2000年度夏合宿報告

 

 9月15日〜17日にかけて伊勢原セミナーハウスにおいて、夏合宿が行われました。この合宿の課題は、@進級論文・卒業論文の中間発表、A討論「国際化と教育について」、B討論「日本型情報化社会」、C二年生の役割分担の決定です。また合宿をおこなうことでよりゼミ生の交流を深めることができました。

 

最終日記念写真

合宿詳細

9月15日

 ●午後3時に伊勢原セミナーハウス集合、2年生Yoshioka.CとInamine.Sは病気と台風のため不参加、各自が部屋に移動する。

 ●午後4時より4年生の進級論文の途中経過を発表する。

 アメリカへの長期留学を経験されたMatsuki.Yがトップバッター。 次に、Takachi.Y、Shimada.Y、Shiraki.M、Oouchi.S、Suga.M、Kawanishi.Mの順で発表。 それぞれの方が、興味を持つ分野に対していかに自分なりの結論を持つかに志向錯誤 されているようでした。 発表の都度、教授より1人1人に丁寧な指導がありました。進級論文の詳細は電子会議室にて公開されています。

 ●午後6時より夕食・入浴となる。

 ●午後7時半より4年生の卒業論文の途中経過の発表。(詳細は随時追加)

 ●休憩、オリンピック開会式が気になる

 ●午後9時より「教育と国際化」についての討論、6班に分かれて班の意見を発表する。

 テーマ“日本経済における“教育と国際化”

  <進行方法>6グループ

@各班ごとの問題点抽出

A全体で問題点を統一

B問題点に対する解決法を議論し、それを1分まとめとして提示。


 

  @各班ごとの問題点抽出

   ○1グループ ・受身の授業 ・知識偏重型教育(知識の詰め込みが、真の教育とは言えない。) ・実用英語力が低い ・情緒教育不足 ・国家が欲する人材と現在の教育により作られる人材との乖離

   ○2グループ ・小人数教育への転換 ・詰め込み型教育 ・知識を利用しきれない ・スペシャリストの育成されやすい環境 ・教師が1人1人の生徒を把握しきれない ・能力を見出せない ・ゆとり教育

   ○3グループ ・自主自立求める教育 ・個人の選択権の幅が狭い (硬直的な教育制度) ・教育の産業化(受験) ・教育現場の学校しかない(勉強だけが教育でない)

   ○4グループ ・学校と家庭の役割 ・偏差値教育だけが重視されて、精神面が軽視されている ・詰め込み型教育のため、自分の考えが言えない

   ○5グループ ・教育の簡略化 ・ゆとり教育 ・カリキュラムに一貫性がない ・英語力不足 ・教育目的の不透明さ

   ○6グループ ・英語能力の低さ ・実際に使う場がない ・英語能力向上への聞き意識に低さ

 

 A全体で問題点を統一 “日本経済における教育と国際化”

   教育の範囲:高等教育

   発表フォーマット: 「日本経済を活性化させる上で、教育と国際化の問題を考えてみると△△△△。  何故なら○○○○。」

   ○1グループ 欲していた人材・・・事務員は必要でない。新しい発想が出来るクリエイティブな人材の育成が必要。 そのためには、初等教育に注目する。また、ユニークな先生に出会う事だ。 何故なら、、、。

   ○2グループ 解決法:英語能力、偏重知識、小人数制 特に、小人数制が必要である。 理由:スペシャリストを育成することで、新商品開発、また、新規事業を起すなどの経済活性化の因子創造を期待できるから。

   ○3グループ 解決法:英語力、専門性、自分自身で考える力 特に、自分自身で考える力が必要である。 理由:クリエイティブな発想が出来ると教育の現場においてもそれを活かした教育を期待でき、そこで培われた自主・自立性が将来の日本経済活性化につながると考えるから。

   ○4グループ 解決法:自分で考える力、ITの知識を持った人材、語学力 特に、自分で考える力をもった人材が必要。 理由:日本経済活性化のためには、新規産業を開発できるような創造性を持った人材が必要であると考えるから。

   ○5グループ 解決法:カリキュラム幅の拡大、英語力、大学教育レベルの低下 特に、大学教育レベルの底上げに力を入れるべき。 理由:大学教育を改革する事で、日本経済を活性化させる人材をつくることが出来るから。

   ○6グループ 解決法:詰め込み型の廃止、自分で考え独自の発想を持つ、教える側の問題解決 特に、自分で考え独自の発想を持つ事が必要である。 理由:クリエイティブな発想が出来る人の育成につとめることで    将来の日本経済活性化のために有意義であると思われる新規産業が生まれるであろうから。

 ●午後11時半に討論を終了する。

 ●就寝!?

