今週の顔
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地球規模で考え、足元から行動してみよう!!
E11-0762D 吉岡 千晶
1,2年くらい前から、非常にダイオキシンという言葉が注目され始めた。
埼玉県所沢でのダイオキシン問題が起こったからだ。TVなどで埼玉県内のスーパーを見たとき、「埼玉県産の野菜は扱っていませんので、ご安心ください」という貼り紙が貼ってあったのを見た。私はこれを見て非常に悲しい気持ちになった。
このダイオキシン汚染問題で、所沢市をはじめ、埼玉県内の農家の方々はどんなに苦労しただろうか。その責任の一部はメディアにあるのではないだろうか。私はメディアが作り出した実態以上のダイオキシンの恐怖を明らかにし、今一度、環境問題に対してみなさんに真剣に考えていただきたいと思い、これを書くことにしようと思う。ダイオキシンとは、環境ホルモンの一つでポリ塩化ジベンゾーパラージオキシンやポリ塩化ジベンゾフランなどがダイオキシン類と呼ばれる。非常に毒性が強く、「史上最強の猛毒物質」と形容されることもある。
最も毒性の強いものになると青酸カリの1万倍にもなる。動物実験による急性毒性実験では、モルモットは体重1キロあたり600ナノグラム(1ナノグラムは1グラムの10億分の1)で半数が死ぬというデータがある。
また、ベトナム戦争での枯葉剤に使われたという例もダイオキシンの恐ろしさを示す例として多用される。
枯葉剤に含まれるダイオキシンの影響で、ベトちゃん、ドクちゃんのような貴兄を持って生まれる子供が増えたと言われる。ダイオキシンは脂肪に溶けやすく、非常に分解されにくい安定的な性質がある。そのため遺伝するのはもちろんだが、母乳を乳児に飲ませることによっても蓄積していくのである。一方、慢性毒性については、長期にわたって一定以上の量を摂取するとガン化が促進されることが動物実験で確かめられてる。
世界保健機関(WHO)は健康への影響が生じない上限である1日の摂取量は、体重1キロあたり1〜4ピコグラム(1ピコグラムは1グラムの1兆分の1)とする基準を出している。これ以下の摂取量では、ガンを含めた病気が発生しないという目安の基準である。
幸いにも日本人の1日の平均摂取量は4ピコグラムに満たないと言われているので、現時点では健康への影響はそれほどなさそうであるが油断はできない。このようにダイオキシンは非常に危険な物質である。では、ダイオキシンはどのように発生し、広がっていくのだろうか。
主に廃棄物の焼却や工場での塩素漂白、また、最近では農薬にも含まれているとも言われている。そしてこのようにしてできたダイオキシンが、大気中の粒子などに付着して土壌や川の水を汚染し、さらにはプランクトン、魚、牛などに食物連鎖を通してとりこまれる。脂肪分の多い魚や肉、卵や乳製品などの食品に含まれやすくなっている。人間の体内に入ると、大部分が脂肪に蓄積されて体の中にとどまり、半分の量になるのに約7年かかる。一方で、このような現在のダイオキシン問題への日本の企業の取り組みは、ここ最近非常に真剣なものになってきたのではないだろうか。
ダイオキシン対策の焼却炉としては、例えば「村田式高熱焼却炉エコ」というものがある。これは従来よりももっと高温(1100℃以上)で廃棄物を焼却することでダイオキシンのはっせいを抑制する。低温で廃棄物を焼却することでダイオキシンの発生が促進されるからである。
また、京都市で開発された「スクリュウ プレス」というごみ処理機は、ダイオキシンの発生を押さえるだけでなく、生ごみからメタンガスを発生させ、ガス発電の燃料にするという画期的なごみ処理機である。さらに、三井ホーム、中央化学、ライオンなどの企業では、従来の塩化ビニール素材を使った商品を取りやめ、新素材の開発に取り組んでいるとのことだ。
以上のように、企業がダイオキシン問題だけでなく、環境問題に取り組むということは、決してデメリットだけではなく、むしろ新技術の開発やビジネスチャンスといったものにも成り得るのである。企業だけではなく、私たち国民も協力しなければ、環境は良くはならないだろう。例えば、買い物の際過剰包装を避けたり、家庭内のごみの仕分けをきちんとしたり、ノートやトイレットペーパーなどは再生品を利用したりするだけでもずいぶん変わってくるのではないだろうか。
大切なのは1人1人が意識して行動することである。戦後から高度経済成長期を経て、便利さを追求するあまりにごみ排出を増やしつづけた現代社会。
私たちはもう一度自分自身の生活を見なおすべきではないだろうか?
将来、親になって子供に、「お父さんたちが子供のころはもっと外で遊べる環境だったんだよ。」とは私は言いたくはない。