なぜ、メガネ・ショップは潰れないのか?

                                 小倉 亮二


 私は以前からちょっとした疑問があった。それは、なぜ、メガネ・ショップはやっていけるのか(潰れないのか)?ということである。
 車でドライブ(特に地方)をしてると、メガネトップ・テレホンメガネ・パリ−ミキといった、
ドデカイ店舗が目に入ってくる。ふとその脇を見ると、何台置けるのか?と思うぐらい大きな駐車場が完備されている。 また、駅前などには メガネドラッグ・メガネスーパー・メガネストア・オプティックOGURA(名前が一緒なので気になる)・・その他いろいろなメガネショップが店を構えている。
 私自身、幸い視力が両目合わせて約1.0あり、眼鏡・コンタクトレンズとは縁がないので、メガネショップに入る機会はほとんどないのであるが 店を通り過ぎるとき、ちょっと目を向けると、お客の入っている様子はない。また、車で走ってる時も、大きな駐車場に止まってる車が数台あるだけである。
 実際、視力の弱い友人の付き合いで、時々ショップに入ることもあるが、そのときも店内はガラーンと静まりかえっている。
こうした、光景をみて疑問が生じたのである。
 そこで、この疑問を解消すべく眼鏡業界について調べてみた。

@眼鏡装用人口
 現在日本における眼鏡装用人口は約6000万人といわれ、総人口の2人に1人が眼鏡を使用している。今後情報化社会の進展や本格的な高齢化社会の到来に伴い、各世代層における視力補正人口は拡大していくことが予想されている。裸眼視力1.0未満の若年層の割合は10年前と比較して、2けたの伸びで増加を続けている。また、情報化社会が急速に進展し、コンピューター作業に従事する時間が増加、必然的に近視被患率が上昇する傾向がある。この傾向はコンピューター先進国である米国においてすでに現れている。さらには「団塊の世代」層がその老眼鏡使用年齢に差しかかり、急速に同世代層の視力補正が求められていることなどである。

A眼鏡業界の現状
 日本の眼鏡小売市場規模は本体およびその関連商品を含めて約6,500億円、コンタクトレンズ市場を含めると約8,900億円といわれている(出典:「眼鏡白書」)。景気の長期低迷と個人消費意欲の低下により現在一進一退が続いているが、長期的にはその規模は緩やかながらも拡大傾向にある。一方で、小売店舗数は減少傾向にあり現在20,000店弱となっているが、量販店のチェーン展開を行っている一部上位企業の売り上げシェアが上昇、一方個人経営をはじめとした零細業者のシェアが低下し続けており、業界内の淘汰(とうた)集約化が進んでいる。  このような零細小規模店の淘汰、大型量販店への集中という構造変化とともに大型量販店間の競争は一層激化している。また、零細業者の淘汰という現象は眼鏡卸売業界にも影響を及ぼしている。中小眼鏡店の減少、競争力の低下により卸先が漸減し、さらにはメーカーの直販割合が増加しつつあるため、卸売業界は、得意先の維持確保に向けて情報収集・提供力の強化、ボランタリーチェーンの結成による安定供給先としての地位確立、組織力向上に努めている。

B眼鏡市場の展望
 今後を展望すると、眼鏡市場は成熟しているが、安定した買い替え需要が存在し、また視力補正人口の増加が見込まれることから、緩やかながらも拡大の方向に向かうものと予想される。その中で大型量販店の圧倒的な組織力と資金力の前に、これといって特徴を持たない中小量販店企業は苦戦し、大手企業間の競争も今後ますます強まるとみられる。消費者の低価格ながらも多様化、差別化を志向する傾向は定着していることから、大手企業の中でも時流に沿った商品政策と店舗展開を行いながら自らの収益構造を管理改善することができる企業が市場に残り、よりその地位を向上させていくと思われる。

 以上、大まかに調べたが、眼鏡装用率の高さ、そして約8,900億円の大きな市場を考えると、あれだけの店舗数があるのが納得できる。 しかし、やはり店舗数自体は減少傾向にあり、小規模な店は大型量販店に淘汰され始めているという事から、私の目の届かないところで、小規模店舗が潰れているのである。
 こうして、私の疑問は解消したが、あらためて、金銭面・健康面を考えると、今後も眼鏡・コンタクトレンズの世話にならないことを願いたい。

  もう一つ、商店街の「店じまいSALE」とか書いてあって、誰も客が入ってないような婦人服の店はなぜ潰れないのか?黒字なのか?という疑問については、またの機会に……。