日本経済の再浮上第四章
事前予習レポート集<宇多良隆>1997.11.17
今日の財政危機は誰の目にも明らかであるが、先生が先週のゼミでおっしゃったことの中に、財政赤字は対内的なものであって対外的なものではないので、後回しでもよいといったニュアンスのものがあった。確かにアメリカなどは、日本は財政改革をする必要はないといっているようであるが、実際のところはどうであるのか。
<安西正幸>1997.11.18
第四章を読んでみて
ここでは「財政破綻か再建か」が問題点として挙げられている。この問題はたしかに今後の日本の将来をきめることになるだろう。そしてこの問題にまたも難題が加わった。それは「景気対策か再建か」という問題である。
財政問題はそもそも歳入・歳出の均衡を目指して色々と政策を模索しているが、最近歳出の削減政策の声がうすれ、歳入のほうばかり話題になっていると思う。政府は財政の再建を優先するというなら、歳出の削減をするような政策を早急に実施してほしいものである。
<宮澤淳>1997.11.18
「景気は緩やかな回復をしている」という表現が適切でないとして、一般市民からバッシングを受けているというニュースを見た。適切なのは「景気は足踏み状態である」という表現だそうだ。「日経ダウ平均は15000円を何年ぶりに割った」「円安つづく」「超低金利政策つづく」といった暗い話題も多い。そのなか、高齢化少子化による社会保障給付費は増大の一途をたどるばかりである。大元である財政赤字は累積し、財政・社会保障問題は国民負担率を増加させようとしている。果たして財政構造改革は実現するのであろうか?
現状政策と社会情勢がズレを生じているのは分かりきっている。少しでも赤字を解消するためにはやはり年金給付開始年齢の引き上げや給付水準の引き下げをし、負担を和らげるしかないのだろう。急な増税は反感をかうだろうが、ゆるやかな増税は物価の上昇と同等に消費者の理解を乞うしかないであろう。増税の“タイミング”は政府に委ねられているのだから。
<松崎 淳一>1997.11.18
これから日本は、少子化による労働人口の減少と高齢化社会の到来により歳入より歳出の方が増えていく。当然、財政危機に陥らないためにも、これからは歳出を抑えなければならなくなる。しかし、歳出を抑えたとしても、景気が上昇傾向にならなければ意味のないものになってしまう。歳出削減もやらなければならないだろうが、景気対策も必要である。
政府に対しては、歳出削減と即効性のある景気対策を求めなければならないだろう。小手先だけの行財政改革だけは行なって欲しくない。
今のままでは、財政は破綻しかねない状況にあり、破綻しなくても、政赤字が日本経済にマイナスの影響を与える可能性は十分にあると感じた。将来的にも高齢社会を迎え、歳出は確実に増えていくから、財政赤字は拡大していくかもしれない。3つの章の中で気がついた論点を考えてみたいと思います。
1、公債依存について。
この本の中では、A・公債依存ケースと、B・公債脱却ケースで論じている。私の意見としては、経済活動に悪影響を与えるほどの歳入不足は避けるべきだと考え、Bのケースよりも、公債に依存するAのケースをとるべきだと考えます。財政赤字を公債でまかなうことは、誤りではないと思います。
2、国民負担率について。
高齢社会では、国民負担率が高くなるのは当然であり、このコストに見合う効用を享受できるように社会保障制度を改革することが必要だと考えます。また、社会保障制度改革と政府支出削減を行えば、確かに経済の破綻は避けられるが、現在の景気低迷下で、景気対策を含む政府支出削減を行うことが妥当か、社会保障制度改革と組み合わせて行うことが可能か疑問が残る。
3、最悪のケースはありうるか。
財政赤字が累積し、事実上財政が破綻し、経済が衰退するという日本経済の衰退のケースはありうると思います。現在の、株、為替、債権の三重安はその兆候といえるかもしれない。衰退プロセスに突入する前に、改革が必要であることを痛感しました。
第4章では、主に中長期的な財政展望が述べられている。抜本的な改革をしなければ、近い将来、財政状況は悪化し、国民負担率も上昇することが予想される。財政赤字が国内で賄われている限り、国民が国民から借金をしているだけなので、国民全体が負担を背負いこむことにはならない。つまり、今の日本の財政赤字はまだ許される範囲にあると思う。中長期的な財政再建も必要ではあるが、景気が低迷している今、政府は所得税、法人税の減税をするべきだ。消費税5%実施により、今年の4月以降、国民の消費意欲は冷め切ってしまった。低所得者や高齢者にとっては重い負担なのだ。新しい税金として「資産税」のようなものが必要だと思う。
この章を読んで明らかなように財政の健全化を図るためには総合的な改革がひつようである。現状において私たち国民がこの財政危機をそれほど実感をして感じないのは赤字が私たち国民の豊かな貯蓄によって支えられているからだ。これから、高齢化や個人貯蓄の海外への流出によって、この豊かな貯蓄がなくなれば財政赤字は、いったいどうなるのだろうか。政府は財政・行政改革にもっと本腰をいれるべきだ。
<梶山勇人>
1997.11.194章は、現在、先進国内で最悪とされる財政状態をいかに改善するかということがテーマでした。高齢化社会を迎えるに当たって、今後ますますの財政悪化が懸念されています。文中のシミュレーションはいずれも、将来を楽観視させる物ではありません。将来の明るい展望を開くには、長期的な視野に立った抜本的な構造改革を行うしかないと思いました。当日の論点としては、「景気が悪い現在において、財政支出をもって、それに対処すべきか」ということとが挙げられると思います。
<田辺健太>
