ゲームについてお話ししたいと思います。といっても、ゲームには様々なものがありますが、経済学のゲーム理論について、日常の生活を交えながら、話したいと思います。
ゲーム理論は、経済学を学んでいる方にとっては多く聞いたことがあると思います。おそらく知っている方が多々いるとは思いますが、簡単に少し説明したいと思います。ゲームに登場するプレイヤーが利得を求めて行動し、一方のプレイヤーが行動したとき、どうもう一方はどう行動するのかを考えた分野であります。そのなかで、プレイヤーとプレイヤーの利得の関係を示したものを利得表といいます。各プレイヤーの行動する選択肢をそれぞれ表に記すことで、相手プレイヤーの行動により自分の利得がどのように変化するかがわかり、これによってゲームの利得状況を把握することができます。
この表を使って、日常生活の状況も説明することができます。「あいさつ」、これはNash均衡により、成り立ちます。Nash均衡について簡単に説明しますと、プレイヤーの行動選択に関する定常状態、つまり自分一人だけが行動しても得しない状態であります。このNash均衡が、普段みなさんがしている「あいさつ」の状況ということになります。学校の通路で友人にばったり会った時、一方はあいさつをするが、もう一方はあいさつをしないと、2人ともその場の雰囲気が悪くなり、2人は得しません。また、2人ともあいさつし合うか、2人ともあいさつをしない場合、2人の間ではNash均衡が成立します。2人ともあいさつをせず、無視しあうのは少し問題ではありますが、このように経済学で日常生活の状況を示すことができます。
また、ゲーム理論には、動学ゲームという分野もあります。みなさん、「ゲームの木」を経済学の教科書等で見たことはありますか。相手がとった行動から、その行動に対して自分はどう行動した方が最善であるかの戦略を、順を追って考えるものです。そのゲームの木が示すように、あるプレイヤーのひとつの行動で、いくつもの行動の選択が考えられるようになっています。その選択肢の中で最善な行動を選び、自分の利得をあげていくのです。
現在、「決断力」や「判断力」などを題目にした書籍が多く書店で販売されています。その供給に似合うように書店では多く売れていますが、その力というものは、その決断や判断する材料となる選択肢が多くなければ、あらゆる状況に対して最善の行動を実現できないと思います。相手の行動に対して、様々に対応できる選択肢を増やすことが十分条件であると思います。まだ私には、その十分条件である選択肢が揃っているとは思いません。社会に出る前に、選択肢や行動手段を増やし、相手がとった行動に対して、多くの選択肢が用意し、多くの戦略が立てられるよう、常に考えながら行動していきたいと思います。
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