1998年度基礎演習履修者へ  

授業内容の確認  

1998.7.14  今日は最後の授業であるため、これからの日本を考える際に大事な要点について検討した。最初に、産業構造の高度化と呼ばれる第一次、第二次、第三次産業への産業構造のシフトに原因を探った。実際に戦後の各産業構造の比率の変遷をGDPで計測すると、第1次産業から第2次産業へ、そして最近では第4次とも言える高度な第3次産業へとシフトしていることが読み取れた。

なぜ、多くの国でこのような産業構造の転換がおこなれるかといえば、より生産性の高い産業へのシフトによって経済全体の活性化が行われることに由来するものである。すなわち、生産性の向上が経済成長の基礎にあるということである。生産性はその意味でもっとも大事な要素の一つであり、今後日本が21世紀以降伸びて行くために考えるべき要点である。その意味でこれから日本を支えて行くべき産業として、情報通信産業がある。この産業はほかの産業の神経系として作用しながら情報化社会を築きあげて行く。情報インフラの整備、規制緩和、法体系の整備、情報教育の普及など課題は多い。
この授業の課題

@9月20日にまでに、次のテーマについてA4で20枚程度にまとめて9号館6階の研受室に提出すること。その際、フロッピーディスクも添付すること。

「日本経済の戦後の歴史を踏まえその構造的な問題点と将来の展望について論ぜよ」

また、A授業全体に対する感想をBBSもしくはメールで送ること。

1998.7.7 
今回は今の日本を変えるべき諸点についてアメリカの例を参考にすることであった。
先日ゼミで招いたネブラスカ大学のフュース先生との討議から学ぶべき点については以下の通りである。
現在の好況はバブルではないという前提の下で、
@徹底した金融制度の改革
A 情報技術の導入、リストラなどによる生産性の向上
B増税、財政カットなどの断固たる財政改善の姿勢
C 消費者が自信を取り戻せるような政策
D優秀な人に対する機会を広げるような教育=悪平等の廃止
しかし、アメリカもこの景気がいつまで続くかは、インフレ、アジア経済に依存している。また、長期的には底辺および平均の学力アップを図らないと知力に依存する情報化社会が伸びて行かないと見ていた。
宿題
アメリカから学ぶ日本の再生の道について感想を述べよ。

1998.6.30 
残りも少なくなってきたため、これからは21世紀に向けて、日本が抱える問題点、方向性について考えていきたい。日本の実質経済成長は21世紀に入るとほとんど停滞してしまうとの予測が出ているが、その原因は少子化による労働投入の減少、資本投下の伸び悩みなどである。この暗澹たる予想を覆すためには、日本としては技術力に注力せざるをえないのである。日本の技術力はこれまで世界の中での競争力を上げるのに大きく貢献してきたが、これからどのような形で、これを維持し、かつ高めていけば良いのであろうか。ここで、今日は日米の社会的文化的な背景を考えてみた。日米を比べた場合、日本は同質社会とよばれ、平均を中心に特別に優れた人も特に劣った人も少ないが、アメリカは平均は日本より低いが、トップ層は厚いものがある。その背景には大学教育の質が大きく影響し、日本と比べて、より丁寧な入試によって選ばれた学生が、各人の職業観を持って学問に研鑚する。遊園地化した日本の大学(文科系)と比べると卒業時に大きな差がついてしまう。また、優秀な学生には多くのチャンスを与えるため、創造的な技術開発も進んでいる。日本の技術力も非常に高いものであるが、これからの競争に勝つためには悪平等主義を捨て、トップ層に対しては成果に見合う報酬と柔軟なシステムを提供すべきであろう。 
最近のアメリカ経済の成長は、クリントン政権による増税、支出切りつめという一般的には不人気な政策を強行に加え、不良債権を抱えた金融機関の整理の徹底、企業によるリストラ、情報化投資によるものであり、その結果、国際収支、財政収支という双子の赤字のうち財政収支は本年度均衡するまでに改善を見た。これらの背景として、機会に対する平等とその下でのし烈な競争、およびその結果としての富の蓄積(一方で見れば貧富の拡大)を目指す社会の価値観を読み取ることが出来よう。日本が、このような価値感に対してどのように考えて行くかは今後21世紀の日本の価値観を形成して行く上での一つの重要な論点である。 

