経済分析ゼミでは、分析手段としての情報処理技術の利用・経済分析に重点をおき毎年のテーマを基に活動しています。
与えられたテーマにおいて経済分析において必要不可欠な知識(計量・理論・情報基礎)を学んだ上で、それらを使いディスカッションという形でアウトプットしていきます。
また、本ゼミの特徴として、アウトプット重視であるという点が上げられます。ゼミ時間ではディスカッションにあてられます。そのため、自分の意見を発表し、他の意見を聞き入れることで
自分の知識が定着し、深みが増していくことが実感できます。
また、現在の日本は国際化が進み経済を考える上でも日本だけでは考えることが不可能となっています。この国際化の中で活躍していける人材を育成することを目標としているゼミが
国際比較ゼミナールです。特徴としては英語資料を交えての比較・分析を行っています。
● 2002年度 「スラックス(資源が有効活用されていない状態)経済」 |
日本経済がスラックスに陥っているという認識の下、財・金融・労働の3市場について、それぞれマクロ・ミクロ・国際の3班に分けて現状分析をしました。分析の進め方は、まずゼミ全体におけるスラックスの定義を確認し、各班独自にスラックスをどのように分析するか方針を決め、各自が持ち寄った資料をもとに議論を進め、結論を導くという方法です。結論はスライドの形で全体に発表し、質疑応答を行い、最後に3班の結論をまとめます。これを各市場について行い、最終的に全市場のまとめを作成します。
以上の分析から得られた結論は、確かに日本経済はスラックスに陥っており、具体的には「潜在成長率の低下(供給の減少)」と「GDPギャップの発生(需要の減少)」という形で現れているというものでした。それによって、日本企業の国際競争力が低下し、投資が減少し、失業が増加するなどの悪循環が懸念されていました。
人々の将来への期待は、経済に影響を与えるという前提の下、去年と同じように財・金融・労働の3市場について、それぞれマクロ・ミクロ・国際の3班に分けて現状分析をしました。各自が持ち寄った資料をもとに班ごとに議論を進め、結論を導くという方法です。結論はゼミ内でプレゼンテーションを行い、質疑応答、最後に3班の結論をまとめました。昨年は国際比較ゼミとのアウトソーシングの一環として、国ゼミに海外比較を行ってもらっています。
労働市場では人々の将来の低下が起こる原因を、企業側では労働市場での問題を挙げ、労働者側では若者の働く意識の変化などを挙げています。財市場では将来の期待所得の低下→消費低下、投資意欲の低下などによってGDPに影響がでているとの分析を行いました。
2004年度のゼミ活動は財、金融、労働の三班にわかれ、主に前期はミクロ、後期はマクロの視点から「競争力」というテーマについて分析してきました。
財班では前期は航空、自動車、液晶といった産業をみていき、主に競争力の源泉とは、液晶産業では需要に応じた効率化、製品差別化、航空では規制緩和、経営資源の有効活用、自動車産業では、ブランドカラーに相応しい差別化、効率化を挙げています。後期は成長論を使った全要素生産性の推移を分析しました。
金融班では前期では主に銀行行動について分析し、規制緩和など競争的な市場を整備することにより全体的にコスト削減が行われ収益向上つながる、しかし現状においては規模の経済も範囲の経済も有効に働いておらず、業績のよくないところを中心に選択と集中という新たな動きを見せています。後期はマクロ的な視点から家計と企業の資産構成について分析し、家計と企業のポートフォリオの一致を実現できる市場が重要であり、家計と企業の行動にあった金融市場であることが重要で、そのためには完全市場であることが必要であるとの結論に至りました。
労働では前期は企業の雇用を中心に分析してきました。その中で人件費圧縮の背景には、企業が業況に応じた人員を弾力的に変化させようとする傾向があり、弾力的に変化する雇用環境のなか、人材流失などの弊害の克服として、人材の育成の強化・確保が企業の“競争力”にとって課題となります。後期では労働市場のミスマッチを挙げ、改善する策として、@教育訓練制度を充実させて、構造的失業を改善させる。A労働移動の阻害要因があり、需要側と供給側両面において問題となる年功序列型賃金体系を見直す。B労働移動を円滑にできる環境を作り、そこから移動が困難な高齢者を活用し、失業問題の改善を図るという結論に至りました。
競争力という概念は経済学では定義がされてなく、非常に難しいテーマであり、競争力とは何なのかについては引き続き分析しています。
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