経済体制論通年4単位

前期宮下 誠一郎
後期吉家 清次


講義概要
 20世紀世界を震撼させた社会主義体制の自由化と解体は、経済学のあり方にも大きな影響をもたらした。特に社会主義と資本主義との2つの経済体制の競争的併存を前提に、両体制の歴史的な先進性如何を論じる経済発展段階論、あるいは両体制の機能・成果面での優劣を論じる比較経済体制論は、その前提条件の多くを消失した。代わって登場しつつあるのは、いわば経済体制の「地球的収斂化」の現実のもとで、経済の地球規模化に伴い、その課題の緊急度を強めている地球主義経済化と諸国間経済摩擦、地球環境問題や「文明の衝突」などの諸問題の有効な解決を目指し、地球経済の「持続可能な発展」のための「最適経済体制選択」の理論としての「経済体制論」である。我々担当者2人(宮下、吉家)は、こうした課題に直面しつつある「経済体制論」を、経済体制競合の時代として20世紀への徹底した精査と、その諸結果を踏まえて21世紀へのメッセージとして組み立てる事にした。



講義計画
前期
1.経済体制論の現代的課題
2.経済体制とは何か?(定義と類型)
3.集団国家的社会主義体制の形成と展開
4.集団国家的社会主義体制の「危機と改革」
5.「計画から市場へ」・体制移行の政治経済学

後期
1.自由放任の終焉」と20世紀の世界
2.福祉国家的資本主義体制の「危機と改革」
3.福祉国家の危機」と資本主義体制の将来
4.20世紀経済体制の「遺産と負債」
5.「経済体制・21世紀へのメッセージ」



成績評価の方法
中間テスト及び学年末試験の2つの試験あるいはレポートによる総合評価



教科書
吉家 清次・宮下誠一郎 共著「経済体制論-21世紀へのメッセージ」(白桃書房)



参考書
あらゆる「知識と情報」とが、そして何より受講生諸君の若々しい知的好奇心が最良の「参考書」。「心ここに無ければ、聞いても聞こえず、見ても見えず」。



備考
経済学はもとより「自分の生きる時代」への強い関心とこだわりを持つ、ないしは持とうと考えている諸君の受講を期待したい。