Topic87 Ono.S
「こだわりと進化」

 皆さんは水平対向エンジンというエンジンをご存知でしょうか? 日本では主に富士重工という自動車メーカーが製造しています。富士重工というメーカー はもしかしたら、“スバル”という名前のほうが一般的かもしれません。 前述した水平対向エンジンは残念ながら日本では大量生産に成功しているのは残念ながら スバルのみです。 まず、初めてこのエンジンの魅力に取り付かれたのは中学生のことでした。一般に流れる エンジン音よりも、俗にスバル音と呼ばれる「ドドドド」という低重音に惚れ、気がつい たらスバル車を探していました。皆さんもぜひスバル車が通ったときには耳を傾けてみて ください。すぐにわかると思います。  ここで水平対向エンジンについて説明をしますと、その名のとおり左右に水平についた シリンダーを回すことによってエンジンの動力をトランスミッションに伝えています。 左右についているため六気筒では理論上左右の振動がまったくゼロになることから、“究 極のエンジン”とも呼ばれています。一方で、一般に使われているV型エンジンでは振動を 完全に消すことができません。またV型に配置するためどうしても高さを必要としていま す。 そのため、水平対向エンジンは低重心が可能な一方で、他のエンジンではそれが不可能 です。自動車というものは、重心が低いと車体が安定するためより安全な走行が可能と なっています。 このような安定性を持つエンジンのスバル社ですが残念なことに、トヨタ、日産、ホン ダには売り上げ面では及びません。それは、エンジンにこだわったゆえの悩みともいえま すが、車種の絶対数の低さも影響しているのでしょう。  おりしも、先日トヨタを訪問した際、売り上げの秘訣はその車種数にあると責任者の 方が語っていたのもそれを裏付けているのかも知れません。しかし、スバルは車種数こそ 少ないものの確実にいい車を生産しています。その安定性、走行性は国産車で唯一、WRC (世界ラリー選手権)に参加し、優勝経験もあるということからうなずけると思います。 また、スバル自身水平対向エンジンにはこだわりを持っており、普通車すべて水平対向 エンジンという徹底振りです。 しかし、このエンジンには最大の問題があります。燃費効率が他社に比べて完全に劣っ ています。世間一般でスバル車は燃費が悪いと完全に思われます。そのため、効率無視で ただスポーツ車としての性能を求めてのユーザーが多く、どうしても売り上げ台数は伸び 悩んでしまいます。今後はスポーツ車として燃費を無視してやっていける時代ではありま せん。ぜひ、この両立を成し遂げ、今以上の躍進を遂げてもらいたいものです。