経済原論IA (通年、4単位)
矢 吹 溝 男
講義概要
経済原論Aは,マルクス『資本論』に基づいて,我々の生きている資本主義経済の仕組
みがどのようなものか,そしてどのように運動するのかを2年間にわたって明らかにしよ
うとするもので,TAとUAに分かれています。このうちTAは初めに経済学への入門的
な講義を行なった後,『資本論』第1巻「資本の生産過程」にそくして,「商品」・「貨
幣」・「貨幣の資本への転化」・「絶対的剰余価値および相対的剰余価値」・「資本の蓄
積過程」について説明し,さらにUAで立ち入って検討する再生産表式論を中心とした
「資本の流通過程」の概略を説明します。講義のそれぞれの段階でポスト冷戦期の資本主
義の抱える諸問題と『資本論』との関連について触れたいと考えています。
講義計画
前期 | 後期
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1.現代資本主義と経済学の課題 | 1.貨幣の資本への転化
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2.経済学の流れとマルクス経済学 | 2.絶対定余剰価値の生産
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3.経済学の対象と方法 | 3.相対的余剰価値の生産
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4.商品と価値 | (補)ME革命について
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5.貨幣の必然性 | 4.貯蓄と拡大再生産
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6.貨幣の三機能 | 5.資本の有機的構成の高度化と相対的過剰人口
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(補)a.インフレーション | 6.現代における相対的過剰人口の存在形態
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b.恐慌の可能性 | 7.資本の循環・回転
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c.国際通貨制度の歴史 | 8.再生産表式の基礎
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| 9.経済原論UAを展望して
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成績評価の方法
前期テストと学年末試験を行なう。中間に数回テストを行なう。
教科書
常盤・井村・北原・飯田著『経済原論』(有斐閣)。やや難解なので,分かりやすくし
たプリントを用意する。
受講前提条件
大きな変動期にある現実の経済に対する驚きと絶えざる関心なしに経済学を学ばうとしても不毛である。新聞の政治・経済面を読む習慣をつけ,問題関心を高める努力をすべきである。