教授の話

 初日の目的はゼミ生34人全員に話してもらうこと。そのために、“教育と国際化”という話しやすいテーマを選びました。

<後期の予定>

@後期は、ITに特化します。特に、産業別のIT化の進行に注目します。

A来年の8月から教授の1年間留学が決定したことが報告されました。それに伴い、2年生を早く育てるために、役割引継ぎを  例年より早く行います。

B教授の長期留学に伴い、今年のゼミ採用は少数に留めることを決定しました。

C来年8月からの教授の留学に伴い、インターネットを利用した遠隔地コミュニケーションによるゼミの運営の実験を行うことになりました。この件の詳細はまとまり次第報告します。

討論中の様子

9月16日

 ●午前7時起床・朝食、寝不足が多い・・・

 ●午前9時より3年生の進級論文の途中経過発表。

 2年次の進級論文テーマを扱う者もあれば、他のテーマを設定する者もいました。 しかし、2年次の論文の結論よりも、より納得のいく自分なりの結論を導こうと する姿勢は共通していたようです。 発表後、教授より1人1人丁寧な指導がありました。

 ●午前11時より2年生役員発表

新ゼミ長 Iino.K・・・ゼミ運営の中心となり、ゼミの目的・方向・運営の判断をしていく

副ゼミ長 Konishi.K、Takkamura.M・・・ゼミ長・その他の係りのサポートを行う、ゼミ長が不在の場合の代理を行う

サブゼミ長 Sannomiya.S・・・サブゼミの運営を行う

プレゼミ長 Inamine.S、Suzuki.R・・・新ゼミ生に対してのプレゼミの中心となる

PC班 Nagamatsu.K、Syoukonji.S・・・望月ゼミHP・経済学部HPの運営・管理を行う、またその技術を先輩から学び後輩に伝えていく

書記  Kawashima.Y、Tsuji.A・・・ゼミ活動を書記・整理し、PC班に提出する、これがゼミのHPに公開されることになる

幹事・会計 Tamura.N・・・ゼミ合宿、その他の集まりに対する幹事・会計

ゼミ連  Yoshioka.C・・・他ゼミとの会合に参加し、それをゼミに報告する。インナー・インター大会の責任者となる。

目標: ・チューターの徹底活用 ・知識・仕事の継承 ・個々人が自立し、機能すること

 ●午前12時より昼食。

 ●休憩、台風の影響か雷がものすごい。

 ●午後1時半より3年生の進級論文の途中経過発表。

 ●休憩

参考文献紹介

 ・タイトル 「日本型情報化社会−地域コミュニティーからの挑戦−」

 ・著者   宮尾尊弘

 ・発行所  ちくま新書

 ・巻頭言 

「日本経済が低迷状態からなかなか抜け出せない。本書では、今後、日本が経済っを建て直し国債競争のなかで勝ち組みの仲間入りをするためには、「日本型情報化社会」をつくり上げることが最重要課題であると説く。すなわち、わが国特有の地域コミュニティに焦点を当てて情報化を推進し、そこからビジネスや公共部門、そして中央政府にまで情報ネットワークをつなぎ合わせていくボトムアップ型のネットワーク社会を構築することである。著者自信が実践している豊富な先行事例を取り上げ、わかりやすく解説する。

 

 

3.“日本型情報化社会も目指すもの”グループディスカッション”

<進行方向>6グループ

■1セクション

@“経済活性化のための日本型情報化社会”の定義とその問題点抽出

A@で、抽出された問題の解決法の提示

■教授よりフォロー

■2セクション

@“日本型情報化社会”実現のためにはどうすればいいか。


■1セクション

●1グループ 定義: 地域コミュニティーネットワークを形成することによって創られる情報化社会

問題点: インフラ面: ・インフラ整備不充分 ・セキュリティー 能力面: ・使う側の知識が不充分 ・情報格差 ・指導者不足 規則面: ・さまざまな規則

●2グループ 定義: モバイル端末を用いた社会が情報化社会

問題点: ・通信料が高い ・インフラ整備が進んでいる ・法整備 ・市民認識の低さ ・民間レベルでの競争の抑制 ・教育水準の低さ

●3グループ 定義: 地域コミュニティーネットワーク

問題点: ・接続料のたかさ ・情報教育がなってない ・インフラ整備が出来ていない ・導入や維持コストが高い

●4グループ 定義: ネットワークを通じての双方向性を持たせた 情報交換可能な社会

問題点: ・通信料が下がらない ・インフラが整っていない ・国民のPCに対する意識の低さ

●5グループ 定義: 地域コミュニティーをベースにした情報ネットワークを各地に構築し、そのネットワークを 活用して産・官・学・民が対等な立場で協力し合い、新規産業などの経済活性化のための 環境が整備された社会。

問題点; ・将来像が見えていないためにITの必要性が浸透していない。 →ITを使いこなせる人材不足 ・セキュリティー不安 ・通信料が高い(→外資系の参入が少ない) ・インフラの不備 ・法制度に不備

