財政金融政策(通年,4単位)

松田 修


講義概要
 現代経済の種々の現象を,その基本に立ち返って考察し,再評価するためには,経済政策の目的と機能に対する正しい認識と理解が不可欠である。経済政策の機能は,政策手段によって異なるが,政策目的としては,経済的進歩と安定,経済的正義や公平の実現,経済的自由の確保などを挙げることが出来るであろう。またそのような目的達成のための手段として財政金融政策の果たす役割は,きわめて大きい。
 さらに1980年代後半のバブルの発生とその崩壊に伴う日本経済の長期低迷,急激な産業構造の変化と信用秩序の動揺,人口高齢化や地球環境問題の深刻化など,21世紀入りを目前にして直面する課題は,あまりにも多い。
 本講義では,戦後の財政金融政策の歩みを70年代半ばからの金融の自由化,国際化,80年代の財政再建問題や税制改革など,制度と政策に魚点を合わせながら,差し迫った財政の構造改革,金融の日本型ピックバンを展望してみたい。そして最柊的には,いま求められている財政金融政策が,どのようなものであるべきかを,考察するつもりである。


講義計画
前期
1.経済政策を考える。
2.21世紀を視野に入れる財政の運営。
3.財政制度の解明。
4.第2の予算,財政投融資制度の仕組み と問題点。
5.金融のメカニズム
後期
6.金融の自由化,国際化。
7.税制の問題点と改革。
8.財政政策への批判と対応。
9.金融政策への批判と対応。
10.今後の財政金融政策。


成績評価の方法
 学年末試験の結果を,最終的な評価とする。講義を聞くかどうかは,学生自身の自由意志に任せる方針で,年間を通じて出欠はとらない。


教科書
 教科書はとくに定めない。


参考書
 『金融自由化の日本経済』,松田修著,中央経済社。
 『財政新時代の日本経済』,松田修著,中央経済社。
 『現代の金融入門』,池尾和人著,ちくま新書。
 受講学生の便宜を図るため,年間B4で10枚程度の参考資料を配布する。


受講前提条件
 受講の前提条件ではないが,出来れば経済政策の講義を受講しておく方が望ましい。関連科目は,正村・鶴田両教授の日本経済論,原田教授の財政学,山中助教授の金融論。
 本講義の受講は,講義中に私語をしないという事が条件であるのを,承知しておいて欲しい。そのことに不承知の学生は,受講をご遠慮願いたい。講義開始は時間通りに行うので,遅刻は望ましくない。その代わり受講中の軽食は自由とする。ノート取りマシーンにならないで,その場で理解し,考える受講に徹して欲しい。