‘99.4.20 「続・マルチメディア経済〜モバイルECの目指すものとは〜」 Takachi.Y 1997年およそ2年前、私は街頭でNTTドコモの携帯電話を手に入れた。それはソニー規格のS201シリーズ、今や最も古い規格のグループに入るほどの代物だ、機能は最低、重さも家にある電話の子機並の重量感だ。それでも私は使いつづける、電波が入る限り、、、 1999年4月現在、巷ではドコモが、「i モード」に「ドッチーモ」と続々と新たな携帯電話を世に送り出し、一方IDOは話題の「cdma One」もそのサービスを開始した。そして、世界では2001年にむけて次世代携帯電話の規格を統一した。 まさに、高速通信はもちろん、向かうは「モバイルEC」とでも呼ぶ携帯電話による電子商取引だ。今まで通話こそが主目的に使われた携帯電話だが、今や技術開発により銀行振込、株式売買、航空券予約、旅行・ホテル予約、チケット予約、物品購入、ニュース配信など様々なサービスを手の上で行えるようになった。そして、このモバイルEC市場は約8兆円規模の市場へと迫っている。 2桁成長を続ける華やかな市場だが、メーカーの市場争奪戦も凄まじさを増している。そして、このモバイルEC取引は流通、金融、情報産業など、日本経済に対して強い影響力と変革力を持っているはずだ。しかし、ユーザーはこのモバイルECというサービスを実際どれだけ使うだろうか?そしてこのモバイルツールは、生活をどれだけ豊かにするのか、それともしないのか?答えは、サービスを効率良く使用するユーザーはたくさんいるだろうが、今のところ豊かさに関してはやはり人それぞれだ。私はこのレポートを製作する上で、様々な情報をかき集め、何人かの友人に「 i モードをどう思うか?」という質問を投げかけた。一様に、反応は苦いものであまり必要性を感じないという返答が返ってくる。さらに、ある友人は「この現代という高度情報化社会は、より一層携帯電話のキャッチホンの音に敏感になり、携帯電話を常に身につけなければならないような不便な社会になっている。そして、セキュリティに確実性が無い取引にわざわざ手を出す必要などない。」という、厳しくも鋭い意見をくれた。工業化社会が公害を生んだ様に、不の効用のほうが大きくなるという彼の意見は、とても大切だ。しかし、自分としてはモバイルツールは生活をより便利にするのは確かだが、生活を豊かにするかは一概には言えないという認識を抱いている。自分は生活の豊かさとは、「ゆとり」だと考えている。モバイルECを利用することでトラブルに巻き込まれるかも知れない、でも巨人戦を見ながら航空券の予約をし、通学途中に銀行振込をし、知りたいときに知りたい情報を手に入れることで得られる「ゆとり」とは、まさに時間の「ゆとり」を作り出すことだ。よって、モバイルツールは世の中に普及する条件を備えていると考える。そして、このモバイル ECは将来極日常的な行為として定着し、生活スタイルを変化させ、経済の流通を変えるだろう。1999年4月20日現在、いまだに私はS201を愛用しつづけている。なぜなら、今の自分の携帯は通話という主目的を十分に果たしているからだ。理由は、いたって明白だ。ECは、もともとパソコンで行われてきたものだ。よって、家にはNECのノート型パソコンだってそろっている。要は、社会の流れに騙されないことと社会における自分の責任は自分にあるのだ、ということを考察してみた。 最新モバイル統計[6/28/99] |