資源エネルギー論(平成6・7年度入学者) (通年,4単位)

小島 直


講義概要
本講義のタイトルは『資源エネルギー論』であるが,経済学部のカリキュラム編成上の 理由から前期は中東の経済が,後期はグローバルな資源エネルギー問題が中心的なテーマ となる。この点に十分に留意して受講されたい。
1973年に第1次石油危機が発生し,大産油国が集中している中東ではオイル・マネー (石油収入)が急増し,このオイル・マネーをもとに活発な経済開発が実施され,域内経済はブーム的活況を呈した。しかし,1980年代に石油ブームが去ると域内経済は一挙に沈 滞化した。なぜ中東は経済開発に失敗したのか。この点を,政治,経済,社会など多面的 に考察して行く。
 後期にはグローバルな視点から一次エネルギー(石油,天然ガス,石炭,原子力など) の選択,地球環境問題への対応について現状,および展望を考察して行く。


講義計画
前期
1.中東の歴史的,文化的概観
2.中東経済の困難性
 1)政治的対立の経済的負担
 2)宗教的対立の経済的負担
 3)産油国の経済的困難性
 4)非産油国の経済的困難性
3.中東をめぐる国際経済環境
4.中東における経済開発の可能性
後期
1.世界の一次エネルギー需給の変遷
2.石油危機発生の背景とその影響
3.各一次エネルギー利用の問題点
4.世界主要国,地域のエネルギー問題
5.一次エネルギー利用と地球環境問題


成績評価の方法
前期はレポート提出を,後期は学年末試験を課し,出席状況なども総合的に評価して判 定する。


教科書
「なし」。ただし,授業中にかなりの枚数のプリントを配布する。


参考書

○立山良司編『中東』(自由国民社,1997年) ○D.ヤーギン著,日高義樹,持田直武訳『石油の世妃』上,下  (日本放送出版協会,1991年) ○財団法人地球産業文化研究所編・訳,『温暖化への戦略』(財団法人省エネルギーセンター,1991年)
○L.Rブラウン編著,加藤三郎訳『地球白書』(ダイヤモンド社,各年版)


受講前提条件
世界経済や国際関係に幅広く関心をもって受講してもらいたい。