宿題 
アメリカと日本を比べ両国の技術、教育、価値観などの差について、自分の思うところをまとめよ。 

1998.6.23 

 今回は、バブルの原因と実態について検討した。歴史上の著名なバブルはオランダのチューリップ、イギリスの「南海泡沫会社」、アメリカの土地投機とそれに続く株式市場の崩壊であるが、そこに見られた一つのパターンは@何らかのもっともらしいコアがあること、A価格が急激に上昇し、上昇を助けるシステム(例えば株の信用取引)などが後押しすること、B資産が負債見合いで増えてくること、C広く一般大衆を巻き込むこと、Dこのまま上昇し続けると信じる、夢見の状態(ユーフォリア)になること、E夢見が終わったとき、急激に価格が暴落すること、F最後に負債だけが残ることである。日本では企業の証券市場での直接手当てが進む中で、銀行への依存が減少し、銀行がこれまでとは異なる融資先である個人や、不動産部門を開拓した。 
もともと、バブルは本来の価値を超えた部分であり、例えば土地でいえば土地から生み出される地代や家賃など、本来土地が生み出す収益力を超えた形で評価された部分である。 
本来の価値 = 地代、家賃/長期金利 
多くは右肩上がりの成長を期待したものであった。しかし、土地融資規制強化であっけなく崩れてしまった。 
バブルの残した問題は、現在不良債権という形で不況の最大原因を形成しており、雇用不安の中で若年労働者の失業問題を起こしかねない。 
ブラックマンデイ後の日本だけが浮上してきた状況下、多くの日本人が日本だけは特別であると感じたそのおごりが、バブルをその段階で止めることが出来ずに、最悪の状態に導いたことを考えると、バブルの最大の原因は、何よりも日本人のおごりであったようである。 

宿題 
バブル経済ついて、コメントをBBSに載せること。 
 

1998.6.16 

前回に引き続き、昭和35年から平成元年までのニュースフィルムを見た。ここでは高度成長期の日本の姿を中心に、池田内閣の所得倍増計画、旺盛な投資、石炭産業の衰退とエネルギー革命、モータリゼーションと自動車産業の進展、国際収支の黒字転換、海外渡航の自由化、オリンピック景気、高度成長の歪みとも言うべき公害問題の発生、田中内閣の日本列島改造論、ニクソンショック、中東戦争、第1次石油危機、省エネルギー対策、日本的労使関係、生産現場におけるロボット化、受験戦争、核家族化、校内暴力など教育問題、貿易黒字累積による貿易摩擦の発生、東南アジア諸国への経済進出、バブル経済、天皇の崩御などを見た。 

宿題 

前回と同様に、日本経済の成長の要因を検討し、BBSに載せること。 

1998.6.9 

今回と次回2回にわたり、戦後の日本経済を概観する上で、ニュースフィルムを見ることとする。日本が占領統治下にあって、戦後の荒廃の中から立ち直る姿を見た。主なものは、食料統制、戦争責任を問う東京裁判、復員軍人の就職難、財閥解体、農地改革、学校における6.3.3制の導入と民主化運動、戦後初の選挙による婦人議員の誕生、天皇の人間宣言、新憲法交付、傾斜生産方式、サンフランシスコにおける平和講和条約の締結(占領時体制の終焉)、朝鮮戦争の特需(戦前の生産水準の復活)、安全保障条約をめぐる対立、エネルギー革命に伴う石炭産業の衰退などである。 

特に私が強調したいことは、日本の「平和」が新憲法の中で与えられたものであることである。多くの外国の国dでは「平和」を守ることの中に「平和」を強く意識するが、日本の場合はそれが当たり前のように考えられていることの危険性である。また、長期にわたる「平和」があったからこそ、日本の経済成長が可能となったという点である。 

また、第1次大戦後ドイツに課せられた巨額の賠償金によって生じた超インフレ経済の中からヒットラーが台頭し、第2次世界大戦を引き起こした経験から、平和講和会議では、吉田首相が述べたように「公平で寛大なる」精神の下に国際社会への復帰を第1に考えられたことの重要性である。 

今回は、戦後から昭和35年までであり、次週はそれ以降バブル崩壊までとなる。 

宿題 

戦後日本の経済成長の原因を探り、今日の感想とともに送ること。 

1998.6.2 

最初に、専修大学経済学部の2年から3年に進級する時点における留年率の高さを分析し、それが1年次にほとんど学校から離れてしまうことによるものであることを説明した。留年によって、そのまま退学する人もいるなどその後の大学生活、就職に大きく響くものである。米国では、このようなケースでは退学になるのが一般的であり、日本の大学の甘さを認識して欲しい。 

