貿易論(前期,2単位)
野口 旭
講義概要
本講義では,リカードの比較生産費説からヘクシヤー=オリーン=サミュエルソン.モ
デル(HOSモデル)へといたる国際貿易の基本理論を学び,その意義と現実的合意を明
らかにする0また,近年展開されつつある国際貿易の「新理論」や,プロダクト・サイク
ル理論,雁行形態論などについても若干の言及を行う。
本講義の最終的な目的は・リカードウ・モデルからHOSモデルにいたる展開の中で精
緻化されていった・「比較優位」・「貿易利益」,「交易条件」,「要素賦存」などの,
国際貿易という経済呪象を正しく理解する上で不可欠な諸横念を自在に使いこなせるよう
になることである0国際貿易については,ここ数年のアメリカで額著なように,それを
「国際市場をめぐる勝つか負けるかの剛、」であるかのように捉える,危険で粗野な「重
商主義的思考」が根強い。国際貿易理論を学ぶ最大の意義は,巷に流布されているそのよ
うな感情的・非経済学的な議論を批判的に捉える目を養うというところにある。
講義計画
T はじめに一国際貿易の正しい見方と誤った見方
U リカードの比較生産費説
U ヘクシヤー=オリーン=サミュエルソン・モデル
W 貿易政策の効果
X 国際貿易の「新理論」
Y 国際分業の変化と調整
Z 貿易摩擦の虚構と真実
成績評価の方法
基本的にはレポートによって行う(夏休み中に書いてもらう)。ただし,出席状況も参
考にする可能性がある。
教科書
高増明・野口旭著咽際経済学一理論と現実−1(ナカニシヤ出板)
受講前提条件
日頃から新聞などによく目をとおし,国際経済にいまどのような事柄が生じているめか
について,常に意識的であるようにしておくことが望ましい。