現代日本日本経済史(通年、4単位)

泉 武夫


講義概要
戦後日本主義が今時対戦の敗戦とともに崩壊した後を受けて、戦後日本資本主義が再建され、展開していく過程を中心に学習する。はじめに戦前の遅れた諸関係を払拭する民主化諸改革を学び、次に戦後日本資本主義の再編構造を大きく規定する東西冷戦体制についてみる。次いで日銀券の大量散布や物価体系・新物価体系の導入、米殻強制提出、農民に対する徴税強化、傾斜生産方式など、崩壊した国民経済を再建するための資本の本源的蓄積=再版原畜とドッジラインの強行を経て、戦後冷戦体制を確定付け田朝鮮戦争の特需のよって戦後日本資本主義の再編過程が本格的に発展する事を見る。そして鉱工業生産指数が1951年のは1930年代水準を回復し、1955〜1956年にかけて戦前最高水準を大幅に超えるに至り、1960年頃に戦後日本資本主義の再編が完了する様を見る。そこには戦前とは隔絶した生産力を体現した重化学工業が日本資本主義発展史上初めて実現される。


講義計画
1.戦前日本資本主義の崩壊
2.民主化諸改革
3.農地改革=農民開放
4.財閥解体
5.労働改革
6.ヨーロッパにおける冷戦の展開
7.アジアにおける冷戦の展開
8.日本における冷戦の展開
9.IMF,GATT体制
10.敗戦直後の荒廃
11.金融緊急措置令と3.3物価体系
12.傾斜生産方式と
13.7・7新価格体系と6・22価格改正
14.徴税強化と農民収奪
15.経済安定10原則
16.日本経済復興計画9原則
17.ドッジラインの強行と不況
18.朝鮮戦争特需と生産の軌道化
19.戦後日本資本主義の確立第一階段
20.戦後日本資本主義の確立第二階段


成績評価の方法
学年末試験を基本とする。出席点は考慮しない。ただし、講義の理解を検証するために30分の小テストを実施した場合にはその結果を加味する。


教科書
使用しない


参考書
『戦後経済史 全7巻』(東洋書林・復刻版)
『講座 今日の日本資本主義 2』(大月書店)
『戦後改革 全8』(有斐閣)


受講前提条件
1. 受講前提条件はつけないが、経済史総論、西洋史総論、日本経済史、現代西洋経済史日本経済論を合わせて受講してくれるとありがたい。
2. 板書が多くなるであろうから、上手にノートするように心がけて欲しい。それは単位取得の第一要件である。
3. 講義中の私語は御法度。ひどい時は退出してもらう。