国際経済入門ゼミナール(前期,2単位)

室 井 義 雄


講義概要
テーマ:南北間題・貧困問題
 「南北間題」とは,主に地球の北半分に位置する先進工業諸国と南半分に位置する発展 途上国との間に著しい経済的格差が存在し,しかもそれが縮小するどころか拡大の傾向さ えみせているという,今日の世界経済の現実から発生する経済的・政治的諸問題を総杯し ていうものである。  本講義では,こうした南北間題の歴史的展開過程を跡付けながら,今日の南の諸国にお ける貧困問題(いわゆる「南南問題」)の諸相と解決の道を探ってみたい。  なお,教師による一方的な講義ではなく,あらかじめ決められたレポーターがテキスト に関する報告をを順次行ない,学生の座長のもとで全員が討論に参加するという,ゼミ形式 をとる。テキストの内容は以下の講義計画にみられる様であるが,時間があれば関連する スライドやVTRも映写したい。



講義計画
T.はじめに  課題の設定
U.南北問題の登場
1.O.フランクス卿の問題提起
2.南北問題の本質
3.植民地体制の崩壊とその意味
4.冷戦体制と南北問題
V.南北間題の展開(戦後〜1960年代)
1.IMF=GATT体制の成立
2.R.プレビッシュの問題提起
3.南の連携と第三世界の台頭
4.国連貿易開発会議の発足
W.南北間題の変容(1970年代)
1.「ニクソソ・ショック」とIMF体制の崩壊
2.資源ナショナリズムと新国際経済秩序
3.「石油危機」の勃発とその影響
4.新興工業諸国の台頭
X.南北間題の現段階(1980年代〜現代)
1.冷戦体制の終焉
2.「南南問題」の発生とその意味
3.債務累積問題と構造調整計画
4.貧困問題
Y.むすびにかえて−−一国家と民族



成績評価の方法
下記のいずれかのテーマでレポートを提出してもらい,出席状況を考慮しながら成績評 価を行なう。執筆枚数はB5版用紙にワープロで3,000字程度(またはB5版横書原稿用 紙で7〜8枚程度)。
 @「『南北・南南開題』を読んで」(教科書の感想文)
 A「第三世界の○○について」(自由テーマ)



教科書
室井義堆『南北・南南問題』(世界史リプレット56)山川出版社,1997年。



参考書
本山美彦『南と北 −崩れ行く第三世界』ちくまライブラリー,1991年。
 本多健吉『南北問題  もう一つの国際紛争』大阪国際平和センター,1992年。
 西垣・下村F新版 開発擾助の経済学』有斐閣,1997年。
 国際開発計画 『人間開発報告』1990年〜各年版。
 国際連合『世界の女性』1991年〜各年版。



受講前提条件
受講に際しての特別な前提条件はないが,アジア,アフリカ,ラテンアメリカの経済社 会に関心をもつ学生諸君を歓迎する。なお,上記の教科書は学内の書店で購入できるよう にしておく。



備考
関連科目は,国際経済人門,現代経済人門,国際経済と地域など。