電算機入門(水曜4時間目)の履修者へ

後期授業

1997.12.17

授業で提示したモデルは簡潔であったため、実際の貯蓄投資バランスの計算では、手直しが必要で、以下に計算結果を示しておく。
昭和45暦年
昭和46暦年
昭和47暦年
昭和48暦年
昭和49暦年
昭和50暦年
昭和51暦年
昭和52暦年
昭和53暦年
昭和54暦年
昭和55暦年
昭和56暦年
昭和57暦年
昭和58暦年
昭和59暦年
昭和60暦年
昭和61暦年
昭和62暦年
昭和63暦年
平成元暦年
平成2暦年
平成3暦年
平成4暦年
平成5暦年
平成6暦年
平成7暦年
1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995
企業計 -5,727.4 -6,609.8 -6,505.1 -11,879.1 -16,921.4 -13,364.2 -11,290.5 -10,086.4 -4,176.5 -8,963.7 -13,219.3 -14,873.7 -12,575.5 -10,295.6 -12,244.3 -15,879.3 -13,731.9 -15,072.8 -22,337.3 -33,218.7 -41,678.5 -37,621.1 -25,778.9 -10,264.3 -2,140.7 -8,084.6
家計 5,318.3 7,455.0 9,072.0 12,559.7 15,066.4 16,678.6 18,609.5 19,304.3 18,182.1 17,286.7 21,015.7 25,527.3 23,970.3 25,424.9 26,718.8 29,839.7 30,705.6 27,034.6 28,089.2 31,963.2 34,359.9 33,832.0 33,160.7 32,043.3 25,816.0 36,733.7
一般政府 1,209.4 927.9 -116.6 595.6 487.1 -4,104.5 -6,144.7 -7,076.4 -11,226.6 -10,507.0 -10,598.8 -9,879.0 -9,723.9 -10,257.4 -6,237.8 -2,603.7 -3,133.3 1,609.8 5,583.4 9,959.4 12,341.8 13,206.5 6,837.0 -7,634.5 -11,067.8 -17,879.0
海外部門 -709.2 -2,001.2 -2,000.1 33.0 1,329.3 200.4 -1,077.7 -2,843.1 -3,484.5 1,969.5 2,577.1 -1,147.0 -1,774.7 -4,960.4 -8,350.5 -11,517.5 -14,178.7 -12,541.2 -10,192.4 -7,853.1 -5,202.7 -9,014.1 -14,070.1 -14,504.7 -13,150.4 -10,171.9
統計上の不突合 -91.1 228.1 -450.3 -1,309.2 38.7 589.7 -96.5 701.5 705.6 214.6 225.3 372.5 103.7 88.5 113.7 160.9 338.3 -1,030.4 -1,142.9 -850.6 179.4 -403.3 -148.7 360.1 542.9 -598.3
合計 -0.0 0.0 -0.1 0.0 0.1 -0.0 0.1 -0.1 0.1 0.1 0.0 0.1 -0.1 0.0 -0.1 0.1 -0.0 -0.0 -0.0 0.2 -0.1 0.0 -0.0 -0.1 0.0 -0.1

ここでは、

海外部門の貯蓄投資バランス(国際収支)=民間(企業計+家計)の貯蓄投資バランス + 一般政府の貯蓄投資バランス(財政収支)

の基本公式が成立している。なお、海外部門のマイナスの数字は、海外部門から見た場合の赤字であり、日本から見ると黒字になること、そして、統計上の不突合がどうしても存在することに注意。また、企業計には

