アフリカの経済(後期,2単位)
室 井 義 雄
講義概要
アフリカ大陸は,一面では,地球上で経済的に最も貧しく,また部族・宗教対立など,
様々な問題を抱えている地域である。だが,アフリカを学ばうとする者にとって必要なこ
とは,未開・熱帯・砂漠・飢餓・紛争・太鼓とダンスなどという,偏見にも似た固定的イ
メージから自由になることである。50ヵ国以上の独立国を数えるアフリカ地域は,過去の
歴史と現在の社会状況において極めて多様である。
本講義では,アフリカの伝統的経済横造が過去の植民地支配の下で如何に変容し,それ
が現在のアフリカ諸国の抱える諸矛盾,あるいは逆に,アフリカ社会の底知れぬ生命力と
如何なる関連を有しているのかという,歴史的・構造的分析を試みる。より具体的には,
アフリカ諸国の経済構造を小農輸出経済型と鉱山・プランテーション経済型に類型化し,
前者についてはナイジェリア,後者についてはケニアを事例に主として実態分析を行う。
講義計画
T.〈中心=周辺〉横造の形成
1.ベルリン会議と植民地体制の成立
2.文明化の使命論
3.植民地への争い
U.アフリカにおける植民地構造の形成
1.アフリカの伝統的社会
2.植民地化と国際分業体制への統合
3.伝統的社会の変容
V.アフリカの独立と国家建設
1.沸き上がる独立運動
2.政治的独立と植民地遺産
3.民族と国家の対立
W.むすびにかえて
1.非市場社会の論理
2.第三世界と日本と私たち
成績評価の方法
学年末試験の成績を最終評価とするが,出席状況も多少考慮する。
教科書
使用しない(講義ごとに統計資料・用語解説などのプリントを配布する)。
参考書
川田・石井編『発展途上国の政治経済学』東京書籍,1987年。
森田桐郎(室井義雄編)『世界経済論の構図』有斐閣,1997年。
室井義雄『南北・南南問題』(世界史リプレット 56)山川出版社,1997年。
林・日野・小田編『アフリカの21世紀』全3巻,勁草書房,1991〜92年。
アイリフ(北川勝彦訳)『アフリカ資本主義の形成』昭和堂,1989年。
ファノン(鈴木・他訳)『地に呪われたる者』みすず書房,1969年。
室井義雄『連合アフリカ会社の歴史:1879〜1979年』同文館,1992年。
受講前提条件
「発展途上国経済論」(前期,2単位),および「経済人頚学」(後期,2単位)と併
せて受講することが望ましい。なお,およその出席状況の把握を兼ねて,講義中に数回の
アンケートを実施する。
備考
関連科目は,発展途上国経済論,国際関係論,国際協力論,経済人類学,経済社会と
女性,民族と宗教など。