企業経済学 | (後期[2展開],4単位)
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産業社会学 | (平成5年度以前入学者)
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宮 本 光 晴
講義概要
市場経済の中心をなす企業に関して、企業理論と比較企業システム論の観点から講義を
進めていく。そのためには抽象的な企業理論に基づく説明だけでなく、各国ごとの企業シ
ステムの比較の観点からの説明が必要となる。なぜ企業という組織が市場の内部に成立す
るのかという企業組織の一般論から始まって、この企業の組織化にはさまざまなタイプが
あること、それに応じて企業行動にもさまざまなタイプがあることを、近年の企業理論、
企業組織論の成果に基づいて説明する。さらに、かかるタイプの違いを、国ごとの企業シ
ステムの相違として統一的に説明する。企業において労働・資本・生産財そして情報とい
う諸資源がどのように結合され、組織化されているのか、さらにそれらがどのような市場
取引のタイプとして制度化されているのかを、日本企業とアメリカ企業さらにヨーロッパ
企業との比較を通じて説明する。さらに、現在進行しつつある各国の企業システムの転換
について言及する。
講義計画
1.内部組織の理論
市場と組織/二つの企業概念/取引コストの経済学
2.取引様式の理論
二つの取引様式/社会的交換の理論/日本型取引慣行
3.内部労働市場の理論
制度派労働経済学/人的資本論/日本型雇用慣行
4.効率と校正
]効率性/効率賃金/公正賃金
5.企業間取引様式
系列取引/関係的取引/競争と協調
6.株式会社の理論
所有と支配の分離/株式市場/メイン・バンク/法人企業論
7.自由企業体制
古典的体制/19世紀型体制/20世紀型体制
成績評価の方法
学年末試験による。4ないしは5問のうち1間選んで回答するという形式をとる。
教科書
宮本光晴『企業と組織の経済学』(新世社1991)
参考書
随時指摘する
宮本光晴『日本型システムの深層』(東洋経済新報社)
備考
ミクロ経済学の基本が理解できていることが望ましい。また、特殊講義(「労働市場の国際比較」
前期2単位)をあわせて受講することが望ましい。