非金融法人企業(通常の企業)金融機関、および対家計民間非営利団体(私立学校など)を含む。

また、貯蓄投資バランスでいう投資には

総固定資本形成、在庫品増加に加え、土地の購入(純)を含む総蓄積貯蓄には、

貯蓄固定資本減耗資本移転(純)を合算した総資本調達(投資の源泉の意味)を利用する。
平成7暦年
非金融法人企業 金融機関 一般政府 対家計民間非営利団体 家 計(個人企業を含む) 合計
1. 総固定資本形成 71,620.9 1,922.2 30,860.0 1,611.3 30,777.5 136,791.9
2. 在庫品増加 927.1 20.4 947.5
3. 土地の購入(純) -148.7 157.6 5,815.7 189.3 -6,013.9 0.0
4. 貯蓄投資差額 -9,326.6 462.8 -17,879.0 779.2 36,733.7 10,770.1
統計上の不突合 -598.3
  総 蓄 積 63,072.7 2,542.6 18,796.7 2,579.9 61,517.7 147,911.3
5. 貯 蓄 9,489.8 903.3 16,698.5 1,194.1 43,261.1 71,546.8
6. 固定資本減耗 49,845.3 1,639.3 3,249.4 1,232.3 21,249.4 77,215.7
7. 資本移転(純) 3,737.6 -1,151.2 153.4 -2,992.8 -253.0
 1) 居住者からのもの -898.3
 2) 海外からのもの -252.9
統計上の不突合 -598.3
  総資本調達 63,072.7 2,542.6 18,796.7 2,579.9 61,517.7 147,911.3

なお、制度別で登場する土地の購入(純)は、統合勘定では国内のやり取りなので、合計ゼロになる。

例えば、平成7暦年を例に取ると、

10,171.9 = -8,084.6 + 36,733.7 + -17,879.0

従って、最終的に以下のようになる。

海外部門の黒字 10,171.9 = 民間の貯蓄投資バランスの黒字 28,649.1 + 財政収支の赤字 -17,879.0

ただし、統計上の不突合を除く。

来年初の試験においては、上で挙げた数字を利用すること。

授業の感想をメールで送ることを忘れないように。

Merry Christmas and a Happy New Year !!!

1997.12.10

財市場の回帰式が、次のとおりになった。

CP=-5787+0.7YD r2=0.996

t (-1.85) (67.7)

I+J=191617-14279.8RMAA r2=0.356

t (6.5) (-3.1)

MP=19089+0.039GDP r2=0.377

t (4.6) (3.3)

T=-7592+0.161GDP r2=0.989

t (-5.6) (41.8)

これらの式などを使ってIS曲線を導出する。その場合、RMAAをGDPで表現する式にする。ヒント、

GDP=CP+(I+J)+CG+E−MPに、それぞれ上の式を代入すると、

GDP=-5787+0.7YD +191617-14279.8RMAA +CG+E−19089+0.039GDPとなり、後はYDをうまく消して行く。最終的に、

RMAA=−?GDP+?G0+?Ex0+?

の形にする。

宿題として、上の4つの式を導き、IS曲線を計算してメールで送ること。

1997.12.3

財市場の回帰式を測定するためのデータの収集方法について説明した。日経NEEDSデータの中で、最も基本的なマクロデータの中から、以下のデータを使用する。なお、括弧内は日経NEEDSデータのTSコードで、この名前で直接入力可能である。

可処分所得 (YD)、国内総生産 (GDP)、民間消費 (CP)、政府最終消費(CG)、国内総固定資本形成(I)、在庫(J)、財サービスの輸出(E)、(控除)財サービスの輸入(MP)、全国銀行約定平均金利(MRAA)

これらのTSコードでこれまでの式を書いて見れば、

GDP=CP+(I+J)+CG+E−MP GDPが各構成要素の合計になることを確認すること。
CP= C+cYD (消費)
I+J=I−bMRAA (投資) 投資には、在庫投資(J)を含む。
CG=G (政府消費)
E=Ex (輸出)
MP=Im+mGDP (輸入)
YD=YD−T (可処分所得)

実際は、T=GDP−YDを計算

YDは与えられているため、ここではGDPからYDを引き、Tを計算する
T=T+tGDP (税金)

なお、期間については金利が76年からしかないので、76年から最新までとする。また、会計年と四半期の二つの方法で、それぞれ回帰すること。

宿題:以上の回帰式の結果をメールで報告すること。

1997.11.26

最初に、 IS−LM分析の原理を再度グラフを使って復習した。その中で、最終的に、Y と r の二つの変数が内生化することを確認した。経済原論で使われるグラフは仮説例にすぎないが、この授業では日経NEEDSデータにアクセスして、それぞれの回帰式を求めてゆくことになる。最初の式は、 C=C+cYd (消費)であり、可処分所得によって消費を回帰する。

