特殊講義 (通年、4単位)
ドイツの経済と財政

町田 俊彦


講義概要
旧西ドイツは、日本と同様に敗戦国として経済機構が解体したにもかかわらず、急速な経済復興、経済成長を達成し、強力な国際競争力で貿易市場におけるアメリカ優位体制を掘り崩した。他面、経済成長と並んで、分権的行財政システムの下で、住宅、年金、医療保険、を中心とする社会保障の充実にも政策の重点を置いた点では、成長促進政策の偏った日本とは差がある。こうした西ドイツの経済発展と分権的行財政システムの発展を明らかにする事が第一の課題である。
 統一ドイツでは、旧東ドイツを支えるための膨大な財政支出が財政危機をもたらしているが、1999年からEMU(ヨーロッパ通貨同盟)第3段階(ヨーロッパ共通通貨の導入)へ参加するために、財政赤字圧縮が求められている。財政再建は戦後作り上げられた良好なろうそう条件を含めた高福祉体制を大幅に修正する内容を伴っているために、労働組合や、野党SPDの強い反発を受けている。大幅な東西格差を伴った統一ドイツのドイツ経済の発展と財政赤字・財政再建の動向を明らかにするのが第二の課題である。



講義計画
1.西ドイツの経済と財政
2.ドイツ統一後の経済発展と東西格差
3.東ドイツ地域への膨大な財政移転を主因とする財政危機と財政再建



成績評価の方法
出席とレポートにより評価



教科書
なし



参考書
戸原 四郎・加藤 榮一編「現代のドイツ経済」有斐閣、1992年
古川 卓寓「世界の財政再建」敬文堂、1998年(拙稿「ドイツの財政危機と財政再建」を所収)
暉峻淑子「豊かさとは何か」岩波新書



備考