1997.11.19「財政再建=増税、公共投資抑制」という議論を多く耳にするが私はこの見解に賛成できない。政府の赤字拡大の主な原因は、不況で税収が減少していることではないだろうか。赤字縮小には減税によりまず景気を回復させることが先決ではないだろうか。消費税をあげるという話もあるがこれも理解に苦しむ。消費税引き上げ論者の意見は、おそらく欧米では10%が普通だからということだろう。しかし、これを直ちに日本に当てはめて考えることはあまりに短絡的すぎないか。日本の物価は欧米に比べて非常に高い。だから、すでに30%以上の消費税を日本人は負担しているのと同等であると考えることが妥当であろう。消費税引き上げを論議するなら、物価を欧米並みに近づけてからではないか。
<矢内司>
1997.11.19日本財政の問題点は、今さかんに取りざたされています。財政赤字の拡大を押さえるとともに、その使い道が問題となっています。著者は、財政破綻について少子化・高齢化の到来による歳出の増加・歳入の減少を懸念していますが、現在は歳出の出先を明瞭なものとするとともに、時期尚早と思われる消費税5%導入により冷え込んだ消費を回復させるなどの景気対策を考慮する方を優先とさせるべきだと思います。
<庄子穏行>
1997.11.19日本は財政破綻するのだろうか再建できるのだろうか。第4章の財政の展望を読んでみると、財政問題はかなり深刻で、悲観的になってしまう。長期的に見れば増税は避けられないだろう。日本はこれから古来稀な高齢化社会、少子化を迎えるのだから。短期的に見れば財政赤字は対内向的なものであって対外向的なものではないので、今は景気対策を行うべきである。今、政府の財政政策は増税をして、歳出を削減するといったものだが、そうすることも大切だが、これでは、根本的な解決にならないと思う。このようなことは歴史的に見て、江戸時代の3大改革非常によく当てはまる。江戸時代の3大改革は倹約をすることで財政を立て直そうとしたが、失敗に終わった。それは世の中が貨幣経済と移行していく過程だったからだ。根本的な解決方法とは市場機能を最大限に利用できるような思い切った改革をおこない。そして、景気を立て直すことによって財政問題の解決は可能だと思う。
<鎌田 大介>1997.11.19
財政危機の対策として、財政構造改革や行政改革などが緊急課題として上げられているが、「増税なき再建」とよく言われるように、税の直間比率を見直すことにより所得税を軽減し、経済活動を活性化させることがよいのではないかと考える。それにより税収が自然と増えていくのが財政再建の理想的な形だと思う。
<小野 公樹>1997.11.19
第四章は主に財政についてだが、現在の日本の状況に目を向けてみると、財政構造改革法案の中に「2003年度までに赤字国債発行をゼロにする」とある。しかし果たしてそれは今望まれている事なのであろうか。確かに赤字国債は国の借金ではあるが、まず食い止めなくてはならないものは、建設国債の方ではないだろうか。ウルグアイ・ラウンド農業対策費による温泉ランド作りや整備新幹線・高速道路の新設など、今の時代に過度の公共事業投資は、無駄に近いものがある。それならば、赤字国債を財源に所得税減税を行うことの方が十分な意議があると思う。赤字国債イコール負の国債という考えを見直すべきではないだろうか。
<小川剛>1997.11.19
現在の日本経済は数字的なモノをみると低い失業率、高い貯蓄率、物価の安定、経常黒字などそれほど心配する必要がないように見える。だがこの本にも書かれているが、実際は大変な事態になっている。この危機を克服するためには前面的かつ 思い切った改革が必要であり、それを実行できる強い政府が必要だと思う。だが、現在の内閣である橋本さんは、国民の意見を反映させた政策を実行できる強い内閣なのであろうか? この本を読んでその事に少し疑問を持った。
<佐山浩昭>1997.11.19
この本に書かれているように、現在日本の財政問題は山積みとなっている。ここまで累積債務が大きくなってしまっては、この政策をすれば絶対に良くなる、と言うことは考えられない様に思う。この状態を改善するためには、構造の基礎から改革をしなければならない。やはり一番大事なのは税金の行方を国民がしっかりと見届けると言う形ではないかと思った。
<永尾龍太郎>1997.11.20
日本の財政危機は深刻なものになってきている。このまま財政赤字を放っておくと経済は衰退し、国民の生活も今以上に苦しくなってしまう。でも、日ごろ自分たちが生活しているなかではそういった危機感を感じた事がない。これはかなりヤバイ事だ。新聞やテレビではさかんに財政危機について伝えているが、実際自分の周りでそういう事を言う人はほとんどいない。政府が思いきった改革ができない原因は国民にもあるのかもしれない。一人一人がもっと関心を持つようになれば、政府も改革せざるを得ないような状況になるのではないだろうか。
<奥澤啓之>1997.11.20
現状のままでは、財政が破綻するのは明らかであり改革が早急に必要であろう。そこで、財政赤字の問題だが、今後、少子化によって歳入が減ると考えられる。将来的には税負担が大きくなるのはしかたがないことだと思うが、現在の不況下においての増税は逆効果になるのではないだろうか。だから歳入不足を補うための公債の発行は、今のところ仕方ないと思う。そこで本にも書かれていたように欧米の考えるプライマリーバランスに賛成である。日本もに習うべきであると思う。
次に、社会保障制度改革の問題で基礎年金の支給年齢引き上げや、医療自己負担の引き上げなど財政再建に向けてはそうするべきであると思うが、それに付随する問題が多々あると思われるのでそういったまわりの社会環境も同時に整備していかなければならないと思う。