連立与党は経済社会が歴史的転換の局面にあった時期に、妥協による問題の先送りのツケを残した。第二次橋本政権に対する単独政権として２１世紀の日本を方向づける責任はとても大きいものがある。与党も野党も責任の大きさを自覚し、民意をふまえ明確な対案や首尾一貫した政策案を示し、国民の理解を広げ、深める必要がある。

＜政治の政策形成力の強化＞

現在の政治の最大の欠点は政治家の政策形成能力の弱さである。

政治の政策形成力の強化への筆者の提案

• 現在の首相と内閣だけでは政策に関する意思決定のリーダーシップを発揮することは制度的に難しい。閣議で全員一致しないときでも、一定のルールのもとで首相の指導力が生かせる制度をつくるべきだ（危機管理面における首相の権限強化）。
• 物事の説明を政府委員に依存していることによる国会論議の浅さ、弱さ（国会論議の活性化の必要性）。政党は政党助成金を活用して、戦略研究所をつくるべき。

＜人材登用の道を広げよう＞

民間企業の現職復帰制度の採用を提案。現在ある職業に就いている人が、選挙に出て落選したら、元の仕事に戻れるような社会慣行をつくる（有能な人材の政治への参入の活性化）。

＜報道に関する問題点＞

• 記者クラブが役所などの主要機関の提供する情報を鵜呑みにする（玄関ネタ・記者クラブの問題）。同じソースの情報が多くの新聞社やテレビ局を通じて繰り返し報道されることにより、あたかもそれが真実であるかのように錯覚する（報道機関の横並び報道）。
• 報道機関が労働は社会部、金融は日銀クラブというように縦割りになっていることにより、労働と金融がつながってこないという総合分析、背景の分析の欠如（報道機関の縦割り構造によるタコツボ化）。

新しい時代のメディアの形成に関する提案

• 横並び体質の脱却
• 署名主義の徹底
• 縦割り、タコツボを脱却し、広い視野で背景を分析し、付加価値のある情報を提供すること。

＜情報公開は民主主義の基本＞

情報公開は、国や地方自治体のような公共機関についてだけでなく企業のような民間の組織や団体などのついても、それが社会的な関わりを持つものである以上、本来もっとも基本的な用件である。

＜情報公開は市場経済の大前提＞（結果だけでなくプロセスの公開も必要）

情報公開の意義

＜民主主義と市場を支える司法基盤＞（これに関して日本は貧弱）

司法基盤は民主主義的な法治国家や公正な市場経済を支えるもっとも基本的なインフラである。例として、「独占禁止法」「公正取引委員会」「証券監視委員会」。

＜司法基盤の弱さの背景＞

キャッチアップの過程において、欧米という目標に追いつくことに懸命になり、そのモデルの善悪や適否を検討したりするゆとりも必要もなかった。このことで行政が実質的に圧倒的な力を持ち、司法も立法も十分な役割を果たせないという風潮を作り出した。

＜キャッチアップ後に深まった教育の矛盾＞

キャッチアップ時代の教育の欠陥

＜日本の教育の求められる課題＞

1. 創造的革新力のある人材の育成
2. 善悪の判断のできる人材の育成
3. 国際社会・人類・地球における共存の意味を考えられる人材の育成