景気対策(法人税) H10.10.22

担当: 大慈彌 須賀 鎌田

問題点 1.国際水準と比べた実行税率の高さ

2.新規事業育成のための政策不備

日本の法人税の実行税率は46.36%で、その内訳は国税としての法人税31.08%、地方税としての法人事業税9.91%、法人住民税5.37%である。これらは国際的に比較してみてもきわめて高い。(図T−1)その結果、グローバルな企業競争が激化している今日において日本の高い法人課税負担は、日本に立地する企業の国際競争力を弱め、投資魅力の低下、産業の空洞化を招く要因となる。

また、これら重い税負担が新規事業展開の足かせとなったり、新規事業育成にかかる税制優遇政策の希薄であるなど、新規事業育成の方針とまったく逆行するものもある。

 

解決策 1.実行税率の国際水準への引き下げ

2.課税ベースの適正化

上記のように国際的に比較した日本の法人課税は非常に高く、国際水準の40%まで引き下げる必要がある。しかし、大きな財政赤字を抱える日本の現状では、税率の引き下げを行うことは更なる財政の悪化をもたらす。そこで問題とされるのが課税ベースの適正化である。

日本の法人の65%は赤字のため税金を支払わない欠損法人である。これは税負担がすべての黒字企業に集中していることを表し、黒字企業が赤字企業を養っている状態といえる。これが法人税の不公平であり、その対策として外形標準課税の導入があげられる。

現在の法人課税の仕組みは、企業所得すなわち利益に対して課税されるものであるため、赤字の企業は税負担を行わない。外形標準課税は、企業の売上高、雇用者数、資本金など企業活動ないし事業規模など外形的なものを対照に課税するものであるため赤字法人も税負担を行うことになる。

地方自治体の公共サービスは赤字法人であっても、道路を使うなどサービスを受けているわけであり、そうしたサービスの費用を黒字企業だけが負担するのは不公平である。サービスの受益に関しては地方税の公平の負担という観点から応益課税を基本とし課税の適正化を進めるべきである。

また、前述した新規事業対策として連結納税制度の導入が必要である。連結納税制度とは、親会社と子会社の益金、損金を合算して課税する制度である。これは単に企業の税負担を軽減するだけでなく、新規事業を立ち上げた場合、開業後数年は損失が続くであろうがそれを補うものであり、新規事業へ進出する意欲を与えるものとなる。