宿題として、この回帰式を求め、その結果をメールで送ること。また、各自が行った回帰分析をデータとコメントをつけて提出すること。

1997.11.26

最初に、 IS−LM分析の原理を再度グラフを使って復習した。その中で、最終的に、Y と r の二つの変数が内生化することを確認した。経済原論で使われるグラフは仮説例にすぎないが、この授業では日経NEEDSデータにアクセスして、それぞれの回帰式を求めてゆくことになる。最初の式は、 C=C+cYd (消費)であり、可処分所得によって消費を回帰する。

宿題として、この回帰式を求め、その結果をメールで送ること。また、各自が行った回帰分析をデータとコメントをつけて提出すること。

1997.11.19

今日から、いよいよ最後の山場を迎える。それは、IS−LM分析に基づく、日本経済のマクロモデルの構築である。このモデルは、財市場と金融市場との同時均衡解を求めるもので、ここでは以下のように非常にシンプルなものとした。

財市場貨幣市場
Y=C+I+G+Ex−Im

C=C+cYd (消費)

I=I−br (投資)

G=G (政府消費)

Ex=Ex (輸出)

Im=Im+mY (輸入)

Yd=Y−T (可処分所得)

T=T+tY (税金)

M/P=L

L=kY−dr+L (貨幣需要)

P (物価水準、一定)

授業では、それぞれの式の説明を行った。次週からは、これらの回帰式を特定化する作業に入る。

1997.11.12

前回示した個別のデータのレベル(ミクロ)とそれらを集計したレベル(マクロ)の差は、経済学ではよく合成の誤謬として知られているものである。ここではバラバラであるデータが、合成すると一つの方向を示すことは以外と多いものである。どちらが正しいというわけではなく、分析の目的によって使い分けるべきであろう。次に、もう一つの回帰の分析の宿題を取り上げ、例として、渡辺、田辺両君の分析を例にして、モデルの設定について検討を加えた。このデータは以下のように投手の年俸の上下の原因を探るもので、要因として、勝ち、負け、防御率、セーブ、タイトル獲得数、出場試合数、奪三振数などを考えてモデルを組んでいる。ここで問題は、説明変数同志が独立でないと考えられるものが多く、そのために正しい変数が悪影響を被っていることである(防御率の影響が逆に出ている)。

相関表を見て、変数間の従属性を調べるとともに、t値が低すぎるものを省き、勝ち、負け、タイトル獲得数だけのシンプルなモデルにすると、最大の要因はタイトル獲得数であること、また、勝ちより、負けの方が影響が大きいことがわかった。しかしこのモデルでは決定係数は依然として低く、その他の要因、たとえば、交渉力などを入れるべきではないか、とも思われる。

