●木幡英晃 ●津ケ原 正博 高齢化問題は、これから国家的に考えていかなければならない。「軽い高齢化」にするにも政府は、財源をしっかりと確保しなければならない。年金制度改革を実行しなければいけないのは当然のことであるし、その財源を効率よくつかうためにも、福祉に関する議論をもっとするべきである。消費税の何パ-セントかを福祉に使うのであれば、国民の負担率は、減るが、国の財源は、減少するおそれがある。そのために市場原理の導入をと、島田教授が、いっているように健康保険財政危機を回避するために保険料率の引き上げや医療システムに市場原理を導入して競争により効率化を施すようなことはいいのではないだろうか。 ●山村直子 国民年金保険料は、財源として、一人一人のバンクに頼るものである。しかし、限界がある。では、どうするか。消費税だけに頼って良いものか。国民の購買意欲の弱まった財源として求めるのは、どこなんだろう。 ●金子 渉 この章で述べられていることの中心は、年金制度が不公平だということである。今のままの制度では、将来的に歳入が歳出に追いつかなくなるばかりでなく、他の財政支出分野へも大きな影響を与えるであろうことは、目に見えている。それにもかかわらず、平等なだけで不公平な制度をいつまでも残しておくというのは、赤字の拡大再生産を促進するだけで、まるでメリットがない。この章の中に有った「金銭的余裕の十分ある年金生活者に年金を与えるために、苦しい家計の中堅サラリーマンが給料の中から源泉徴収されている」という話は、かなり前から聞かれるところであり、いまだそれに対して大した対策がなされていないことは問題である。中には金に困って、苦しい生活を送っている年金生活者もいるというのに、彼らが救われる制度が完備されているわけでもなく、挙げ句の果て、「寝たきり老人が親族によって介護されるのは、人道的に当然だ」とばかりに介護のための負担の増加を促している始末である。 確かに国民負担率、という見方からいけば、日本は大方の、例えばドイツの57%やイギリスの47%といった「先進国」と呼ばれる国々からみれば、日本の約38%という数字は大きいとはいえない。しかし、これから日本の少子化と高齢化が加速度的に進んでいく中で、政府の目標としている50%以下という数値を維持するには、やはり筆者も述べているような、市場原理を導入した競争による低コスト、高サービスの民間委託型の保障も検討していくべきである。サービスの質に最低限のガイドラインを設け、ある程度国が品質と資金的援助を保障するような形での、いわゆる第三セクターの社会保障負担会社の構想もそろそろ実現されるべき頃であろう。金券ショップが儲けるだけで、一向に消費の増加の見込めない商品券構想などの短期的、非将来的な政策よりも先に、今の日本政府にはやることが山積されている。 ●堀容子 近い将来必ず直面する高齢化問題において、世代間に負担についての不公平感が生じるのは仕方が無いと思う。それよりも、少しでも国民負担を減らし、かつ、高齢者の社会保障、介護制度を充実させることのできる効率的なシステムを考えなければならないと思った。介護保険制度においても、国民の高齢化社会に対する意識を高めることが必要だと思う。 ●両角卓馬 年金制度と医療保険制度は現在の状況を推移すれば、共に破綻する事は必至である。ここまで追い込まれた原因は政府の対応の遅れが挙げられる。年金制度は当初積立方式で設計されたが、高齢化にともない現役世代が受給世代の給付を賄う修正積立方式に変わってしまった。この時点で年金の制度改革を実行しなければならないのは明らかであり、高齢化についても十分認識できたはずであるから、医療保険に関してもある程度危機感を感じて政府は対応すべきであった。この両制度の財源を確保し、維持していくためには国民の負担は避けられない。しかし、単に国民の負担を増すだけでは、その効果は一時的なその場しのぎで終わる可能性が高い。そのため年金、医療のシステム改革が必要であるが、医療分野では民間に任せる事で国、地方、保険組合の負担を軽減する事ができるだろう。また、年金分野ではシステムの効率化と共に、景気回復とのバランスを保つ必要がある。これは、例えば自民党は消費税の 4%分を福祉目的のみに使用する事を打ち出しているが、それよりも消費税を凍結して、経済を活性化させ、結果的にプラス成長になれば国民所得が上がり、負担能力も増す事で、この制度を維持する事ができるだろうと思われるからである。 ●湊谷 崇志 現在の高齢化の社会的費用は、主に年金と医療に重点が置かれていると思う。なかでも医療に関しては、他国と比べると費用の面では非常に遅れているといえる。無駄な入院や薬などが高齢者に大きな負担をかけているし、親族にも影響を与えている。先日、自自連立協議で消費税を福祉にまわすべきだという意見と税の凍結という意見で議論が行われていたが、仮に福祉にまわすように決定したらねたきりの方のために介護にまわすべきだろう。そして、できるならば、年金は現状を維持したまま支給開始を早めるようにし、高齢者増加にそなえておくことが必要だと思う。またホームヘルパーを充実させできるだけ低コストで親族の負担を減らすことで、そのぶん個人で医療の負担にまわせるるのではないかと思った。 ●河合信貴 私が一番注目したのはいかにして社会福祉にかかるコストを削減するか、です。いかにしてサービスの効率化、質の向上をするのかそしてコストの削減。これを同時に進めるには全国均一の政策ではなく大幅な権限の地方への譲渡による地域密着型、地方色豊かなサービスの提供が一番だと思います。そして規制緩和による民間への委託も考えられるでしょう。とにかく早く政策を打ち出して大幅な改革をしなければ取返しの付かない事になってしまいます。 |