第15回望月宏ゼミナール活動報告
1997年11月13日
14:40〜18:00<連絡>
来年度は、後期に3ヶ月間ハーバード大学に行くため、電算機入門、情報経済論は前期2展開で行う予定。また、来年度の新ゼミ生の募集は、テレビ電話を使用して行う予定。
来週より、「日本再浮上の構想」を事前に読んでおき、感想を宮沢君までメールで送ることにする。
11月15日(土)12:30に図書館前に集合。13:00より17:30まで部門別討論会を行う。
12月4日(木)ゼミ終了後、新ゼミ生歓迎会を行う予定。詳しい場所、時間については未定。なお、都合の悪い人については担当まで連絡すること。
<ゼミナール活動>
UNIT60「貿易」より単語9個、UNIT61「貿易摩擦」より単語10個、英作文5個のテストを行う。
第三章 歴史の教訓( 担当 石浦 小倉 大前)
(上田)日本においてケネディ教授の言うように軍備拡大をしていく可能性があったか。
(清水)ケネディ教授の警告である一国の発展と衰退のパターンがすべての国に当てはまるか。
(秋元)長期的に見た場合空洞化は存在するのか。
(小野)軍備拡大は、経済成長を阻害するとは限らないのではないか。
(矢内)平和ボケを認識したところで、次の世代の発展を迎えることができるのか。
(宮澤)システムや考え方の硬直性ゆえに内的矛盾が深まったのかどうか。
(三冨)第二次世界大戦前は自国内での経済発展が不可能だったため軍備拡大にいたったが、現在の国際情勢から考えるとできるとは思えない。
(先生)今現在は「領土拡大」ではなく、「領土確定」の時期に来ているといえる。
(梶山)かつての海外侵略を、現在の直接投資に置き換えて考えることも出来るのではないだろうか。
(奥澤)現在は海外進出によって友好関係が出来ている。他の国と争うのではなく相互依存関係を築ける点で、異なるのではないか。
(宮澤)大打撃を与える力をもっていると言う点では軍備と変わらないのではないか。
(渡辺)環境破壊を促すと言う点では侵略ではないか。
(梶山)直接投資の増加はその国の産業構造を変えてしまう力がある。これは侵略と言えるのではないだろうか。
(矢内)アジアの国では企業が活動しやすいように規制緩和等を行っている。軍事問題と結び付けるのはナンセンスではないか。
(先生)経済活動であるから相互依存関係であるが、実際、他から見ると侵略と見られる場合もあったかもしれない。そういう部分は反省が必要である。かつて日本は軍事的に侵略した経緯があるから、経済活動も侵略的に捉えられているのだろう。
(石浦)かつてのオランダとは逆に、橋本首相は外交ではポイントを稼いでいるが、国内では難問が山積みになっているのではないか。
(清水)オランダが、かつて英、仏から叩かれたように、現在の日本も米、中から経済的な面で攻撃されるのではないか。
(宇多)攻撃はされないと思うが、自分の意見を言わない日本は無視されていくのではないか。また、経済的に日本の魅力がなくなっていくのではないか。
(先生)日本は、資本主義を行う上での基本的な倫理観に欠けている。アメリカは企業倫理がしっかりしている。社会の一員としてするべきことを考える時代になっている。ベンチャーでは、企業倫理観を持ってこそ社会で評価される。自分が傷つくことを恐れていては成功できない。日本全体が目先のことだけにとらわれて、“長いものには巻かれろ”的な考えでは結果的に世界に貢献できない。倫理観において、日本は世界の基準から遅れている。先進国なのだから、もっと世界の水準に近づいていく必要がある。
(渡辺)日本の市場には、現在では魅力がある。段々食いつぶされていって、次第に魅力がなくなってしまうのではないか。
(宇多)日本に魅力がないとしたらどのような要因によるものか、金利が低いからか。
(安西)金利は前から低いと言える。日本経済の不透明さが魅力の無さにつながっているのではないか。具体的な政策が行えていないことも要因の一つではないだろうか。
(先生)株価の低迷で赤字に転落する企業も出てくる。前まではよかったが、現在は企業の体力が減ってきており打つ手が少なくなってきている。日本の財政赤字は額的には大きいけれども、それ自体が大きなダメージではないし、対外的に大きな負債を抱えているわけでもない。政策を間違えると、5〜10年単位で悪影響が出てくるだろう。
*一部編集してあります。(書記
石井)
第16回望月宏ゼミナール活動報告
1997年11月20日14:40―18:00
<ゼミナール活動>
1.
英語テスト(TIMEキーワード800)2.
