国際関係論
(通年、4単位)
狐 崎 知 己
講義概要
国際関係論とは,元来,国家間の利害対立を戦争という手段に訴えずに,調整・解決し うる国際社会のありかたを考察する学問であった。だが,この百年問,武力紛争は一日も 休みなく続けられ,紛争の要因もますます錯綜化しつつある。とりわけ現在,政治や経済 のみならず,情報,技術,文化の諸領域における「国際化」や「グローバリゼーション」 の漫透によって,主権国家を基本的な構成要素とする国際社会の態様が大きく変容しつつ ある。同時に,国家主権や「国民社会」の存在を前提としてきた社会科学のバラダイムも 揺らぎはじめている。地球規模の環境問題に象徴されるように,各国が単独では解決しえ ない「グローバル・アジェンダ」が相次いで浮上している。
このため,国際社会の動態を総合的に解明し,各主体の行動様式を対立・紛争から協調 へ転換しうる理論と実証研究の必要性が高まっていると言える。前期では,国際関係論の 対象範囲と基本的な概念を把握したうえで,国際社会の動態をマクロ的に捉える諸理論を 比較検討する。後期では,各国および国際社会全体が直面する種々の問題領域をより的確 に分析しうるミクロ理論を紹介する。
講義計画
前期
(1)国際関係論の成立背景
(2)主権司家と権力政治
(3)新現実主義論
(4)覇権安定論
(5)多元主義と国際関係の主体
(6)世界システム論と長期波動論
後期
(7)国際相互依存論
(8)国際レジーム論
(9)対外政策決定論
(10)平和研究
(11)ナショナリズムとエスニシティ
(12)国際紛争の転換と解決
成績評価の方法
学年末試験のほか小テストを数回実施する。
教科書
P.ビオッティ『国際関係論』第二版,彩流社1993年
参考書
P.ビオッティ『国際関係論』第二版,彩流社1993年