経済原論UA (通年、4単位)

西 村 弘


講義概要
原論UAは,原論IAの延長線上に位置づけられる講義となる。IAでは,総資本と賃 労働との直接的生産過程における諸関係や再生産の分析が主要な課題となったが,そこで は生産過程を補完する流通過程ならびに流通過程に媒介されることによって生産過程がう けとる諸影響は,視野の外におかれた。資本の再生産過程は直接的生産過程と流通過程の 統一としてあり,したがって生産過程の更新は,流通過程による媒介的運動を必然的にと もなう。原論UAの講義では,生産過程と流通過程の統一体としての資本主義的生産の分 析を行うだけではない。産業資本,商業資本,利子生み資本,土地所有の所得が相互の競 争と協力関係を通してどのように成立するかの基本的メカニズムを理論的に分析すると同 時に,国家を媒介とした資本主義経漬の動態が考察の対象となる。



講義計画
前期 後期
1.資本の循環7.商品取扱い資本と商業利潤
2.資本の回転8.貨幣取扱い資本
3.社会的資本の再生産と流通9.利子生み資本
@単純再生産10.信用制度一商業信用と銀行信用
A拡大再生産11.修正資本主義と国家の役割
4.費用価格と利潤12.管理通貨制度と利子率の決定
5.生産価格の形成13.外国貿易と為替レート
6.一般的利潤率の傾向性



成績評価の方法
基本的に学年末試験の成績を評価基準とする。



教科書
なし。但し必要に応じてプリントを配布する。



参考書
置塩信雄『経済学』(大月書店)。その他は講義のなかでその都度指示する。



受講前提条件
経済原論IAの履修が前提条件となる。関連科目は,再生産論,日本経済論,現代資本 主義論。講義では現代的諸問題との切り結びに努めていく。講義ノートがテキスト代わり になるので,ノートはきちんととるようにすること。