今回から、本論の経済分析に入るので、出来るだけ全員が理解するレベルまで、ペースを落としてゆくこととする。 

最初に、再度大型コンピューター上の日経NEEDSから実質GDPデータを取り入れることを試みた。手続きについては、前回の項を参照のこと。 

次に、前年比の計算を行った。 

  

前年比の求め方 = (今年−前年)/前年*100 

  

1955年から1995年までの対前年比を求め、これを折れ線グラフで表示した。このグラフによれば、高度成長期、第1次オイルショック、第2次オイルショック、バブル経済への突入、崩壊、そしてその後の推移を見ることが出来る。 

宿題 

実質GDPデータの対前年比のグラフをプリントアウトして、その上に主要な経済事象をその上に書き込むこと。授業の感想をBBSに載せること。 

  

1998.5.26 

最初、数人の人にPowerPointによるプレゼンテーションを行ってもらった。次に、大型コンピュータに接続し、日経NNEDSデータを取り込むことを試みた。データとして、GDPおよび、その構成要素である、民間最終消費、政府最終消費、総固定資本形成、在庫増加、財、サービスの輸出、財、サービスの輸入(すべて名目)を取り出し、フロッピーへ転送し、最後にエクセルに取り込むことを行った。そして、 

GDP=民間最終消費+政府最終消費+総固定資本形成+在庫増加+財、サービスの輸出−財、サービスの輸入 

であることを掲載して確認した。 

以下が、取り込の具体的なステップである。 

  

@Communinetの中のM680Hを起動させる。user idとpasswordを入力。 

A>>が出たら、NEEDS と入力しenter keyを押す(テンキーの右のキー) 

B以下、 

メニュー形式を選択 

日経総合経済データを選択 

所得統計、その中の主要系列、さらに国内総支出(生産)、名目を選択 

Cデータの形式、データの始まりと終わりの時期を確認する。 

D選びたいデータを”S”と入力して、指定する。 

ここでは、民間最終消費(CP)、政府最終消費(CG)、総固定資本形成(I)、在庫増加(J)、財、サービスの輸出(E)、財、サービスの輸入(MP) 

Eenterを押す。 

Fデータの取り込み画面で、MSDOS形式のフロッピー、データの種類(月、四半期、年など)、データの始まりと終わりの時期を指定する。 

Genterを押すと、@HENKAN.DATAにデータが保存されたと表示される。 

Hこのプログラムを一度終了し、再度M680Hを起動させる。user idとpasswordを入力。 

I>>が出たら、IFITと入力。 

JHost−>Terminal(1)、データ名として、@HENKAN.DATA、フロッピーのファイル名として、A:¥DATA(ここは好きな名前を入力) 

Kenterを押すと、データが大型コンピュータから、フロッピーに転送され、transmissionの完了通知が出る。 

LExcelを起動し、フロッピー上のファイル(ここでは”DATA”)を開く。そのさい、ウイザードの中で、カンマ区切りを指定する。 

宿題 

@GDPの実質データを取り込み、授業の感想を添えてメールで送ること。 

ただし、実質では輸出の純増を選択すること。 

APowerPointを使って、高校時代の思い出(大学生活への抱負もできれば)について、3,4枚程度にまとめ、これを今日の授業の感想に添付して、私あてのメールで送ること(前回未提出の人のみ)。 

1998.5.19  
最初に、前回の宿題を検討した。次に、教科書にそって、グラフ化、ワープロへのデータの転送、貼り付け、さらには、伸び率、構成比(ここでは、絶対番地指定)の計算を勉強した。最後に、PowerPointへの簡単な導入を行い、自分を表現する手法の一つに接した。 

なお、勉学態度として、3年後就職の際に自信を持って答えられるような、授業の選択、取り組み方をして欲しい。今の企業の採用状況を見ると、学生生活が、サークルだけでなく、勉学面で充実していないと難しいものがある。 

宿題 
PowerPointを使って、高校時代の思い出(大学生活への抱負もできれば)について、3,4枚程度にまとめ、これを今日の授業の感想に添付して、私あてのメールで送ること。 

