資源・エネルギー論(平成8年度以降入学者)(後期,2単位)

小島 直


講義概要
 エネルギー問題は世界経済や国際関係と密接な関係をもっている。1973年と79年に発生 した石油危機は世界経済のインフレ化や中東情勢の不安定化,中東への石油の備在による 供給制約などを背景にしていた。
 石油価格の高騰は関連エネルギー価格までも相対的に引上げたから,供給が拡大し,需 要は低迷して1986年以降エネルギー価格は急落した。エネルギー需要の価格変動に対する 非弾力性もあってその後現在に至るまでエネルギー価格は低迷している。
 しかも,1980年代後半に至って地球環境問題が深刻化しはじめ,エネルギー低価格時代 にどのようにこの問題を解決して行くのか,新たな難題を抱えることになった。  エネルギー問題へのアプローチは多様であるが,本講義ではこの問題を世界のエネルギ ー需給,世界経済,国際関係などグローバルな視点から考察して行く。


講義計画
1.世界の一次エネルギー需給の変遷
2.石油危機発生の背景とその影響
3.国際エネルギー産業の構造変化
4.各一次エネルギー利用の問題点
5.世界主要国,地域のエネルギー問題


成績評価の方法
 出席状況,後期試験をもって評価する。


教科書
 「なし」。ただし.授業中にかなりの枚数のプリントを配布する。


参考書
○D.ヤーギン著,日高義樹,持田直武訳『石油の世紀』上,下(日本放送出版協会,1991年)
○財団法人地球産業文化研究所編・訳,『温暖化への戦略』(財団法人省エネルギーセンター,1991年)
○L.R.ブラウン編著,加藤三郎訳『地球白書』(ダイヤモンド社,各年版)


受講前提条件
 世界経済や国際関係に幅広く関心をもって受講してもらいたい。