巻頭言

「ホームページ立ち上げ奮闘記」

経済学部教授 望月

インターネットの普及はようやく本学にも押し寄せてきており、ホームページを立ち上げる機会が増えてきた。しかしながら、大学の研究、教育の中でインターネットにどのように接し、どのように利用するかは、特に情報発信源であるホームページの運用法については、未だ未知数の点が多く、試行錯誤の段階である。まずは、実際にやってみようということで約半年のトライアル期間を経て、本年4月に正式に学内のホームページを立ち上げたが、これに関して感ずることをまとめてみよう。

最初に、ホームページをどのような内容にするかについて検討を重ねた。トライアル期間で気づいたことは、ゼミ活動のみならず、授業でも利用できないかということであった。そのため、毎回の授業内容を簡単にまとめ、その上で宿題、その他授業に関する連絡事項を毎週載せることとした。特に、授業時間ではカバーできなかったことや、次週までに準備してきてほしいデータなどの連絡は、ホームページを利用するのが最適である。また、授業の最初に自己紹介を書いてもらい、それをメールで私宛てに送信してもらった。そこでは、高校時代の思い出、大学での勉強、将来の職業など学生生活にかかわる自分たちの姿勢を尋ねたもので、日頃授業だけでは計り得ない彼らの本音の部分を聞くことが出来た。学生に返事を書く中で彼らに大学生活の意義を問い、それぞれの関心に応じて質問や提案を行った。その結果、その後頻繁にメールを送ってくる学生が少なくない。今後その中の一部を紹介することも考えている。ゼミ活動に関しては、同じように毎回のゼミ活動を出来るだけ詳しくまとめた活動報告、ゼミ生の自己紹介と、彼らの進級論文、および卒業論文、長期化した就職活動の結果4月以来顔を見せない4年生の就職活動報告、卒業生の近況、ゼミ応募状況などを載せることとした。

次に検討すべき点は、運用の主体と運用方法であった。ネットワークに興味ある学生がホームページを立ち上げても、その後その学生が卒業すると維持できないケースが多いことをこれまでの経験で知っていたため、どのようにしたら継続的に維持管理できるかが問題であった。結局、指導教師が中心となりつつも、ゼミ生の全員が関与し、かつ毎年ノウハウを継承してゆく体制を取ることとした。この点は、実はまだ始まったばかりでこれからの永遠の課題であるが、今のところ中心となる担当者のみならず、全員による楽しみながらの新しい情報の提供や、ホームページの模様替え、各自の担当セクションを見やすくしようとする努力の結果、毎週数回の更新が行われている。また、ホームページを更新する過程の中で気づいた様々なアイデアは逐次取り入れている。例えば、どうしたら新しい情報を見やすくかつ効率よく提示できるかという点については、バージョンアップ情報を一番最初のコーナーに置き、その簡単な内容を附して表示するようにした。

最後に、ホームページを立ち上げることの意義と効果について暫定的な答えを書いてみよう。コンピュータは計算をする道具として定義された時代から、知的情報処理ツールになり、今やネットワークのツールという別の側面が強調されているように、もはや新しい通信手段である。一対一のみならず、一対多の広がりを見せるため、これまでの伝統的な通信媒体(電話など)とは違ったコミュニケーションの可能性を示し始めた。インターネットに関与する学生は、そこでの情報のやり取りによって、自分自身が世界のネットの中に組み込まれていることを実感し、コミュニケーションの方法も内容も再考させられるわけである。ことに、ホームページを立ち上げ、世界に向けて情報を発信するという能動的な行為は、単に受け身的に情報を得るという行為に比べて、この点においてより効果的である。事実、既に授業やゼミ活動において、「学生の顔が見える」、「一体感が強まった」などの顕著な効果が見え出しているといってよい。

開設以来、幸いなことに一ヶ月弱でアクセス回数が1000回を超えることが出来た。その多くは授業履修者とゼミ生であろうが、このホームページにアクセスされた外部の人からの貴重な情報や意見も逐次増加しており、最近ではある新聞社からの日本の大学間をまたがるインターネットカレッジへの参加要請などもあり、広がりを見せ始めていることはうれしいことである。

ホームページの要は、清水の流れのように常に新しい新鮮な情報を提供し、停滞させないことではないであろうか。その中で、自然に湧き出す新しいコミュニケーションを大事に育てていきたいと考えている。