日本経済の歴史的転換
E08−0338F
庄子 穏行
経済学とはいったい何だろうか。今の僕にはよくわからない。しかし、これだけはいえる。経済学とは人生哲学、つまり、最終的には人間に通じていると………。
僕が日本経済の歴史的転換を学んで関心を持ったところは第8章の情報革命に乗り遅れた日本だ。その中でも日本企業とアメリカ企業の比較だ。以下簡単に日米企業の特徴を示す。
アメリカ企業は仕事のやり方が徹底した縦割りであるため、横の連絡、調整(水平的なコーディネーション)が非常に悪い。すなわち、各部門間のやり取り、また、企業と顧客のコミュニケーションがうまく行かない。なぜなら、塀越しにボールを投げると評される現場の性質があり、部門間の責任分担は明確だが、自分の部門の仕事を終え、次の部門に渡した後は、まったく関与しないためである。つまり、後は野となれ山となれである。このようにアメリカの企業は自分の責任以外の仕事にはまったく無関心で、会社との契約で決められた仕事を確実にこなすだけである。
日本企業は全般的に見て横断的なコミュニケーションがきわめてよい。すなわち、情報が行き渡っているために、仕事が効率よく進むことが多い。なぜなら、労働者のローテーションによる多能化が進み、いつでも他人の手助けができる体制ができあがっているためである。このように日本の企業はたとえば自分の仕事が終わった場合終わっていない人の仕事をみんなで協力して行うのである。
したがって、アメリカ企業はドライであり、日本企業はウェットである。このように述べてきたが一概に言えないことはわかっているし、僕の偏見であるかもしれない。それでも日米企業の大まかな描写としては大きな間違いはないであろう。また、日米企業ともほかにもたくさんよい点、悪い点があるがあえてあげることを避けさせていただく。
僕自身も去年の夏休みに日立建機という建設機械をつくっている企業でアルバイトをした。このようなこともありこの章を理解する上で大いに役立った。また、アルバイトを通して貴重な体験ができ、社会勉強になった。
工場内は立体的にできているベルトコンベアーともいうべきローラーがあり、部品がそれによって運ばれていくのだ。また、コンピューターを使って工場内と各支店をオンラインで結んでいて、電子メールなどで伝達したい内容などが送られてくるのである。設備もさることながら、一番気を使っていることは安全面だそうだ。いろいろなアイディアを提案したり、それをいかしたり、対策したり、いろいろ工夫がしてあった。それから、社員教育の方もしっかりしていた。日本企業の特徴である横断的コミュニケーションもすばらしい。例えば、この仕事は誰に聞けばわかるなどといった具合に、情報がいきわたっているために、仕事が手際よく進むことが多かった。また、そのようなシステムであるため、非常に柔軟性に、環境の変化に対応していく。意思決定など曖昧なところはあるが最終的にはいいものをつくれるだろう。
日本の企業は僕らが思っているほどやわじゃない、日本の企業ががんばっているから日本経済の将来は明るいと思う。
このような文章を書いてきたので歴史的転換の意味を錯覚しているように思われるかもしれないが、けっして現代日本が直面している歴史的転換の意味を分かっていないわけではない。悲観的になるより、前向きの発想で楽観的にいくことのほうが大切だ。
日本がアメリカ的になれとはいわない。アメリカにはアメリカのいいところがあり、日本には日本のいいところがある。日本は日本の風土に合った日本にしかできないシステムを柔軟に構築していくべきである。
そして最後にこれだけはいっておきたい、ただ、能率よく仕事だけをこなせばよいのではない。仕事だけを能率よくこなしていっただけではいつか矛盾が生じる。たとえ矛盾が生じなくても、いつか行きづまる。そこには人と人のつながりがあり、そのことのほうがずっと大切なことなのだ。