●6グループ 定義: 地域単位の情報ネットワークを各地で構築し、外から内へ、内から外への情報交換が可能な社会

問題点: @パソコンの必要性がない A英語力のなさ Bパソコンを利用する環境が整っていない (通話力の高さ、インフラ不足、キーボード入力、  学校での授業の少なさ、知識を持つ教師不足、HP少ない、セキュリティーの不備、  高齢者多い)


■教授よりフォロー 情報化を社会に浸透させるためには、、、 ・民間主体(ボトムアップ)での情報化が重要だ。 しかし、 ・日本は、官主体(サプライサイド強化)であって民間主体(ボトムアップ)ではない。。 ・例えば、民主体で情報化を社会に浸透させるのに成功したアメリカに見習うべき点もあるのではないか。

アメリカに見る情報化 ・1970年代後半からボランティア団体が20年かけてネットワークを構築した。 このことから、情報化のためには自発性こそが重要であるといえよう。 ・民同士の競争。すなわち、NPO同士の競争。NPO・POの競争が社会に情報化を浸透させるのに大いに役立っている。しかし、ハーバードの政治学では、  このインターネットの横のつながりによる“国家の解体”が言われている。

マメ知識: ・アメリカの憲法には、“国を信用してはいけない”という条文がある。 ・カナダでは、社会への情報化浸透のために2年間の間、毎週、政府と市民による話し合いが持たれた。 以上のことから浮上する日本の問題点: 市民意識の低さ


■2セクション

●1グループ ・PCを利用しようとする意識の低さ ・接続料・通信速度・操作性といった要因による敷居の低さ ・地域コミュニティの情報化の重要性に対する認識の欠如の改善 特に必要なのは、地域コミュニティの情報化の重要性に対するに意識の欠如の改善

理由: 政府が国民に“地域コミュニティーの情報化の重要性”を明確に理解させ、 きっかけとしての制度、政策をつくる。

●2グループ ・規制緩和にともなう競争促進に通信料の引き下げ ・モバイル端末によるインターネットコンテンツの拡充とソフトウェアの充実。 ・企業によるカスタマーサービスの充実とアフターサービスの拡大

●3グループ ・情報教育をする ・福祉との組み合わせ ・インフラ整備 特に必要なのは、情報教育をする。

理由: 教育されていなければ、情報化への目的や利用法が曖昧になってしまうため。

●4グループ ・教育のPC整備を整える ・民間の競争市場を作る ・インフラの整備(政府と民間双方向性のための) 特に、民間の競争市場をつくる。

理由: 規制緩和や法整備で政府の干渉を減らすことによって、 民間企業の競争が強くなれば民間型の情報化社会というものが強化 されるのではないか。

●5グループ ・(産・官)サプライサイド強化 例:インフラ整備、法の整備、セキュリティー整備 ・(学)情報教育化 例:教育現場PCを導入、PC教育をしやすい ・(民)ディマンドサイド強例:政府による民間団体の活動援助(補助金、規制緩和、法の専門家の派遣)

理由: アメリカの例を見てわかるように、ボトムアップで行う事が必要である。 しかしながら、日本の特性に合わせて政府の位置付けを買えることが日本型情報化社会を 構築する上で必要であるから。

●6グループ ・規制緩和にともなう競争促進に通信料の引き下げ ・モバイル端末によるインターネットコンテンツの拡充とソフトウエアの充実 ・企業によるカスタマーサービスの充実とアフターサービスの拡充

 

 午後2時半より討論「日本型情報化社会のあり方と問題点」6班にわかれて班の意見の発表。

 休憩

 午後5時半に討論終了

 午後6時より夕食・入浴

 午後8時より親睦会

 就寝!?

親睦会の様子

9月17日

 午前7時起床・朝食

 午前8時半より最終ミーティング

1.教授、新旧ゼミ長より一言

<教授より> ・後期は、経済的な分析を主体に班ごとに纏め上げる方法をとります。

・合理的に考え、分かり易く伝える方法を学びましょう。

・来年度の研究留学ということもあり、ゼミ生とのコミュニケーションを とりたいと考えています。

・ゼミ以前の基本、礼儀、マナー、人に優しくを守る事。

<旧ゼミ長Morozumi.Tより> ・あと半年間、2年生を中心にいいゼミを作っていきましょう。

<新ゼミ長Iino.Kより> ・1番始めのゼミが1番大切だと考えています。 何故なら、半年という長期スパンにおいて起こり得る中だるみを上手く対処するためには、  始めに定めた方向性の確認によるモチベーションの再確認が有効であると考えるからです。 個の自主自立性を培いつつ、協力して頑張っていきましょう。

 午前10時解散

3.次週までの課題

○今回の議論“日本経済活性化のための教育と国際化”を踏まえた上で、日本経済活性化のための情報化社会のためにはどうすればいいかBBSに載せる。

○進級論文の進行状況をBBSに載せて下さい。来週まで。