年俸 防御率 試合数 SP 奪三振 タイトル 年俸
渡辺 秀和 1400 9 5 2.54 21 0 99 0 2800 概要
西崎 幸弘 4600 14 7 2.87 26 0 139 0 9400
星野 伸之 0 13 5 3.05 22 0 85 0 12000
回帰統計
野田 浩司 200 8 7 3.14 27 0 144 0 11300 重相関 R 0.802269
西口 文也 2900 16 10 3.17 31 1 173 0 1400 重決定 R2 0.643635
新谷博 4000 4 5 3.41 30 2 121 0 7000 補正 R2 0.557244
吉武 真太郎 500 8 13 3.44 35 1 83 0 2000 標準誤差 1334.033
工藤 公康 -1500 8 15 3.51 28 0 178 100 16000 観測数 42
芝草 宇宙 1600 7 9 3.81 28 0 67 0 2700
武田 和宏 3500 15 8 3.84 26 0 114 0 6300 分散分析表
岩本 勉 2500 10 9 3.99 27 0 144 0 2700
自由度
変動
分散
観測された分散比
有意 F
山崎 慎太郎 -800 8 13 4.15 25 0 107 0 8900 回帰 8 1.06E+08 13258745 7.450223 1.25E-05
小宮山 悟 -1000 8 13 4.54 25 0 90 0 12000 残差 33 58728255 1779644
成本 年秀 3500 7 6 3.32 45 23 64 100 6500 合計 41 1.65E+08
赤堀 元之 5000 9 4 2.09 44 21 67 100 10000
鈴木 平 4500 7 2 2.43 55 19 58 0 3500
係数
標準誤差
t
P-値
下限 95%
島崎 毅 3100 5 4 2.31 54 14 58 100 2500 切片 -643.997 2389.478 -0.26951 0.789212 -5505.43
塩崎 哲也 500 8 6 2.84 43 11 72 0 9500 X 値 1 257.4096 81.21167 3.169614 0.003286 92.18314
河本 育之 4400 4 5 2.78 50 10 76 0 6600 X 値 2 -249.468 92.48146 -2.69749 0.01092 -437.623
平井 正史 -1000 5 3 2.5 34 6 50 0 6000 X 値 3 20.46776 454.6682 0.045017 0.964365 -904.562
斎藤 8000 16 4 2.36 25 0 158 200 25000 X 値 4 18.17661 35.47978 0.512309 0.611847 -54.0076
ガルベス 5500 16 6 3.05 28 0 112 100 2500 X 値 5 89.51394 47.87804 1.869624 0.070431 -7.89474
吉井 1500 10 7 3.24 25 0 145 0 7800 X 値 6 13.12422 8.394619 1.563408 0.127497 -3.95478
川尻 2200 13 9 3.26 19 1 127 0 2900 X 値 7 12.79053 5.397178 2.369855 0.023795 1.80988
斎藤隆 2800 10 10 3.29 37 0 206 100 4500 X 値 8 -0.08531 0.054454 -1.56656 0.126759 -0.19609
佐々木 3500 4 3 2.9 39 25 80 100 14000
佐々岡 2500 5 7 1.7 49 23 71 0 6800
高津 800 2 6 3.24 39 21 35 0 9200
郭李 2200 8 9 3.62 45 15 81 0 4300
三浦 -200 5 10 4.93 34 0 101 0 3000
湯船 -600 5 14 4.84 29 2 98 0 5700
今中 1500 14 8 3.31 25 0 153 0 15000
山崎 1270 9 6 3.38 28 0 68 0 530
田畑 2300 12 12 3.51 33 1 109 0 1200
山本 -1000 7 9 3.67 26 1 119 0 13500
加藤 1700 9 7 3.78 25 0 55 0 1500
1500 11 14 4.01 30 0 145 0 4500
野村 1800 10 8 4.12 25 0 85 0 5800
紀藤 1300 12 7 4.27 26 0 114 0 6200
河野 1800 6 1 3.29 39 3 39 100 6000
山内 1300 11 8 3.9 46 0 107 0 3100
遠藤 1800 8 4 3.84 49 1 73 0 900

1997.11.5

統計的推定と検定の問題を簡潔に説明した。特に、誤差項と説明変数間における独立性が大事であること。また、t検定によってモデルに取りいれるべき変数であるかどうかをチェックする事の重要性を述べた。さらに、モデルの設定によっては、まったく逆の結果を生み出すような仮説的なケースを取り上げ、モデルの設定の難しさを見た。これは、個々の競争の強さとその地域の売上高を回帰した場合は、決定係数がゼロとなったが、これを地域の平均の競争の強さと地域の平均の売上高との間には、決定係数が1となり、完全に説明できる。この極端な違いは何であろうか?これは、いわゆる合成の誤謬であり、ミクロとマクロレベルの違いである。変数によっては、このレベルをたがえてモデルに入れた場合、極端な場合、パラメーターの符号が逆転すること、すなわち、こうした間違えた変数の導入によって正しいモデルに悪影響が及ぶことに注意。

