携帯電話と電磁波
大慈彌 ゆう子
近年、私たちがごく普通に持つようになったものの中に、携帯電話がある。携帯電話は、機種によるが、日本中ほとんどのところで使用することができ、軽くてコンパクトと利用する側としてはとてもありがたいモノになった。しかし、公共の場所での通話や授業中の呼び出し音など、利用する側のマナーの悪さが携帯電話にあまり良くないイメージを抱かせていると思うが、今回はその携帯電話などが発する電磁波について、少し考えたいと思う。
電気が流れるとそこに磁場と電場がおきます。この二つが組み合わさり波として伝わるのが電磁波です。この電磁波は、白血病、ガン、不妊症などの害を引き起こす原因とされている、一種の放射能です。また、電磁波は、コンクリートや鉄なども簡単に通りぬけてしまい、体の中に入ると、細胞の分子の間で電子の移動が起こり本来の状態を崩すため、長期にわたって使用すると、細胞がおかしくなるそうです。
日本では、危険が証明できていないという理由から、電磁波はだいじょうぶだと言われてきましたが、先日アメリカの国立研究所が送電線で白血病の増加があり、電磁波は発ガン性の原因に成り得るとの見解を示した。これまでは、送電線や電化製品に使われている50から60ヘルツの磁界と発ガン性の因果関係について「あるとはいえない」という見解が一般的だったが、今回の見解は「あるかもしれない」と一歩踏み込んだものとなった。ただ、はっきりと因果関係があると認めたわけではないが、少なくとも今回の調査で「シロ」ではなくなった。
現在、電化製品は切っても切ることができないほど私たちの生活に密着している。パソコン、ワープロ、テレビ、エアコン、扇風機、電子レンジ、ドライヤー、電気毛布、電気カーペットなどなど挙げればきりがない。これらのような電化製品はとても便利で、急速に普及したわけだが、これらの電子機器から放射される電磁波は、本当に人体に影響はないのだろうか?携帯電話や、PHS等から発射される電磁波が、病院の医療機器に電波障害による誤作動を引き起こす可能性があるため、病棟内での携帯電話の使用が禁止されているし、心臓のペースメーカーなどにも悪い影響を与えるということも分かっている。これらのことからも、やはり何らかの影響があると考えてもおかしくはないのではないだろうか。あるデータによると、電化製品の電磁波の測定値は以下のようだそうです。
ドライヤー:10mG,5cm、携帯電話:10mG,1cm(通話中)、電気カミソリ:10mG,1cm、パソコン(ディスプレイ):1〜2mG,30cm、液晶パソコン(ディスプレイ):1.4mG,30cm、テレビ:9mG,30cm、電子レンジ:10mG以上,30cm、ラジオ:2mG,30cm。携帯電話はどの機種も電源を入れておくだけで2〜3mG、かける・切る瞬間は10mGを超えるそうです。また、電磁波はパソコン本体からも発せられ、ディスプレイは古い機種ほど強い。ただ、最近発売されているディスプレイは電磁波対策がとられているせいか小さい値を示すが、これは正面に対する測定値であり画面横で測定すると15cmぐらい離れても5mG以上の値を示した。また、電源の入りっぱなしのコンセントは80cm離れても7〜8mG、コードから1m離れても3mGという値だった。
このように電化製品やコード、コンセントに囲まれて生活しているが、特にアパートや、マンションという狭い環境で暮らす割合の多い私たち学生は、寝るときでもコンセントが頭の近くにある事があたりまえになっている。そこで問題なのは、微量でも長時間にわたって電磁波を浴び続けることです。
ヨーロッパや欧米では、テレビやパソコンなど電磁波対策されていない製品は販売できないそうです。また、スウェーデンではVDT(テレビやパソコンなど画面がある電化製品のこと)操作時の電磁波を50cm離れたところで0.5mG以下という厳しい規制があり、電磁波が2〜3mGあると小学校・幼稚園の移転、5mG以上は住宅の建設の禁止が義務づけられている。
「電磁波が人体に及ぼす影響」について、いろいろな研究がされているそうですが人間を人体実験して得たデータはまったく存在していない。ただ、影響はまったくないわけではなくなったといえるので、注意するにこしたことはないと思う。また、VDTなどからの電磁波についても研究がされているそうだが、まだ何の結論も出ていない。日本では、電磁波の認識が一般的ではないため、各自が対応していかなければならないのが現状である。しかし、“人体に影響を及ぼす危険性”をマスコミなどによって過度にあおられて、1種のブームのように“電磁波防止グッズ”に飛びつくのではなくて、企業側の製品開発努力を促しつつ、文明の利器である電化製品とうまく付き合っていく方法を私たち自身が考え、意識改革していかなければいけないのではないだろうか。