社会運動史通年4単位

栗 木 安 延


講義概要
反公害住民運動や発展途上国の民衆の闘い,企業リストラや行財政改革の名目で行われ る解雇や基本的人権侵害に反対する労働者運動など社会的・経済的弱者の闘いが広範に展 開されている。これらは資本・企画をはじめとする全ての非人間的な力に抵抗する生きた 人間の結集と連携であり,運動である。21世紀を真に人間的な未来にするか否かは,社会 運動によって決定されるだろう。本講義で20世紀社会運動は如何なるレベルだったのかを 明らかにするために,20世紀資本主義の支柱であるアメリカ合衆国の社会運動,特に機械 文明の象徴とも言える自動車産業の高賃金高能率,生産と消費の均衡・相対的にフェアな 労使関係を構成要件とするフォーディズムを対象とする。その形成過程における労資の階 級闘争,米ソ冷戦体制との関連,そしてフォーディズム崩壊後のME=情報革命の現段階 は,産業ロボット等の導入による労働の変革とコミュニケーションの情報革命など社会運 動上重大な変動も視野に入れる。


講義計画
序1.社会運動と労働者運動
 2.資本主義の長期波動と社会運動
アメリカ資本主義の発展と労働者運動
 1.南北戦争と労働組合
 2.独占資本主義段階の資本攻勢
  1)companyunion
  2)openshop
  3)ビンカートンズ
 3.初期フォーディズム段階
  1)フォーディズム概念
  2)初期フォーディズム
 4.ニューディール期
  1)世界恐慌
  2)UAW・CIO
  3)フォード・テロ
 5.第二次大戦後の展開
  1)米ソ冷戦体制開始と労資の攻防
  2)フォーディズムの本格的段階
  3)フォーディズム崩壊
 6.ME=情報革命と労働・社会の変化


成績評価の方法
中間試験および学年末試験の総合評価


教科書
栗木安延『アメリカ自動車産業労使関係 フォーディズムの歴史的考察』社会評論社
講義の都度,要旨を配布


参考書
雪山慶正訳ボイヤー・モーレス共著『アメリカ労働運動の歴史』岩波現代叢書
田島司郎著『アメリカ労務管理形成史』ミネルヴァ書房
J.ヒルシェ『資本主義にオルタナチィブはないのか?』ミネルヴァ書房
尾関周二『言語的コミュニケーションと労働の弁証法』大月書店


受講前提条件
講義時間中私語をする学生の退席を徹底して求める。