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ボストン便り 第1回〜1998年10月10日便

アメリカに着いてから早くも一週間たちました。最初、シカゴに立ち寄って、10年来の私の友達に会い、旧交を暖めることができました。その後、当地ブルックライン市に落ち着きついた次第です。このブルックライン市は、ケネディ大統領の生家があることで知られ、ボストンカレッジ(注1)や、チェスナットヒルと呼ばれる瀟洒なモールも隣接する地域にあります。ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学のあるケンブリッジなどと共に、greater Boston(大ボストン圏)を形成しています。

私は専修大学から平成10年度短期在外研究の機会を与えられたため、これから12月末まで3ヶ月当地に滞在し研究にあたりますが、このホームページ上で「ボストン便り」としてこちらの学校、生活の様子を皆さんにお伝えしたいと思います。今回は落ち着くまでの過程についてお話しましょう。

まず皆さんもお分かりになると思いますが、日本を離れて旅行をする場合、目的と期間によって大きな違いがあるということです。例えば、移動を繰り返す一週間から二週間程度の旅行と違い、少なくとも1ヶ月以上一つの所に留学などの目的を持って留まるとなると、これはもう住むことに近くなります。従って、地方の学生が東京に来て下宿するのとそんなに違いはなくなります。その際生ずるさまざまなことを考えてみれば、私が今何をやっているかが理解できると思います。

最初にやるべきことのリストを書き出してみましょう。

○ 住む家を探す
○ 電話、電気、ケーブルチャネルを引く
○ 車を買う
○ 子供の学校を探す
○ 新聞をとる
○ 銀行口座を開く。小切手を作る。クレジットカードを用意する。
○ インターネットプロバイダーとの契約を行う

まず最初の「住む家を探す」ですが、学生ならば学生寮、あるいは大学斡旋の民間アパート,あるいは自力で探すことになります。それこそ価格は交通の便などにより千差万別ですが、概ね学生向けはスツーディオ(ワンルーム)で$400ぐらいから、ワンベッドで$500以上でしょうが、家族向けとなるとワンベッドで$1000はするでしょう。学生の場合は賃貸価格と大学までの時間が大きな要素になりますが、家族の場合は賃貸料金に加えて、子供が通う学校、安全性、買い物などの生活環境が大きな要素となります。実際、Coolidge Cornerと呼ばれるこの地域を私が選んだ理由の一番には、後で述べますがローレンス小学校があるからでした。それに加え、歩いて数分で大きなスーパー、銀行、郵便局、CVS(コンビニエンスストア)、McDonald, コピーセンター、日本料理店、家電・コンピューターショップ、ボストン最大の本屋の支店、映画館、そしてなによりボストン内へ10分、ハーバード大学へ15分で行ける市電とバス便の良さでした。実に生活するには便利なところです。また、犯罪発生率は低いといわれています。

次に「電話、電気、ケーブルチャネルを引く」ですが、一般に市内電話は地域限定のBell Atlanticと市外を取り扱う長距離電話会社を同時に決めることになります。最初からの取り決めではSprintでしたが、日本への連絡が多いため、常時一分間26セントの日本テレコムに変えようと思っています。電気は地元のBoston Edisonに連絡しないと夜は真っ暗な生活をしなければなりません。また、ケーブルチャネルと契約したほうが良いようです。なぜならテレビはあっても実際は見れるような受信状態ではないことと、多チャンネルのメリットを生かせないためです。なお、契約によっては衛星アンテナを立てて日本の番組も見られるようです。

「車を買う」についてですが、今回は車を買わないことにしました。これまでアメリカに着て以来、マリブ、ホンダの初代、3代目のシビック、ホンダのアコードと乗り継いで来ましたが、3ヶ月と短いこと、毎月の保険が$100を越えること、交通至便なところに居るためそれほど不便を感じないこと、買ったり売ったりすることに伴う余計な時間を節約したいことなどから、今回は買わずに、必要な時にレンタカーを借りることにしました。



「子供の学校を探す」については、出発前から、ローレンス小学校(Lawrence School)に決めていました。家から歩いて3分のこの学校に入る前にも手続きはたくさんあります。まず、予防接種です。どうもアメリカの菌は強いらしく、日本で予防接種していても量が少ないとされ、もう一度打たれました。また、日本ではない肝炎予防があったのには驚きました。次に、ブルックラインに住んでいることを証明するものが必要で、市外の人に対しては、年間$7000の授業料が課せられます。この額はほとんど日本の大学の授業料と同じです。(しかし、私立の小学校はこの倍の$14000は必要だそうで、アメリカの教育費の高さを感じさせます)

