金融論(通年、4単位)

山中 尚


講義概要
本講では、経済学の応用分野のひとつである金融論の基礎と日本の金融システムについて解説を行 う。金融の世界は、自由化・国際化とともに金融技術革新が急速に進展している。本講の目的は, 受講生諸君がこうした現実の金融現象の仕組みを経済学的に理解できるようになることであり、し たがって理論的側面にウェイトを置きつつ、わが国の金融事情を概説する。



講義計画
前期
1.貨幣と金融の機能
 1.1貨幣の機能と流動性概念
 1.2金融仲介機関の経済的機能
 1.3貯蓄・投資(資金過不足)と金融取引
2.貨幣供給
 2.1ハイパワードマネーとマネーサプライ
 2.2信用創造の理論と貨幣(信用)乗数
3.貨幣需要
4.IS=LM分析と財政金融政策の効果
5.インフレーション
 5.1フイリップス曲線と自然失業率仮説
 5.2インフレ課説とシーニョリッジ
後期
6.日本の金融システム
 6.1短期金融市場と長期資本市場
 6.2金利の期間構造理論と金利体系
 6.3金融派生商品(デリバディプ)
7.資産選択の理論
8.企業金融の理論
9.銀行行動の理論
10.信用秩序の維持と銀行規制
   /ブルーデンス政策



成績評価の方法
学年末試験をもって成績評価とする。



教科書
なし。



参考書
池尾和人他『金融』(有斐閣)、黒田晁生『入門金融』(東洋経済新報杜)、堀内昭義 ・岩田規久男『金融』(東洋経済新報社)、堀内昭義『金融論』(東京大学出版会)、日 本銀行『わが国の金融制度』(日本信用調査)、館籠一郎他編『金融辞典』(東洋経済新 報社)、酒井良清・鹿野嘉昭『金融システム』(有斐閣)、吉岡恆明・小口登良編『テキ ストブック現代経済学』(多賀出版)。そのほか講義の中で適宜指示する。



受講前提条件
経済学科:マクロおよびミクロ経済学の基礎的理解を前提にしたいので,経済原論UB を履修済み、あるいは履修中であることが望ましい。関連科目として、国際金融論、財政 金融政策、経済政策を受講されることを推薦しておきたい。また、変化の激しい金融を巡 る現象をフォローするためには、新聞や関連する雑誌などを読むことを常日頃から心がけ て欲しい。講義の理解を助けるため、リーディングリストや練習問題の配布なども考えて いるので、受講生諸君は受け身にはならずに、積極的に金融理論の体系を理解するように 努力して欲しい。