経済学基礎演習前期2単位

高橋 祐吉


講義概要
経済学を学びたいと思って入学したわけではない(かもしれない)皆さんに,社会に対 する知的な興味や関心をかきたててもらい,ひいては経済学に対する親近感を抱いてもら うのがこの演習の目的です。今回は・世界第二の「経済大国」に成長し「豊かな社会」を 満喫しているかのようにみえるわが国が,現在どのような問題を抱えているのかを一結に 考えてみたいと思います。私たちのまわりには,goodsやleisure,fashionに関する情報が あふれていますが・そうしたものだけではたしてどこまで人間らしい豊かさを論ずること ができるのでしょうか。そんなささやかな疑問を大事にするところから,経済学を学ばう とする意欲は生まれてくるような気がします。わかりやすく書かれたテキストを数多く読 むことによって,受験勉強がもたらした《視野狭窄症》から脱出しませんか。



講義計画
ブックレット(薄い小冊子)や新書のなかから演習のテーマに関連するものを選び,毎 回1冊(合計8冊程度)ずつ読んでいきます。途中で2回ほどビデオをみて議論してみた いと思います。

@宮田光雄『いま人間であること』
A暉唆淑子『ほんとうの豊かさとは』
B西川 潤『(新版)貧困』
C佐高 信『企業社会を考える』
D宮崎義一『ポスト複合不況』
E中村 正『男らしさからの自由』
F陸 培春『もっと知ろうアジア』
G小田 実『「殺すな」と「共生」』



成績評価の方法
出席点50%,レポート(演習終了後に提出)50%で評価します。



教科書
上記のブックレットや新書8冊



参考書
嘩峻淑子著『豊かさとは何か』・大平健著『豊かさの精神病理』,同『やさしさの精神 病理』(いずれも岩波新書)など。



受講前提条件
メダカのようにみんなと一緒に《群れる》ことに疑問を感じたり,大学にきたからに は・本を読むことの楽しさや議論することの面白さも味わってみたいと思っている学生諸 君の参加を期待しています。演習に参加して,本を読むこと,内容を要約したプリントを つくること,人前で発表すること,自分の感想や意見を述べあって討論に参加すること, リポートを書くこと,が意外にも楽しくまた自分自身を成長させるものだということを実 技的に学びます。