実際に学校に行ってびっくりしたことの一つに、全校生徒500人のうち、なんと日本人が90人も居るとのことです。そのため英語の補助授業である、ESL(English as a Second Language、第2外国語としての英語)はもちろんのこと、それに加えて、TBE (Transitional Bilingual Education、過渡期2か国語教育)があります。マサチューセッツ州の法律により、20人以上の英語以外を母国語とする子供が居る場合は、このTBEと呼ばれる特別な教育措置がとられ、母国語による学習指導をしながら英語の授業をサポートします。ローレンスでは、TBEの日本人の先生が4人いらっしゃいます。(TBEは、日本語以外にも、ヘブライ語、中国語、韓国語、ロシア語、スペイン語がブルックライン市にあるそうですが、なるほど国際色豊かなところです。)ひとクラスが20人程度で、そこに担任と副担任そして、ESLとTBEの先生が居るわけで、日本と比べると実に恵まれていると思いました。

次に驚いたことは、アジア経済の不況が、こんな小学校にも及んでいたことです。韓国人は潮が引くように減ってしまい、日本人もこれまで中心だった大企業派遣の駐在員の子弟がほとんどいなくなり、残っているのは不況には影響の受けにくい大学、研究所関係の子供たちだけだそうです。

学校の初日は娘も緊張の面持ちでしたが、5年生のミラー先生に本当に温かく迎えられ、また同じクラスの日本の女の子も居たため思ったより自然とクラスに入っていけたようです。これからこの学校の様子については、詳しくお話ししていきましょう。

次に「新聞をとる」ですが、抜け目なく「Boston Globe」という地元の有力紙から電話がかかってきて一月$11で契約しました。一般にアメリカの新聞のページ数は多く、情報量は日本の倍以上あると思います。特に日曜版は抱えるほどの重さがあり、内容を考え合わせると同じ値段で10倍は得をした気になります。

「銀行口座を開く。小切手を作る。クレジットカードを用意する。」の点については、特にアメリカで生きて行くためには必要となります。買い物などほとんどすべての支払いを小切手もしくはクレジットカードで行うことの多いアメリカでは小切手、クレジットカードがないと非常に住みにくいことは確かです。特にクレジットカードを持てるか持てないかで、その人の基本的なステータスが決まるようです。外国人はアメリカではクレジットに応募しにくいため、学生諸君は日本で取っておくことをお勧めします。

最後に、「インターネットプロバイダーとの契約を行う」ですが、電話、郵便、ファックスに加えて、現在インターネットは非常に有力なコミュニケーション手段になりました。現に、こうやって皆さんがホームページ上で読んでいらっしゃるように、単に双方向の枠を超えて情報を世界に向けて発信する機能には強力がものがあります。その意味で、当地のプロバイダーと契約することは大事なことで、数ある中から探すのは容易ではありません。私は結局日本の「アメリカンオンライン(AOL)」に決めました。それは、日本語が扱えることと、既に私が入っている日本のプロバイダーとの相性が良いためです。

さて、強力な機能の一つに、チャットがあります。これは電話のようにリアルタイムでお互いが文章を打ち合いながら意思疎通を図ることができるもので、私は日本時間の夜11時からは、ゼミの学生との間でゼミ活動について話しあいを続けています。 (注2)

これからもインターネット上で、皆さんとコミュニケーションを続けていきたいと思いますので、ご意見などをいただくと幸いです。それでは、また。

望月 宏


住所
Hiroshi Mochizuki
20 Stearns Rd. #52
Brookline, MA 02446
電話
617-277-3862

Email Address
Mochizuki@isc.senshu-u.ac.jp

注1 Boston Collegeで、Boston Universityとは違う。共に、日本語ではボストン大学であるが、前者は上智大学と同じイエズス会の大学であり、後者はボストン市内の総合大学。

注2 チャットの例です。 e080338: 先生こんばんは
e070736hs: こんばんは。
senshu20: こんばんは
e080338: そちらは何時ですか?
senshu20: 今、朝10時前です
e080338: こちらは夜の11時です。
su0808jm: おはようございます
e070736hs:
ほぼ12時間違うんですね。
senshu20: 13時間で、今夏時間です
e080338: サマータイムですか
senshu20:
26
日から、冬時間になります
e080338: 中途半端なじきなんですね。
senshu20: 1時間戻るわけです
senshu20:
誰が参加しているのですか?
e080338: 庄子です。
su0808jm: 宮澤です
e070736hs: 佐山です。
senshu20: おお、庄子君!!
e070736hs: おお、宮澤君!!
senshu20: 佐山君も!
e080338:
おはようございます。ICQダウンロードしました。
senshu20: 楽しいですね。
e080338:
そうですね。チャットいいですね。
senshu20:
みんながとれば、何人でも一緒にできますね。
su0808jm:
5人そろったのは初めてですよね。この調子なら、大人数でも大丈夫ですね。
senshu20:
できれば、定期的にやりましょうか?
e080338:
そうですね。このチャット複数でできて、しかもけっこう通信速いですね。
senshu20:
このログを取っておいて、ホームページに載せましょう。
e080338: 書記もいらないですね。
su0808jm:
全て載せると重くなるので、書記が上手に間引いてくれるといいのですが。
。。。
senshu20:
さて、しばらくしたら、写真付きの「ボストン便り」を定期的に送ります。
senshu20:
学校のこと、アメリカの生活のことなど、いろいろと感じたことを送りましょう。
e080338: 楽しみにしています。



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