また、前回提示した各自のモデル設定がどうしても思い浮かばない人は、新宿からの距離と急行停車駅などの説明変数によって、家賃を説明するモデルを考えること。

1997.10.27

多元回帰の例として、教科書に倣い消費と所得と家族数で説明し、家族数という新しい情報によって決定係数が約0.6上昇したことを確認した。(家族すうだけで単回帰を行うと決定係数は0.5しかないことに注意)また、続いてランダムな年齢のデータをさらに追加して見たが、今度はほとんど決定係数は上がらなかった。ここで重要なことは回帰分析を行う祭に、最初に決定係数の平方根である相関係数を各変数間で求め、あらかじめ有効な変数を選出することである。実際には、相関表を計算し、ほとんど相関のない変数をチェックすることになる。また、回帰分析においては通常新たな変数の追加は決定係数を必ず上昇させるため、見かけ上の当てはまりはよくなるが、被説明変数を説明する変数の真の因果関係を見ずに、ただ変数を追加してもまったく意味のないことに特に注意を払うべきである。偶然に一致して同じ方向に動く変数はいくらでもあること、また、変数の背後に因果関係を持つ変数があることはごく一般的であること、この2点は忘れてはならない。その後、多元回帰の例として、量だけではなく質のデータを取り扱う方法としてダミー変数を説明した。戦争時、平和時の消費への影響や、職業別、学歴別の特定商品への購入に対する影響について述べた。

宿題として、各自自分の問題設定の中で一つの回帰分析を行うための、基礎的なモデリングを行い、メールで送付すること。

言い換えれば、何を被説明変数として、何を説明変数とするか、その関係はいかなる因果関係が期待され、合理性があるか、などについて考察すること。実際のデータについては来週とする。

1997.10.22

最初に、前回説明した基本統計値である分散を再度詳しく説明。分散と単回帰における回帰の周りの分散との関係を誤差の程度の減少と捕らえ、新しい情報系列の導入によってどの程度誤差が減るのか、との視点から、決定係数を考えた。これを体感してもらうために実際に様々な場合をエクセルを使ってシミュレーションを行った。そのさい、最初に散布図を書き、2変数の間の関係を視覚的に捉えておくことが必要であることも述べた。次に、単回帰から、二つ以上の変数によって一つの説明変数を回帰するいわゆる多元回帰に話を進めた。その際、教科書にあるように、消費水準を単に所得の水準だけで回帰するよりも、例えば、家族数などの新しい変数を導入した方が当てはまりが良くなることが期待されるのである。(家族数だけで、消費水準を回帰しても、高い決定係数は得られないことにも注意。)この多元回帰については次週に詳しく説明される。

1997.10.15

最初に、基本的な統計値である、分散(平均からの偏差の二乗の和の平均)、標準偏差(分散の平方根)について説明。共に、エクセルには関数として入っている(varp,stdevp)。それを基にして、いわゆる偏差値の意味を考えた。これは、すなわち、素点の平均との偏差を、標準偏差で測り直した物であることを確認した。次に、回帰の周りの分散の概念(実際の値と、回帰式が与える推計値との差の二乗の和の平均)を取り入れ、単純な分散と比べて、どの程度精度が向上したかを示す指標である決定係数を説明。決定係数が1の場合は、データが完全に回帰式上にあり、逆に0の場合は新たに導入した、説明変数が何ら説明される変数に対して、説明力を持たないことを意味する。

1997.10.1

正規方程式を再度説明し、回帰分析の理解を深めた。前回正規方程式のパラメーターを計算する方法で、回帰式を求めたが、今回はExcelに組み込まれた分析ツールを使って解く方法を学んだ。注意すべき点は、最初からこの分析のツールが組み込まれてはいないので、「アドインの登録と管理」を選択した後で、「分析ツール」をクリックして組み込むことが必要である。今の段階では、統計値の判定については触れずに、単に回帰式を特定するだけで良い。練習として、日経ニーズデータから1955年からのGDPと消費のデータを読み込み、四期(1955-1973,1974-1979,1980-1991,1992-1995)に分けて回帰式を特定化して、結果をメールで送ってくることを宿題とした。
なお、次週は所要のため講義は休講とします。

