CO
2排出削減問題にひとこと三冨
成樹
12月1日、気候変動枠組み条約第3回締約国会議(通称:地球温暖化防止会議)が京都で開幕した。
気候変動枠組み条約とは、1992年6月にリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議において採択され、現在167カ国が批准している条約である。この条約は、2000年のCO2排出量を1990年レベルに安定化させることを、条約付議書T締約国(OECD諸国と旧ソ連・東欧の市場経済移行国、計36カ国)に義務づけている。しかし、1995年の時点で、多くの国が排出量を1990年比で増加させている。なかでも、日本、米国、カナダ、オーストラリアの増加が大きい。
削減策を考える際の基準年次を1990年とするのが常識とされているようであるが、1995年の日本のCO2の排出量は90年比8
.3%も増加した。2010年に90年比10%削減ということは95年比17%削減というのに等しくなる。
12月2日付の日本経済新聞によると、日本、米国、EU間で削減策に食い違いが見られる。また、米国は途上国の削減義務付けを要求しているが、途上国は削減義務の拒否を主張している。
私は米国の主張である途上国の削減義務付けに賛同する。先進国は工業化社会を経験し、豊かな社会を実現した。だが同時に、それによる弊害も経験している。
<グラフ:日本の実質GDPとCO2排出量の動き>からわかるように、
1965年から95年にかけて、日本の実質GDPはほぼ右肩上がりの成長をしてきた。経済成長と並ぶように、CO2排出量も増加してきた。特にCO2排出量の伸びが激しいのは、1960年代の高度成長期である。日本が途上国から先進国への仲間入りを果たしている時期に、CO2排出量が大きくなっている。その後、第1次石油危機から80年代後半まではほぼ横ばいで、バブル期に入ると再び上昇している。
今、アジアや南アメリカ等の途上国は、急速な経済成長を実現している。だからこそ、途上国に対しても削減を義務付ける必要性がある。それと同時に、経済成長の足かせにならぬよう、先進国による支援も忘れてはならない。
現在の日本の1次エネルギー供給に占める割合は、約80%となっている。今後、地球温暖化防止のためには化石燃料の消費を減らさざるをえない。
石油、天然ガスの可採年数は50年を切っているといわれている。可採年数が100年を超えているといわれる石炭は、CO2の排出量が最も多い。だとすれば、CO2を一切排出しない原子力に頼ればいいのかというと、安全性の面で問題がある。実際にフランスを除く欧米諸国においては、新規の原発建設は活発ではない。
太陽、地熱、風力等のエネルギーの可能性が少しでも見出せるのであれば、そのような新エネルギーの実用化に向けて政府は資金をもっと投入するべきだ。現実問題として、新エネルギーの実用化が進むまでは、日本は原子力に依存せざるをえない。
21世紀においては、今世紀の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会を根本的に見直すことが迫られる。適性消費・極小廃棄・リサイクル・省エネルギー型の社会を構築することだ。
新エネルギー開発などの科学技術の役割も大きいが、それ以上に社会経済システムの再設計が求められる。