中東の経済(前期,2単位)

小島 直


講義概要
1973年の石油危機によって石油収入が急増した中東では巨大な経済開発計画が実行され た。石油資源は有限と考えられたから,工業化などによって石油に依存した経済からの脱 却が急がれた。しかし,1986年に石油価格が暴落し,開発ブームが去るとその経済は沈滞 化し,自立的経済の確立はできなかったことが明らかになった。この間にアジアでは輸出 志向工業化が進展し,その高度経済成長が注目されていた。
 中東経済が石油依存の経済から脱却しえず,自立化しえなかったのはなぜなのであろう か。中東は政治的,宗教的対立が鈍く,経済発展がそもそもそれによって阻害されている という問題がまず思い起こされよう。また,石油は豊富であるが,それ以外の生重要素は 乏しく,しかも石油収入によって所得水準は相対的に高くなったから労働集約的産業の育 成は困難になった,という問題もある。本講義ではこうした中東経済の発展をめぐる諸問 題を総合的に考察して行く。


講義計画
1.中東の歴史的,文化的特徴の槻観
2.中東経済の困難性
1)政治的対立の経済的負担
 2)宗教的対立の経済的負担
 3)産油国経済の困難性
 4)非重油国経済の困難性
3.中東をめぐる国際経済環境
4.中東における経済開発の可能性


成績評価の方法
出席状況,前期試験をもって評価する。


教科書
「なし」。ただし,授業中にかなりのプリントを配布する。


参考書
立山良司『中東』(自由国民社,1997年)


受講前提条件
関連科目:発展途上国経済論,各地域経済論,資涼・エネルギー論など