再生産論通年4単位

矢吹 満男


講義概要
 経済原論IA,UAの講義を前提とし,経済原論Aのなかでも中心的な位置を占める 「社会的総資本の再生産と流通」の問題を立ち入って検討する。社会的総資本の再生産を 取り扱うマルクスの再生産表式はケネーの経済表の検討に基づいて形成され,またレオン チェフの産業連関表もそれが想源となっている。この講義では再生産表式の形成過程を明 らかにした後,再生産表式の検討を行ない.再生産表式と恐慌論との関連を明らかにする。 また再生産表式論は,具体的な資本主義を分析する場合の一つの基礎理論であり,再生産 論の視角から見た資本主義の長期的な発展傾向や,再生産論の視角から戦後のアメリカ資 本主義と日本資本主義の分析を行う。さらに日米国際産業連関表に基づいて日米関係も視 野に入れる。一見すると抽象的にみえる理論が,現状分析にいかに有効に生かされている かを明らかにしたい。


講義計画
前期
1.再生産論とはどのような科目か
2.資本主義発展の諸画期と再生産論の  系譜
3.ケネー「経済表」からマルクス再生  産表式へ
 a.重農学派とケネーの経済学説
 b.ケネー「経済表」
 C.産業資本の確立とマルクス再生産   表式
4.再生産表式の分析
 a.単純再生産
 b.蓄積と拡大再生産
 C.再生産表式と恐慌
後期
1.再生産論の視角より見た資本主義の長期  的な発展傾向
 a.軽工業段階から重工業段階へ
 b.重化学工業の軍需への具体化
 C.耐久消費財の大量生産・大量消費
2.再生産論の資本主義分析への具体化
 a.再生産論の視角よりみた戦後アメリカ   資本主義
 b.再生産論の視角よりみた日本資本主義  ・戦前と戦後
3.日本とアメリカとの関係一日米国際産業  連関表(1985年版,1990年版)を中心に
4.日米関係の今後


成績評価の方法
 学年末試験のみならず前期テストも行なう。不定期に小テストを兼ねて出席を確認する。
評価は前期テスト(30%),小テスト(20%),学年末試験(50%)とする。


教科書
毎回プリントを用意する。


参考書
@ケネー『経済表』岩波文庫
A山田盛太郎『再生産過程表式分析序論』(山田盛太郎著作集第1巻,岩波書店)


受講前提条件