1997.9.24

最初に、後期の授業計画について概略を示した。後期は、@回帰分析の手法を学び、それに基づいて、A日経ニーズデータにアクセスして回帰式を策定し、B最終的にIS−LMモデルに基づく日本経済のマクロモデルを構築することとする。使用する教科書は、宮川公男著、「計量経済学入門」日経文庫。

教科書の96ページに沿って、回帰式の意味を説明した後で、具体例として収入と支出の仮想データを入力し、散布図を書いた。また、正規方程式を解くためのパラメータの計算を行った。

1997.7.9

ケインズの投資の乗数効果を、最初式で確認した後で、実際の経済活動の中ではどのような過程を経るのかをシミュレーションした。

ΔY = 1/(1-a) ΔI (ここで、ΔYは所得の増加分、aは限界消費性向、ΔIは投資の増加分。)

例として、投資が10増加したときは、最初同額の所得が増加する。その所得のうち aΔYが、消費増となる。これはまた所得の増加となり、以下同様に波及効果が働くことになる。シミュレーションでわかることは、乗数倍の所得の増加が得られるのは、あくまでも波及効果が無限回繰り返された時であることである。

この事を各自が理解してもらうために、限界消費性向や投資の増分を変えたりして一つのシミュレーションを行い、それを提出すること。(宿題)

1997.7.2

ケインズの投資の乗数効果を、初めに数式の展開で説明した後、それを経済活動の中でどのように波及してゆくかを体感してもらうために、コンピュータを使ってシミュレーションをした。投資を増加させたときの実際の波及効果を、各ステップごとに計算し、無限回繰り返したときのすべての波及効果の合計が、所得の増加分となることを確認した。乗数が、限界消費性向、sによって変化することも、いくつかの初期設定を変えながらシミュレーションして確認した。

1997.6.25

大型コンピュータ上のデータベースへのアクセスの確認として、GDPの主要構成要素である、消費、投資(固定資本形成)、政府最終消費、輸出、輸入のデータを各自が、自分で探し出すことを試みた。データの山の中で、目的の物を探すことは、なかなか困難であった。また、あわせて名目、実質のGDPとデフレーター(1985年を100とする指数)の意義を過去のデータをグラフ化して理解した。さらに、GDPの二つの側面である、最終需要(支出)面と付加価値の合計である分配面(雇用者所得、営業利益など)の額が実際に同じになることを、計算で確認した。

1997.6.18

今回から、日経NEEDSデータへアクセスしてデータを取り込むこととする。そのために、大型コンピュータ上のNEEDSにアクセスし、選択したデータを大型コンピュータからフロッピーへ転送させる実際の手続きを試みた。

取り込み方の確認

@M680Hのアイコン(COMMNUNINETのフォルダの中にある)をダブルクリックして大型コンピュータにアクセスする。

  1. ユーザー番号、パスワードを入力
  2. >>が出たら、NEEDSと入力し、CTRLキーを叩く。
  3. 必要なデータを検索する。
  4. 必要なフォーマットでデータを取り込む。この場合、MSDOS用転送(6)にすることが必要。また、年次、四半期、月次データの区別を間違えないこと。
  5. F11を何回か押して、最初の>>の画面に戻す。
  6. IFITと入力して、転送ソフトに入る。
  7. データの名前を@HENKAN.DATAとし、フロッピーをコンピュータに差し込んで、CTRLキーを叩く。データの転送が始まり、しばらくして終了する。
  8. 大型コンピュータから脱し、EXCELLを立ち上げる。
  9. フロッピーの中から転送されたファイルを読み込む。その際、カンマ区切りのオプションをつけることが必要。
  10. 転送されたデータが表示される。

今週は、特に宿題を課さないが、各自以上のデータ取り込みの方法について練習しておくこと。

1997.6.11

経済データを取り扱うときに、百貨店の売上高、GDPの四半期ごとの伸び率など、季節要素を考慮することが必要な時がある。ここでは、実際のデータとして日本の経常収支のデータを取り上げ、一番簡単な中心化12項移動平均法を使って、季節調整の手法を学んだ。データは趨勢と周期的な部分(TC)、季節要素(S)、そして不規則な部分(I)によって出来ており、まず、TCを移動平均で求め、その後原データで割ってSIを出す。SIからIを取り除くことはやや煩雑なので、今回は割愛した。宿題としてTCの前年比をグラフ化してくること。