ディベート日本再浮上の構造(議長 佐山)第四章
財政破綻か再建か(担当 上田、佐山、小川)議論提案
(宇多)日本は対外債務国ではないが、日本国内の赤字は確かに問題がある。
(安西)経済対策と財政対策のどちらを優先させるかが、今回の論点である。日本の財政赤字は今日まで、累積しているにもかかわらず金利は上昇していないが、著者は赤字累積が金利上昇を引き起こすとしている。矛盾があるのではないか。
(宮澤)財政構造の改革、政策よりも、高齢化、少子化による歳出が見込まれているので、歳出を押える政策を優先させるべきではないか。つまり、老人社会をどう支えるの
かということも重要な論点の一つである。
(松崎)少子化による歳入減少、高齢化による歳出増加が今後考えられるが、公共投資の必要なもの、不必要なものを見極め、取捨選択をする必要がある。
(斎野)赤字を公債で賄っているが、公債依存をするのか、脱却するのかということもひとつの論点である。支出増加による国民の負担は高まることになるが、その支出に見合う効果を考える必要がある。
(先生)現在の景気緊急対策は中・長期的なもので、即効性はないと思われる。
(三富)日本の財政赤字はかつてのアメリカほど深刻ではないが、対外債務国になる可能性は充分にある。公共投資を減少させ、情報化投資をするべきである。
(先生)電気・通信業界の規制緩和は、政府も実際に力をいれている。規制緩和による景気対策というところも論点の一つである。
(渡辺)アングラ経済をなくすために、新円をつくり闇金を回収してはどうか。
日本の財政赤字の問題点
(議長)日本は貯蓄がかなり大きなウエイトを占めて現在の経済を支えているが、財政赤字がどのように影響しているのだろうか。
(吉田)今は、財政赤字を身近に感じないが、将来高齢化になるにしたがって問題も生じてくるので、今考えるべきだ。
(秋元)少子化による将来の国民の負担を考える上でも財政再建を考える必要がある。
(清水)景気回復のため、競争を活発化させようとしているが、現在の政府は景気対策と福祉対策などを同時にやろうとしていて、どこに重点を置いているのかわからない。
(先生)支出の是非を見極める必要がある。
(議長)財政赤字を見直す必要があるということで一致している。景気対策優先か、財政再建か、それらの同時進行か。
(清水)今するべき景気対策とは何か。
(庸)
経済回復により財政再建はできる。短期的な財政支出は仕方がない。中・長期的な視野に立った景気回復策が必要である。(上田)短期的な景気回復は所得税減税・公的資金の導入によるベンチャー企業の保護等が挙げられる。
(安西)法人税減税により、購買意欲を掻き立てるということも挙げることができるが、日本の消費者の購買意欲そのものが変化している可能性があるので、それらの対策が今現在の日本に効果をもたらすのかということは疑問である。
(清水)財政支出を短期的に伸ばし、情報投資をすることにより、地方も含めた情報インフラを構築してはどうか。
(小川)アメリカの情報投資による成功を見本として、情報産業を発達させたらどうか。
(宇多)ネットワークを充実させることは、都市移転問題等を解消できる。財政支出を押える効果があるのではないか。
(秋元)地方のネットワークを拡大させると言っても、闇雲にできるわけではない。
(吉田)購買意欲の話に話題を戻すと、少子化の影響で子供を対象とした、製品に焦点が当てられている。
(先生)女性向けの製品も多い。
(渡辺)日本人は、限界効用を越えているので、貯蓄などにお金が向かっている。ネットワークなど新しい分野にお金をかける人が多い。
(註)一部編集
(書記 矢内)第17回ゼミナール活動報告
11月27日(THU)
14:40〜18:30p.m.書記/三冨
成樹
【連絡事項】
<先生から>
・・・ゼミ生全員、テキスト「再浮上の構想」の事前の感想とディスカッション後の感想を宮沢くん宛にメールで送る。または、自分でホームぺージに載せること。次回のゼミまでに徹底しましょう!<宮沢より
1997.12.1>「日本経済の再浮上」専用の掲示板をネットラピュタにつくりました。この掲示板では、個人のレポートにたいして意見を入力できますので言いたいことがあったら遠慮せず入力しましょう!もちろん全て自動掲示です。
今後はこの掲示板にレポートを送ってください。(更新時間のロスを防ぐため)
ある程度掲示板にデータがたまったら、従来のように私が並べて掲示します。
それではよろしくお願いします。
【ゼミナール活動】
<TIMEキーワード800
単語・英文テスト>UNIT 62「累積債務」単語9コ
UNIT 63「財政」単語13コ・英文3コ
<4年生
