第15章 国際共存と安全保障 担当 市川、平松

  1. 国際社会における信用と信頼の確保

日本の長期的将来を考えるにあたって大切なこと

  1. 国際社会での信用と信頼

経済システムを効率化し生産性を上げ、労働力の量と質を向上させる。そして日本の

対外投資からの収益や世界各国からの資本投資の導入を増やす。

(2)世界の望ましいシステムの形成に参加

人類共通の問題に積極的に取り組み日本の選択、行動が世界の状況を変えられるよう

自覚を持ち努力

していくべきである。

(3)日本システムの透明性

政治や行政が不透明では日本は理解されず、信用も信頼も得られない。企業や市場の

システムが不透明では投資も招き入れることはできないし、日本に対する魅力も減殺

される。国際社会で理解、信用、信頼を得るためには重要なことである。

  1. 世界経済システムへの参画と貢献

・通貨

21世紀に向けて米ドル、ユーロ、円の三極体制で通貨システムを運営していくこと

が想定される。

この局面においては、関係国の密接な政策協調により、安定性を確保していく努力が

基本となる。

また、今後とも円の国際化をいっそう進め、円の利便性と有利性を高めて、米ドルの

変動に対する危険分散をはかり国際協調体制を強化していくべきである。

自由で開かれた世界の競争市場という条件の確保が、日本の国益から見てとりわけ重

要である。そのような自由貿易体制を維持するには、WTOの枠組みを維持、強化し

80年代から90年代にかけて世界各地に急速に広がってきた地域主義が、世界大の

自由な貿易と投資の拡大にとって阻害要因とならぬよう、国際協力関係を強化してい

くことが必要である。

日米関係は世界経済システムの中でとりわけ重要な役割を持つ。現在、日米両国はあ

わせると世界のGDPの四割を占め、日米の協力は世界の秩序と安定を支える基本と

なる。そのうちの一つが通商の問題である。日米通商摩擦が、世界の基軸である日米

の協力関係を損なうことがあってはならない。

日本は援助大国といわれている。日本のODAは従来、アジア地域への開発援助が中

心で、主として貸し付け方式によって行われてきたが日本の援助を受けたアジア諸国

は、目覚ましい発展をとげた。これから、メリハリのある効果的な援助を行うために

は、援助を評価するしくみや、人材育成が重要だがそれとならんでさらに重要なこ

とは、私たち国民が望ましい世界のあり方や、それを実現するためにどのような貢

献をすべきかを、真剣に考えることである。

 

 

  1. 環境−資源

環境、人口、食料、エネルギー、資源問題は、21世紀の世界経済の最大の制約

要因となる可能性が大きい。日本が世界のシステムづくりに参画し、積極的に貢献

を果たし、国際社会での信頼を確保しうる最大かつもっとも重要な場面がここに

ある。

しかし現実にどれほど貢献できるかのかというと事態はそれほど簡単ではない。

  1. 安全保障

  1. 国民と政府、国民同士の信頼
  2. 日本の国民は、みなで税金を払って自衛隊の経費を賄い日米安保体制のもとで

    駐留米軍の軍用地提供の費用を負担しており、形式的にはこれらの条件は満

    たされている。しかし、国民が政府の安全保障戦略を理解し、支持し、その

    コストを全員で負担しなければ安全保障は機能しない。

  3. 同盟国−日米間の信頼
  4. 同盟国が、お互いを支えるために効果的な共同作業ができる最良の条件を整

    える努力をしてこそ互いの信頼は強固となり同盟関係は本物になる。またそ

    うした信頼を築いて始めて、集団自衛権の発動についての政治的判断もア

    メリカに対して自由に自信を持って主張できる。不確かな協力関係のもと

    での

    従属関係ではなく、確かな信頼にもとづく自由で対等な関係のうえにこそ

    安全保障の同盟関係は機能する。

  5. 関係各国・近隣諸国との信頼醸成
  6. 中国や韓国をはじめアジア諸国などは日本に対する疑念を持っている。

    日本は核武装するのではないかとか、独自に自力防衛戦略を展開するの

    ではないかという疑念である。そういった疑念をなくすためにも、お互

    いの軍備の内容などを見せ合い、情報を開示することで過剰反応や不合

    理な行動を防がなければならない。

  7. 国際的安全保障と21世紀国際協力の課題

貧困や疫病、資源や環境問題、民族や宗教や価値の衝突など、さまざま

な危険をどのように防止し、克服するかが21世紀に人類が共通して直

面する大きな安全保障条約の課題になるだろう。