私は「オリンピック招致請願作文」を小学校の時クラス全員で書きました。そして、IOCサマランチ会長の「The city of NAGANO!」の発表コールを高校生の時にテレビで聞きました。大学に入学し、帰省をするたびに新しい道路や橋やホテルなどが出来、地図が変わっていくのには毎回驚いていました。現在、長野駅周辺は私が上京した3年前とは完全に景色が違っています。ものすごい急変貌です。
ようやく今日「あと6日」までカウントダウンが進み、スケート陣や複合競技で「日の丸飛行隊」などという名前が紙面を賑わせ、「最終切符をつかんだシンデレラガール」などという言葉がスポーツニュースを飾っていました。(ファイブフォーティはかっこいい!)
さて、オリンピックというものは立派な経済イベントであります。ここで、経費がどのくらいかかっているのか資料を挙げます。
●長野冬季オリンピックの経費 ――――――――――――――――――――
総額6000億円、 長野市2830億円である。そして、区分すると次の4つに分類できる。
@招致段階での経費 ・・・ 収入21億6800万円、支出19億6000万円、剰金2億1800万円は NAOC への寄付。
A競技施設・関連道路関係 ・・・ 「概要計画」の見積り額は増え続けている。1988年では2900億円、1993年3月では3433億円となった。
B大会運営費 ・・・ 収入760億円(地方自治体補助金、テレビ放映権料等)、支出760億円(仮設施設等、人件費等)の見込みである。
C施設の維持費 ・・・ 年間5940億円以上かかることが予想される。
その他新幹線建設費等にかかわる関連事業等も、考慮しなければならない。
●長野冬季オリンピックの財源―――――――――――――――――――――
上記のような膨大な経費の財源はどうなるのだろうか。これは、おおまかに5つに分類することができる。
@国と県の補助 ・・・ 長野市の場合は、負担額の推計が2830億円。このうち国は、競技施設の建設費の2分の1を補助、また県が370億円を補助し、長野市は、結局2830億円負担することになる。これらの補助は、大きく貢献していない。
A起債 ・・・ つまり借金である。年平均の長野市の市債額は、186.75億円となり、これは、平成元年、平成二年の1〜3倍となってしまう。
B基金の取り崩し
C市民の負担増 ・・・ 市民税に頼る。
どうでしょうか?ずいぶんなお金が動いているでしょう。ということは立派に経済効果もあるのです。以下に、少し経済学部らしい面も書きましょう。数字や考え方に間違いがあったら、メールでご指摘ください。訂正します。
イベントにかかる費用として、
@「長野オリンピックにおける競技施設などの大会関連直接施設建設費」約1544億円
@「大会運営に関する直接経費」約760億円(テレビ放映権‐約333億円、スポンサー契約‐約322億円、チケット売上‐約23億円等によって賄われる)
がある。
「長野オリンピックの直接開催費の概算事業費」は約2304億円になり、このうちかなりの額が民間資金の導入によって賄われる。そして、この支出は関連消費を生み出し、「長野オリンピック市場」を構成し、この新しい市場は、さらに関連する資源の生産を刺激していく。このように、オリンピックによる影響は、波紋のように広がり、あちこちに恩恵を与えるのだ。そのうえ、オリンピックにともなって、インフラ、つまり基盤施設が整備される。例をあげると、東京長野間を79分で結ぶ新幹線の敷設、高速道路網の整備、東京長野間の高速道路の敷設、宿泊関連施設の整備、そしてコミュニケーション・メディア・ネットワークの整備がある。これらの市場と生産誘発額を考えれば、長野オリンピックの経済波及効果は優に1兆円を越えるとされている。しかし、実際のところは開催してみなければ分からないのが実情であり、思った通りに一兆円経済効果が生まれるかといったら甚だ疑問である。しかし、公共財は「資源配分機能」「所得の再配分機能」「経済の安定化」の性質を持っているので、私のような“一市民”にとってはインフラ整備は、大変にありがたいものである。便利になるし、なにしろ道路が広くなるのはいいことです。
ただ、問題は「オリンピック後の景気をどう維持するか」であることは間違い無いと思います。しばらくは消費者需要も好調とおもいますが、オリンピック効果はやがて薄れます。そのときどうするかは今後の私の生活にも影響すると思っています。信濃毎日新聞を切り抜いておいたのですが、最後に紹介しましょう。
全国的な公共事業削減の波に加え、県内では冬季五輪・パラリンピック期間中、交通渋滞緩和への協力で工事を自粛せざるをえない。全県の失業者は今年中に5000〜10000人との見方もあり、社員の半分を解雇、長期休暇に入るといった業者の策で生き残りを図る一方、既に県外に仕事を求めて作業員を出稼ぎに出す企業も多い。