1997.6.4

GNPの構成要素である、消費、投資、政府、輸出、輸入のデータを取り上げ、それらがどのように成長全体に寄与してきたのかを見るために、寄与度、寄与率分析を行った。寄与度は各要素の前期比伸び率を、その要素の前期の構成比でウエイトづけたものであり、寄与率はこれを全体の伸び率で割ったものである。宿題として、前期比伸び率、構成比、寄与度の表を計算し、プリントアウトすること。

まだ理解できていない人のために、以下に例を挙げる。

簡略化して、GNPは消費と投資のみとする。

GNP残高 消費残高投資残高GNP前期比 消費前期比投資前期比 GNP構成比消費構成比投資構成比 GNP寄与度消費寄与度投資寄与度
前期10080 20 100%80.0% 20.0%
今期12090 3020.0%12.5% 50.0% 20.0%10.0% 10.0%

なお、この場合、寄与率は消費、投資とも50%(なぜならば、寄与度がそれぞれ10%であるため、全体の伸び率20%で割れば、50%となる)

1997.5.28

今日から、いよいよ経済学へのコンピュータの応用になる。手始めに、日本の戦後50年のGNPのデータを入力し、グラフ化を行い、対前年比伸び率を計算して、いわゆる高度成長期と、安定成長期の大きな局面をつかむ。宿題として戦後50年の主要な経済に関わる出来事をこの伸び率の表に書き込み、プリントアウトする。

1997.5.21

大学志願者数のデータを使って、各種のグラフを作る。来週までに、地方の経済データを入力してくる。

1997.5.14

表計算ソフトの歴史とその機能を簡単に解説。1980年の日本のPIPS(私が作成)、とアメリカのVISICALCが新しい技術の種(この場合コンピュータ)を利用する技術を刺激し、同時に世界の別の場所で開花したこと。仕事をこなしながら、それぞれの仕事を機能的にモヂュールにわけ、その組み合わせで柔軟なシステムとなったこと。コンピュータの専門家ではなく、ニーズ(仕事上の必要性)を満たそうとする現場から生まれたこと。

そして、表計算の原理: 多くの「仕事」が「表」化出来ること。また、「表」の加工処理が出来れば、それば「仕事」をすることと同じになること。

MicrosoftExcelを立ち上げ、初歩的な機能を説明。

例題用の表を作成し、フロッピーに保管しておくこと(宿題)

私宛ての自己紹介を来週までに送付する(宿題)

1997.5.7

インターネットのホームページの起動方法の復習。E-MailのためのMail and News Preferencesの設定。

宿題: 来週までに各自自己紹介文を書き、私宛てにメールを送付すること。自己紹介には、

  1. 出身高校
  2. 高校時代の思い出
  3. 大学生活について
  4. 就職について
  5. 趣味

以上、5点を必ずいれること。

私のE-Mailアドレスは、gratias@alles.or.jp

1997.4.23

授業内容の確認

コンピュータシステムの概要(ハードウエア{Monitor,Floppy disk, Hard disk, Keyboardなど}、ソフトウエア{オペレーティングシステム、アプリケーションソフト})、数字の数えかた。起動の仕方。インターネットのNetwork Preferencesの設定。

proxy#.isc.senshu-u.ac.jp port 8081

パスワードを忘れた人は次回までに必ず取得しておくこと。

この授業を履修している人の中で、インターネットの経験者は、未経験者に対して先生の補助を行うチューター制度を取り入れますので、希望者は私宛てメールください。

次回は、各自の自己紹介、履歴(これまで歩んできた道)を書いてもらい、インターネットに載せるので、用意しておくこと。

1997.4.16

ガイダンス授業での確認

  1. コンピュータ口座を作ること
  2. フロッピーディスクを持ってくること
  3. 情報処理機をのテキストを購入すること