1998.5.12  
今回は、表計算の基礎を勉強した。最初に、表計算の簡単な歴史、表計算の原理を説明した後で、教科書にそって、首都圏の大学の志願者のデータを入力し、大学別、各年別の合計を出した。 

ここで学んだことは、式の書き表し方。関数としては、sum, average。 

宿題 
@高校時代の思い出と、大学生活への抱負について、BBSに載せていない人は載せること。 
A今日の授業の感想を、私あてのメールで送ること。 
B大学のデータを私あてに送付すること。 

1998.4.28  
最初に、今日発表された、最悪の完全失業率の話に関連して、大学時代の勉学態度について説明した。 
以下はその骨子。 
 

今は、大学で何をしたかが問われる時代であり、3年後の就職試験の際に、それまで自分が何をしたのかをしっかり説明できるような学生生活を送って欲しい。遊び(サークルなど)も勉学もともにしっかりやり、充実した生活を送ることが必要である。高校時代にもし、自分が充実していなかったら、この大学時代に精一杯充実させることが必要である。大学時代を適当にすごすと、社会に出てからもその癖が抜けなくなってしまい、いつも不満足な結果しか残せなくなる。「サークルでみんなと仲良くすることを学びました」では、これからは誰も採用してくれない。多くの日本の学生は、やりたいことを探しに大学に行くという。無理もない。高校時代に、将来のことを真剣に考えるよりは、受験や部活に精を出していたから。諸外国では、既に高校時代に将来の目標を決め、大学ではそれの実現に向けて、実によく勉強する。一方、当大学では1年、2年と遊びすぎ3年に進級できない学生が、毎年2割弱も存在する。そして、多くの学生は3年の後半、就職を突きつけられて始めて慌てて考え出す。少しでも早く目覚め、自分の適性、将来の方針、大学時代の位置づけをよく考えて欲しい。 
 

その後、大至急ではあったが、なんとかメールの設定を終えることが出来た。設定方法について、詳しくは手引きを参照のこと。 
宿題 
@高校時代の思い出と、大学生活への抱負について、BBSに載せていない人は載せること。 
A今日の授業の感想を、私あてのメールで送ること。 
Bプロフィールに載せる写真を持ってくること。 

なお、メールを送付できない人が数人いたが、その理由は、@自分のメールアドレスが間違いの場合。Amail directoryの欄を消していない場合である。メールの設定をもう一度、手引書によって確認し、訂正すること。また、私のメールアドレスを間違えたため、メールが到着していないケースが数件見られた。 

私のメールアドレスは以下の通りである。もし、違っている場合は、再度送付すること。 

mochizuki@isc.senshu-u.ac.jp 

(iscがないケースが多い) 

なお、上のアドレスをクリックしても、私あてのメールが送信可能。 

1998.4.21  

出来るだけ早く、コミュニケーションをとりたいため、簡単なワープロ、かな漢字変換を経験した後で、すぐにインターネットへのアクセスを試みた。  

netscape nagigator goldを立ち上げ、私のホームページへのアクセスを試みた。  

アドレスは、http://www.isc.senshu-u.ac.jp/~the0350/Welcome.htm  

次に、BBS(掲示板)による、情報の発信(掲示)の実際を見た。  

宿題  

各自、高校時代の思い出と大学生活への抱負をBBSに載せておくこと。  

なお、昨年度の教科書は購買部で無料で配布(この授業履修者のみ)しているため、これを手に入れ、各自でかな漢字変換、ワープロ、キーボード入力、インターネットへのアクセスを練習しておくこと。  

なお、キーボード入力用の練習ソフトが(quicktouch)を利用できるので、自習しておくこと。  
  

1998.4.14  
ガイダンス  
この授業の目的  
@ 経済および経済学への興味を引き出すこと  
A 戦後の日本経済を概観し、現在日本が置かれている状況を把握し、来世紀への課題を探ること  
B インターネットを利用して、コミュニケーションの促進、情報の発信、収集を行うこと  
C 表計算ツールを使って、経済データの分析を行うこと  
D 4年間の大学生活の在り方を考えること  

来週から、早速インターネットによるコミュニケーションを始めるので、9号館4階の情報科学センター事務課で、コンピューター利用手続きを行なっておくこと。  
また、高校時代の思い出、大学生活への抱負について書いておくこと。  
なお、次回からは使用する教室が異なり、9号館の964号室で行なう。(先に、端末室Bと言ったが、これは間違いでした)