中のビルへ入り込んでしまったり、テプラのスイッチやアプリケーションソフトの使用方法が分からなかったり(最悪テプラはシールの色を自動で変えられると思っていた!)と、ミスや躊躇することは幾度と有りましたが、ほとんどの仕事の中身は自分の自由にまかされていた為、自己責任を感じつつ、「Bias to Action」を思い出し、多少の時間は掛かりながら自ら解決していくことが出来ました。もちろん社員皆さんのご協力のお陰です。

 その他、今年度Thomsonでのインターンは私以外に、合計5名の同世代の学生が主にFinance部門へ参加したのですが、彼らはアメリカ、イタリア、インド、ブルガリアからの留学生であり、インターンでのプロジェクトもBanking research、Feasibility study on creation and leveraging of TFJ Benchmarks / Indices / Standards、Business Sales Contract Process Review、Company data cleanup and research for TFSD 等一見しただけではその内容が分からないほどの専門的な業務を行っていました。加えて彼らは将来へのしっかりしたビジョンも持ち合わせ、自分の勉強不足、専門性の欠如、学生としての意識、大学教育の違い等を実感し、様々な面で良い刺激を受ける事が出来ました。

Kavita Raj Subramaniam

Konstantin Vassilev Prodanov

Kathleen Ruane

Tina Cancemi

Noriko Maki

Summer Interns 2000

 今回の月〜金曜、9〜17時半+任意残業の一ヶ月半にも及ぶインターンを通して学んだことは、人事の実務はもちろん学生としての甘さ、仕事の進め方、ビジネス文書の書き方、社員の方々の優しさ、それ以外に何よりもキャリアデザイン・ディベロップメントの形成・社員皆さんの成長への自己投資の必要性を感じる事が出来ましたし、今後とも魅力的な組織環境創り、社員のキャリア構築サポート、人事での新たなマーケット開拓が出来る様、「Bias to Action」を忘れず成長していきたいですね。

 インターン期間中お世話になりました、Dan-san、Chris-sanを始め、K2-san、Takeshi-san, Natsuko-san、Keiko-san, Takeda-san, Yamauchi-san, Naoko-san, Jim-san、Shinohara-san, Nakamura-san, Yasuko-san, Chie-san, Kodama-san, Hanako-san, Wakako-san, Yamaguchi-san, Kavita-san, Greg(Konstantin)、Katha、Tina-san, Norimaki-san,その他TCKK社員の皆様、Hakii-san、Kaiho-san, Oppata-san、Hisaeda-san、奥村、望月両教授には大変お世話になり、有難うございました。皆様の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

Regards!