卒業論文 中間レジュメ発表>松崎さん「電子マネーによる金融機関およびシステムの将来像の研究」
他の4年生は後で発表
<ディスカッション「再浮上の構想」第5章>
レジュメ担当・・・梶山・山條・奥沢
佐山/制度的不公正について話し合っていこう。
小野/世代間の不公平は問題だ。日本の年金制度の基礎は70年代につくられた。その当時の年金制度では、将来の高齢化・少子化は考えられてなかった。年金制度はこれから金銭的に世代間の格差が広がっていく。システムの改革が必要。
渡辺/日本の年金制度は職業間に不公平がある。例えば、会社員と自営業者の違い。会社員は毎月年金が引かれるが、自営業者は払いたくなければ払わないことが可能。また最近、若者の年金離れが懸念される。他にも、障害者ならば年金によってかなり負担してもらえるが、健常者はにとってはそれほど魅力がない。つまり、魅力ある年金が求められている。
大前/私の親から聞いた話。私の祖父母の代は年金がもらえているが、私の親の代で既に年金をもらえるか不安を抱いている。年金をもらえないのであれば、自分で貯蓄した方がよく、年金を支払わなくてもいいと思っている人がいる。
小川/私の親は自分の年金を払ってくれている。学生から年金を支払わせる制度をやめた方がいいのではないか。
奥沢/年金にも所得税の累進課税制度のようなものを導入するべきではないか。また、60代の社会的地位のある高所得者には年金を支給する必要はないのではないか。
先生/橋本内閣は年金の累進課税制度を考えている。
佐山/年金は不必要ではという意見があるが、どう思いますか。
清水/私たちの親の世代は年金が支給される年代になっても、おそらく働き続ける必要があるだろう。しかし実際には、60代で働き始めるのは大変。また、親は子供へもお金を吸い取られている。だから、70歳になって初めて年金を支給されるのはつらい。
秋元/根本的な問題として、私たちは本当に年金がもらえないのか。
先生/長生きすればするほど、年金は得することになる。年金制度は平均寿命と関係してくる。
清水/人生は順調に行けばいいのだが、どんな天変地異が起こるかわからない。だから年金は大事。私の祖母は93歳で頑張っている。
先生/人間の寿命は科学的に実証されている。150歳なのだ。少子化が進んでいる。晩婚化が進んでいるが、女性の閉経期は48歳であり、この年齢は昔からそれほど変化がない。ピンクレディーのMIEは39歳で結婚した。昔は人生40年だった。私が懸念していることは若者の悲観的なものの考え方。日本の将来はきっと悪くなるから、今のうちに遊んで好きなことをやろうという人が増えているのではないか。
渡辺/実際にそのような若者が増えていると思う。
清水/40代で先生のような目標達成型の人間はなかなかいない。
佐山/年金の話に戻そう。
姚/年金は老人を支えるもの。今の20代は年金をもらえないかもしれない。高齢化は恐くない。恐いのは少子化。人口が少なくなったら、老人を支えるためのお金を出す人がいなくなってしまう。
清水/たとえ自分が年金をもらえなくても年金を払うべきだ。昔は何世代もで暮らしていた。今は親は田舎の過疎地、子供は東京で暮らしているケースが多い。子供は親のために何もしてやれない。だから、せめてでも年金を払うべきだ。自分の子供たちの世代には負担させたくない。
秋元/それは自分がもらえなくても年金を払うということか。
清水/自分がもらえなくても年金を払うということ。
梶山/そうすると年金自体の意味がなくなるのではないか。税金として生活保護をすればいいのであって、年金が必要なくなるのではないか。
姚/厚生年金は毎月いくら支払うのか。
先生/収入によって、人によって違う。
年金制度の話をしたい。私の年金は収入の17%だ。そのうち8%は自分が払っている。一般に企業は年金の半分を負担している。企業はその負担を減らそうとしている。官庁は年金がいい。
秋元/そんな長く生きれると思わない。私は年金のために公務員になったわけではない。
先生/税金と思って年金を払っている。中国は税金で賄っている。すっきりしている。年金に代替するものがあるのか。
姚/中国は企業年金。
先生/私は所得税に収入の15%払っている。可処分所得は7割を切っている。これから日本は可処分所得が減っていく。おそらく半分くらいになるだろう。
山一證券の話。落ち着く必要がある。金融は信用で成り立っている。山一證券は赤字で倒産したわけではない。資金を貸してもらえなくなって倒産した。今の日本はお金はたくさんあるが、海外からの信用が落ちているのが現状。
佐山/まとめる。これからは魅力ある年金制度が求められる。年金制度の見直しが迫られている。
先生/年金の意味付けが変わってくる。
≪≪≪≪≪休憩≫≫≫≫≫
