第14章 経済構造改革

 

1、 経済戦略の転換

経済構造の最大の原動力は政府ではなく、市場に求めるべきである。政府は管理政策という古い体質を捨て自由な経済取引を認め、変わりに不正を排除して安全を保障する制作に転向するべきである。

 

2、 戦略的規制撤廃

1995年3月「規制緩和推進三ヵ年計画」策定

1997年3月2823項目にわたる第3年次計画推進

しかし日本経済の構造転換のニーズに比べ、スピードが遅くまた力も不十分、その結果として規制緩和の優先順位がはっきりせず規制緩和の原則が守られていない。・ 従って目的を明確にして戦略的規制撤廃を進めることが大切

 

EX) 国内には適切な投資機会がないため、日本の1200兆という個人資産が旨く使われていない。つまり投資活動を活性化させる環境整備が遅れている。これを改善するために規制緩和を行うことは、高い優先順位を持っている。・ この現状を打破するための高い規制撤廃項は、株式市場の自由化、上場基準の緩和、取り引きコストを削減することが必要。

 

3、 新産業・雇用創出計画

経済構造の転換の過程での、失業増加の危険。そのため構造転換における雇用創出は、戦略的重要性を占める。しかし今の政府の行っている政策は、後向きの政策である。

新産業・雇用創出計画の6つの柱

1 経済の自立、回復のメカニズムを具体的に、総合的に展望として示す必要がある。

EX)市場の開放と規制の撤廃により国内価格が5%程度引き下げると言う改革が行われた場合、古いタイプの雇用機会が約450万人失われるが、逆に新しいタイプの雇用機会が500万人ほど創出される。

2 名目所得が低下しないようにマクロ経済のメイハリのある需要管理政策を行うこと

3 将来のための有用なインフラ整備を行うこと

4 以上のような計画の推進を妨げない規制緩和を行うこと

5 勤労者への自己啓発の支援

6 R&Dの国家的支援

4、 労働力資源の活用

日本では近年雇用需要は増えているのに、失業率は高止まりしていると言う現象がおきている。こういったことから労働力の活用を進めることが重要。

@ 民営職業紹介の自由化などにより労働市場における職業情報の提供と紹介機能を強化するべき、民間にその事業を広く開放する必要がある。

A 税制、その他の政策面での支援による、経済・産業の構造変化に合わせた能力を向上させる必要

 

5、 日本農業再生計画

日本の農業の自給率、1960年82%、1990年には30% 、後継者不足。農業基盤強化として、公共投資が多大に行われているが、その効果は薄く、もっぱら財政悪化の原因を増幅している。

1、 福祉農業

2、 環境農業

3、 教育農業

自己改革努力を一層効果的にするために農協の地域独占や農地法を改革するなどの条件整備、農業者の考え方を改めるのも重要である。

 

6 ネオ・マニュファクチュアリング構想

 

高コスト体質となっている日本経済の産業構造高度化主導する推進力として、製造業の高付加価値化

1、高付加価値の中間財、資本財部門の強化

2、戦略的な企業協力、企業提携 −情報技術ネットワ−クの効果的な活用

3、たゆまざる自己革新

 

7 情報化への社会インフラの整備

競争力の基盤としての情報インフラの整備、充実

 

ネットワ−クのメリット

1 世界全体を透明な経済市場にする

2 企業組織内に透明性を高め、情報共有と意思決定を効率化する。

3 情報の共有と処理の速度を高め、技術、研究開発をスピ−ドアップさせる。

 

ソフト面の社会的インフラ整備

1 情報化教育の充実

2 社会的なサポートシステム

3 ネットワーク産業への参入、回線の接続や使用、付加価値サービスの提供、通信料金体系における国際水準の規制緩和、自由化

4 行政や市場の情報開示とこれらの情報システムの開放、透明化

 

 

8 長期的な労働供給の促進

高齢化、少子化の進展にともないにほんの労働量ストックは減少が予想される

 

これまで労働能力が十分に活用されていなかった人口階層の労働力参加を促進

そのための労働条件の整備が必要。

 

1 労働市場の情報提供機能、職業紹介機能の充実強化

2 育児休暇、介護休暇制度、保育所や児童クラブの充実

3 税制上や、保険上で不利にならないような制度改革

4 年功的な賃金カーブを改め、高齢者が価格面で競走上不利にならないようにする

フロー型雇用、定年制の延長