金融論(通年、4単位)

土方 保


講義概要
金融の自由化・国際化という言葉が古くからいわれてきた。また景気との関係で金融や財政などの経済政策の中での主体性が問われたりしている。講義はまず金融をめぐる日本 経済の実態を総合的に認識することにある。たとえば金融の自由化・国際化とはなにか,銀行と証券会社との関係はどのようになっているのか,金融市場とはなにか,などである。 金融の本質を正しく理解しないと,実態経済の把握に間違いを犯したり,愚かな政策的主張に固執したりすることになる。このような実証的分析をふまえて,経済原論Tの貨幣論 の上になり立っている金融論,とりわけ信用理論について理解することが重要である。実態経済の分析に役立つ金融論の科学的な認識をうるために信用理論の学説史を学ぶこと, 最近の金融理論への接近を試みることが必要となる。金融政策の諸手段など金融技術の習得が目的なのではなく,生きた経済学を構築するための研鑚の一つとして金融論を学ぶこ とが,21世紀に生きる一人ひとりの日常生活にとって不可欠なことといえよう。


講義計画
前期
1.現代日本の金融構造
2.現代の貨幣と信用
3.VTR授業内容
 (1)1ドル=1円だったころ
 (2)IMF体制とニクソンショック
 (3)日本銀行のインフレとの苦闘100年
 (4)バブル・証券市場
 (5)破綻した金融行政 大蔵省
 (6)金融ビッグバン
  その他
後期
1.貨幣・信用理論の歴史
(1)古典学派の貨幣数量説
(2)マルクスの貨幣論・信用論
(3)近代経済学の金融理論
2.最近の信用理論に関する諸問題
※ 随時配付する「用語かいせつ」およびVTRによる授業は,講義内容をより具体的に理解することに役立つと思われる。


成績評価の方法
出席点,前期レポート,後期レポート,随時レポートなどにより評価する。レポートは資料を調査して,自分なりの解釈・工夫をすることが要求される。講義に出席していれば なにをどのようにレポートすべきなのかがわかるが,出ていないと極めて困難であると思われる。VTR授業時のレポートを随時レポートにかえることができる。再履修は可。


教科書
なし。


参考書
多数の参考書が必要となる。特に日常,経済関係の新聞記事をたんねんに読むことが,あるいは読めるようになることが肝心である。


受講前提条件
経済学科:経済原論IA,経済原論IB
国際経済学科:経済原論A,経済原論B