渡辺/医療システムに問題がある。医者が患者に対してもっと情報開示するべきだ。患者は多量の薬を与えられるが、本当に必要なのか理解できない。
先生/アメリカの医者は患者に対して、診察する前に何をするか説明する。説明しなければ、患者から訴えられることがある。
姚/私は2年生のとき、東村山の老人ホームを見学した。施設はとてもきれいで、ホテルのようだった。しかし、私的な老人ホームなので費用が高く、最低料金は月に一人60万円。裕福な人しか入れない。一般の人はどうしたらよいのか。
清水/医療の問題について、市場と関連づけるのは難しい。なぜなら人の命に関わるから。アメリカでは臓器移植でも合理的。例えばアメリカでは、病院に行くと3人の医師を用意される。Aランク、Bランク、Cランクの3人の医師の選択権を与えられる。
矢内/医療制度に競争意識を植えつけるべきだと著者は述べているが、少し疑問に思う。先日、次の内容のテレビを見た。ある病院では、医師がまるで営業マンのようになっていた。患者にある程度、薬を与えるノルマがあり、ポイント制になっていた。老人ホームに入ればいいというが、貧しい人は現実には無理だ。そこで私は考える。病院での老人の無駄な外来をなくせばいいのでは。
先生/現実に老人にも医療負担をさせることによって、老人の外来は3分の1に減少した。若干のコスト意識が必要。
矢内/老人に対して、病院が会合の場ではないことを意識させるべき。親族が家に老人をいさせたくないから入院させるという考え方が問題。
先生/ある人の話。家で死にたくても死ねない現状にある。大半の人が病院で息をひきとる。家で死んだ場合、警察が他殺の疑いをかける。誰しも本当は家で死にたいはず。新しい方向としてホスピスがあげられる。みんなが「死」に対して正面から考えるべき。
矢内/都立病院の医師が言っていた。3ヵ月入院していると退院させられる。
先生/病院のベッド数が足りない。入院するのに待たされる。院長などへのコネを使わないと、なかなか入院できない。
アメリカでは医師にランクがあるが、逆に医師も患者にランクをつける。医師は大企業の高い保険を支払っている人から診察する。国の保険に入っている人は最後にまわされる。競争意識が強すぎるとアメリカのようになってしまう。多少の自己負担は必要。
日本の医療費は安い。人間の命を預かる医療制度に市場原理を入れすぎるのは問題。
渡辺/日本の福祉施設は企業との紐付きが多いのではないか。
先生/厚生省と福祉施設の問題がある。
市川/高校の頃、千歳船橋の公的な老人ホームに行った。高そうなところではなかった。職員が老人にやたらと薬を飲ませることが印象に残った。
近所のおばあさんの話。そのおばあさんは川崎市からヘルパーを呼んだ。世話はそんなにしてくれない。一緒に話したり、散歩をしてくれるだけ。私の母が川崎市に問い合わせると、ヘルパーはほとんどボランティアだから干渉できない。
テレビのニュースで、ある大学では介護義務の授業があると聞いた。いいことだと思う。
秋本/なぜ意識の低い人がヘルパーになれるのか。
宮澤/私の祖父は10年くらい入院していた。家で倒れたとき、病院のベッドがないと言われた。そこで、家にヘルパーを呼んだ。ヘルパーは実際にたいしたことをしてくれない。ヘルパーだけで解決しようというのは問題。介護してくれる人に対しては、高いPAYを支払う方がよい。その方が、家族は安心できる。
矢内/製薬会社のボーナスが今回高いと聞いた。外資の会社をもっと参入させれば、競争原理が働くのではないか。
佐山/無駄を省くために効率よくするのはいいが、人に命が関わってくるので、なかなか難しい。
先生/みんなのおじいさんの世代は、戦争を勝ち抜いて高度成長を作ってきた。若い頃、楽しんでいない。そのおかげで、私たちは今の生活をENJOYしている。
アメリカのある家庭の話。年金だけで十分に暮らしている。中小企業の年金なので、支給額はそれほど高くない。つまり、公共料金や食料などの物価が安いから、十分生活できる。日本も年金を上げることを考える前に、生活環境・実質賃金について考えることが必要。
<4年生 卒業論文 中間レジュメ発表 再開>
秋元さん「クルマ社会を考える〜安定成長を損なわないCO2、NOXの削減〜」
石浦さん「中小企業をめぐる構造変化および活性化への環境整備」
上田さん「世界の食料需給」
梶山さん「情報化社会と標準化」
斎野さん「廃棄物問題<リサイクル産業の低迷(その要因と打開策)>」
清水さん「リネットワーキング・インダストリー」
姚さん「中国の金融政策についての考察」
<学内大会・インナー大会の報告>
野崎くんから、学内大会・インナー大会の結果報告が行われました。
詳しい内容は、97年度学内大会・インナー大会報告をご覧ください。