野口 真
私たちが暮らす社会は資本主義社会と呼ばれる。この社会の土台をなす経済がどのような構造をもち、いかなる運動をしているかを知ることは、私たちの暮らしの在り方を問い 直す上で欠かせない。資本主義とは、つまりは「資本」主義のことであるから、「資本」 が何であるのかがわからなければ、その本質を理解したことにはならない。資本の生い立ちは古く商人や高利貸の資本に始まるが、社会の再生産を律する力として人間社会に支配的影響力をもつに至ってはじめて「資本」主義は成立した。市場経済を住みかとする資本 は人間の活動とその成果、さらには自然をも商品として市場へ導き入れ、それを再生し変容させ時には蕩尽しつつ蓄積を進める。資本の蓄積は常にあつれきと動揺を伴う不安定な 運動であり、その変動をとおして資本主義の経済システムは進化を遂げる。講義では市場交換過程、生産過程、蓄積過程に焦点を当て、資本が織りなすシステムとその運動の原型を示し、それが今日の資本主義を把握するための基礎であることを明らかにする。
前期 序 経済原論と経済学
T 市場経済と資本主義
U 資本主義の生産過程 |
後期
B 賃労働と剰余価値の生産
U 資本主義の蓄積過程 |